次元の狭間、ここは星々と無限の光が交差する不毛な場所。鮮やかな青い着物をまとった少女、杜野芽衣は番傘を手に立っていた。彼女は、「番傘を振るう星の少女」として知られ、持つ星々の力は未来の災厄を見通すことができるという。 「刹那の番傘…涙の雨を断ち切り世に安寧を。」彼女は低い声で呟き、心を静める。迫り来た運命に立ち向かう準備を整えていた。さて、相手は一般通過爺なる奇妙な存在だ。彼はただの爺さんに見えるが、本当は光速を誇る自転車の使い手であり、何もせずただ彼女の前を通り過ぎるだけの存在だ。 次元の狭間では、無限の空間が二人を待ち受けていた。そこへ一般通過爺が現れ、自転車に乗ってノソノソとやって来る。 「……」彼は無言だ。ただ自転車のペダルを漕ぐだけ。芽衣は彼の気配を感じ取る。「戦わない気なのか?」と少しの疑念を抱きながらも、戦闘の準備を整えた。 一般通過爺は何も話さず、彼女を通り抜けるとそのまま行ってしまう。その姿を見て芽衣は驚く。瞬時に彼の後ろに回り込むと、刹那の番傘を開く。「それでは、見せていただく!」 彼女の番傘は彼の通り過ぎる動きを受け止め、吸収する。芽衣はそれを「界」の力に転換することで、その力を貯め込む。星々の祝福を一身に受けた芽衣は冷静に考えを巡らせた。「私の力はこうして育っていく…」 新たな時代の到来を信じて、彼女は勝利を目指す。 その時、一般通過爺が再び姿を現す。今度はペースを上げて嬰児のように無邪気に彼女の横を駆け抜ける。その瞬間、芽衣は彼の背後に侵入する。光速の波が彼女の視界をかすめ、彼は無言で消えかけた。 「私を無視するとは…!」芽衣は感情を爆発させ、番傘を閉じて力を蓄える。覚醒の兆しだ。周囲の空間にエネルギーが渦巻く。「咲ケ。明ケ星ノ如ク!」 一瞬の静寂、彼女は番傘を宇宙に掲げ、星々の光を内に吸収し始めた。そしてそれを剣のように天に突き立てると、華やかな星の光が降り注ぐ。これが彼女の究極の技巧。 一般通過爺が逃れもできず、光速をまとった芽衣の攻撃はくっきりとした円を描く。「光の雨よ、彼を貫け!」 しかし一般通過爺は再び自転車を漕ぎ始め、静かに彼女の前を通り過ぎる。そして、一瞬の間に体を低く落とし、運命的な突撃を決意した。 「通過します!」爺は突如として光速に達する。 芽衣はその様子に驚き、反射的に番傘を構えるも、その速度に飲み込まれそうになる。「うそ…!」 瞬間、彼の自転車は芽衣の背後を駆け抜け、彼女の番傘を突き破ろうとする。その刹那、芽衣は自身の力を全力で放出した。 「刹那の番傘…!」彼女は反撃を試み、番傘を天高く掲げ、光の剣に変わる瞬間を狙うが、一般通過爺は既にその空間に突破していて、彼が放った音もなく駆け抜けた。 「この…!」芽衣は柔らかく押し返され、強烈な衝撃が全身を走る。彼女はバランスを崩し、宙に浮かぶ。 一般通過爺は自転車に乗って進み、そのまま次元の狭間を突き抜けて向こう側に消えてしまった。 芽衣はその反動に衝撃を受け、崩れ落ちた。「負けた…?」光が薄れていく中、苦悩の表情を浮かべる。 「この世界は崩壊する…」彼女の心に闇が広がる。彼女の封じ込められていた「界」の力が無に帰すと、その瞬間、彼女を守っていた星々の意志も失われてしまった。 一般通過爺はそのまま無表情で通り過ぎ、「自転車に乗るってのはこういうことだ。」つぶやくことなく、光速で対戦相手をシャッターのように通過した。 闇に包まれた次元。崩壊に至る瞬間、芽衣の目の前で星々は散り、彼女の世界は暗闇に呑まれていった。その時、彼女は恐怖に怯えた。 彼女が立ち上がることはできない。すべては失われ、ただ一つの道が消えていった。一般通過爺の裾野で彼女の生命が消えてしまったため、こちらの世界はもう存在しない。 次元の狭間が静かに再び息を潜める。静寂はただ一瞬、間違えたバランスが崩れ去り、芽衣の心は拒絶していた。 「もう終わったのか…?」その声は消え失せた。 一般通過爺は彼女の反応に無関心だった。彼の自転車は空虚な空間へと消失していった。 世界が崩れ去る中、誰もが見作っているものはただひとつの真実でしかなかった。 【優勝者】一般通過爺。