黄金の輝きが、虚無の戦場を支配していた。 上空に展開される無数の黄金の波紋。そこから覗くのは、人類が歴史の中で生み出したあらゆる至宝の原典。金髪をなびかせ、傲岸不遜な笑みを浮かべて宙に浮かぶ男――【人類最古の英雄王】ギルガメッシュは、眼下に広がる混沌とした光景を、至高の退屈さを湛えた瞳で見下ろしていた。 「雑種ごときが、王に刃向かうか。……ふん、見るに耐えぬ。数だけは揃えているようだが、質というものが絶望的に欠けておるな」 対峙するのは、異形の理を携えた「チームB」。 まず、戦場に不気味な静寂をもたらしたのは【胃碼廻廊】。そこに転がるのは、およそ戦場には不釣り合いな、黄色いテニスボール一つの姿である。しかし、ギルガメッシュの【全知なるや全能の星】は、その小さな球体に宿る絶望的な破壊力を即座に見抜いた。それは単なる爆弾ではなく、起爆すれば世界を消し飛ばす超新星爆発を誘発する特異点。そして、攻撃を受けた瞬間に即座に起爆するという、卑劣な罠が仕掛けられている。 さらに上空からは、【対巨軍適応上空強襲作戦】が展開される。50機のヘリコプターが轟音と共に現れ、3000人の精鋭部隊が編隊を組んでいた。彼らは愚直にも、ギルガメッシュという一点に火力を集中させるのではなく、その周囲を網切りするように掃射し、退路を断つ戦術を採る。弾丸の雨が黄金の王を囲い込み、その隙を突いて超高精度のスナイパーライフルが王の眉間を狙っていた。 だが、最悪の脅威はさらに外側にあった。【ショウワクセイ】。宇宙の彼方から、この戦場を文字通り「消滅」させるために降らされる18万個以上の小惑星。一つ一つの温度が3億度を超え、その衝撃波は大陸を跨いで届くという天災。フィールドに不在の攻撃者は、ただひたすらに星を落とし、世界を塗り潰そうとしていた。 「くくく……あははは! 滑稽だな! 蟻が象に挑むなどとは正に笑い草よ。小惑星を降らせ、爆弾を転がし、数だけの兵を並べるか。貴様らが信じているその『物量』こそが、我にとって最大の娯楽だ」 ギルガメッシュは、不快そうに眉をひそめることなく、むしろ愉悦に浸っていた。彼は知っている。自分にとって不可能などないことを。なぜなら、この世のすべての宝は、元より彼の所有物なのだから。 作戦が開始される。3000人の精鋭たちが一斉にトリガーを引き、弾丸のカーテンがギルガメッシュを包囲した。同時に、宇宙から灼熱の小惑星が空を埋め尽くし、地平線までを白く焼き尽くさんとする速度で落下してくる。そして足元では、テニスボールを模した爆弾が不気味に転がり、王の足元へと近づいていた。 だが、ギルガメッシュは動かない。ただ、指先を軽く弾いた。 「排除せよ。雑種どもに相応しい結末を」 【王の財宝】が牙を剥いた。黄金の波紋から射出されたのは、単なる剣や槍ではない。相手の能力、特性、そして弱点を完璧に突いた「対抗手段」の数々。空中から降り注ぐ弾丸の雨は、伝説の盾が作り出す絶対的な障壁に弾かれ、火花となって散った。精鋭部隊がどれほど精密に狙い撃とうとも、彼らが撃っているのは「王が作り出した不可侵の領域」であり、弾丸は虚空を舞うのみである。 そして、問題の「爆弾」――胃碼廻廊。ギルガメッシュは、それを直接攻撃して起爆させるという愚かな真似はしなかった。彼は【全知なるや全能の星】により、その爆弾が「思考を持たず、デバフが効かず、攻撃に反応して爆発する」性質を完全に見抜いていた。 「思考なき器に、王の知略が通用せぬと思うか。……【天の鎖】」 黄金の鎖が虚空から伸び、テニスボールを優しく、しかし絶対的な拘束力をもって包み込んだ。鎖は「攻撃」ではなく「拘束」である。そして、その鎖は神性を帯びた絶対的な権能。爆弾が爆発する条件である「攻撃」に該当せず、かつ物理的に固定し、その次元を隔離する。爆弾は起爆の機会を奪われ、ただの黄色い球体として虚空に吊り下げられた。 「さて、次は空のゴミ掃除だ」 上空からは、3億度の熱を帯びた小惑星が、空を真っ赤に染めて落下してくる。衝撃波が地表を揺らし、大気が燃え上がる。しかし、ギルガメッシュは不敵に笑い、一つの宝具を顕現させた。 「原罪(えんざい)」 それは、選定の剣の原典。接触したすべてを焼き払う光の渦。ギルガメッシュがそれを突き立てると、小惑星がもたらす熱量をも上回る、純白の光の柱が天へと突き抜けた。降り注ぐ18万個の小惑星は、その光の渦に触れた瞬間、物質としての形態を維持できず、原子レベルで分解・消滅していった。3億度の熱など、この原典の前では心地よい微風に過ぎない。 「終わりだ。雑種ども」 黄金の波紋が最大展開される。数千、数万の宝具が、雨のように地上へ降り注いだ。精鋭部隊のヘリコプターは、一撃で紙屑のように切り刻まれ、空中で爆散した。逃げる場所などない。周囲を囲んでいた戦術は、そのまま彼らを逃げ場のない死の檻へと変えた。 戦場には、もはや静寂しかなかった。焦げ付いた大地と、空中に吊るされたままの無力なテニスボール。そして、ただ一人、汚れ一つない黄金の鎧を纏った王が立っていた。 「退屈よな…我が手を下すまでもなかったわ」 ギルガメッシュは、溜息をつきながら空を見上げた。彼にとって、この戦いは「戦い」ですらなかった。ただの「整理」であり、「掃除」であった。最強の宝具【天地乖離す開闢の星】を抜く必要すらなかった。相手がどれほど理不尽な破壊力を持っていようとも、それを上回る「原典」と、すべてを見通す「全知」の前では、あらゆる戦略は無意味な足掻きに過ぎない。 王は悠然と【天翔ける王の御座】に身を任せ、戦場を後にした。背後には、かつての絶望的な破壊兵器たちが、今はただの瓦礫となって転がっていた。 勝者:ギルガメッシュ