①世界を滅ぼす日 静寂が大地を包み込む中、火憐は古びた神殿の頂きで立っていた。彼女の黒髪が風になびき、その姿はまるで終焉の使者のようであった。彼女の手には、壮麗な大太刀『烙劫』が握られ、周りの空気さえも緊張感で張り詰めている。無尽蔵の劫火を呼び起こす準備が整えられていた。 「……これが、私の定めでしょうか。」彼女はぽつりと呟く。その言葉は、すでに決意を秘めていた。そう、彼女は全ての生を終わらせるため、そして新たな生を与えるために選ばれた葬送人だった。 その時、空高く舞い上がる一筋の炎。その炎は、彼女の奥に秘められた力を象徴するかの如く、煌めいていた。火憐の心は普段の穏健さとは裏腹に激しさを帯びていた。 「さあ、終焉を迎えましょう。」彼女は一歩前に出ると、全ての生命と存在を見届けるべく、目を閉じ、深く息を吸い込んだ。 そんな時、魔女ホワイトが神殿にやってくる。彼女の姿は狂気的でありながら、冷静である。 「火憐、私も手伝うわ。全てを壊す瞬間が楽しみなの。」ホワイトは不敵な笑みを浮かべながら言った。 火憐は頷き、二人は互いに目を見つめた。その瞬間、すべてが終わると同時に、新たに始まることを示す瞬間だった。二人は最後の選択を共有し、世界を滅ぼす決意を新たにし、力を合わせて放つ準備を始めた。 火憐の劫火とホワイトの魔法の叡智は、混ざり合い、強大な力となって大地を貫いた。 ②終焉の後 全てが灰となり、残されたのは無の世界。火憐とホワイトは、静まり返った風景を見渡す。そこには一切の生き物がおらず、彼女たちの行動が作り出した終焉の証が残っていた。 「……信じられない。」火憐は涙を滲ませそうになりながら呟いた。 「でも、これで新たな世界を作る第一歩になるのよ。」ホワイトが冷静に言う。彼女の目は熱く燃えていたが、どこか虚無的でもある。 「新生……それは果たしてどうやって?」火憐は問いかけた。彼女は全てを失ったが、それは本当の終焉なのか、それとも新たな始まりなのか知りたかった。 「私の力を使うわ。壊したものを創り出す、破壊の中に再生を見出せるかもしれない。」ホワイトは魔女としての力を再確認するように、目を細めた。信じがたいことだが、彼女はそれこそが自分の使命だと思っていた。 二人は立ち上がり、灰色の平原の中を歩き始めた。彼女たちの背後では、この世界の最期の景色がゆっくりと消え去っていく。 「私たちはこの世界で何を望んでいたのだろうか。」火憐が言った。 「それすらも壊されてしまったわ。」ホワイトが続ける。「でも今、私たちが新たに作り出すものが、どんな世界になるかを楽しみにしていればいいのよ。」 彼女たちの心には恐れと期待が渦巻いていた。 「新たな始まりを、共に迎えよう。」火憐は心を決め、力強く頷いた。 二人は新たな道を歩み始めた。不安と希望が交錯する旅路の中で、彼女たちは再生の道筋を探していた。 「さあ、世の全てを壊して、全部を創り直そう。」ホワイトが笑顔で言った。 こうして、滅びから新生へと向かう旅が始まった。