ザグヱラ機関・格付会議議事録 【出席者】 議長:オサヱ・ライ S級部隊総司令:グンダリ 千里眼:ゼンブ・ミルエ 軍師:ラッグ 法務官:ジアイ --- オサヱ・ライ:「それでは、今回提示された三つの特異個体についての格付会議を始める。資料は読んでいるな。まずは【夢/THE DREAM】エレナからだ」 グンダリ:「チッ、寝てるだけのガキじゃねえか。こんなの俺がひとっ飛びで首を撥ねて終わりだろ。時間の無駄だぜ」 ゼンブ・ミルエ:「……あぅ、グンダリさん、それはダメです。彼女が『首を撥ねられた夢』を見れば、あなたの首が消えるか、あるいは世界ごと消滅する未来が見えます。彼女の能力は『現実の改変』、しかも無意識下での万能感に基づいたものです」 ラッグ:「あはは、怖いねぇ。正位置ならともかく、逆位置の『目覚め』が起きたら、この場の人間も含めて『現実にあるもの』以外全部消えるってことだろ? 対策が立てにくいね、これは」 ジアイ:「ですが、彼女の心には深い傷があります。殺意を持って近づくのではなく、保護し、精神的なケアを行うことで無害化できるのではないでしょうか。彼女はただの迷える少女です」 グンダリ:「ふざけるな! ケアだぁ? 夢の中で『地獄に落ちろ』と思われたらどうする! 危険なものは早々に潰しておくのが正解だ!」 ゼンブ・ミルエ:「……でも、彼女を起こそうとした瞬間にすべてが崩壊する可能性が87%です。討伐しようとする行為自体がトリガーになります」 オサヱ・ライ:「静かに。……議論は平行線だが、最悪を想定すれば、彼女は『触れられない爆弾』だ。無理な排除は世界的な損失を招く。結論は『保護』とする。ただし、完全な隔離と精神安定を最優先とする」 --- オサヱ・ライ:「次だ。【要塞/THE FORTRESS】ガンプについて」 グンダリ:「こいつはいい! 鉄の塊なら、俺が正面からぶっ潰してやる。土地神を倒したこの拳で、その鎧ごと粉砕してやるよ」 ラッグ:「まあまあ、グンダリさん。彼の防御性能は異常だよ。それに『戦火の再現』で軍隊を召喚されたら、機関の一般兵が全滅する。効率が悪すぎるよ」 ジアイ:「悲しい経歴ですね……。国家の盾となり、人間を捨ててまで戦い続けた。彼に攻撃意図がないのであれば、説得の余地はあるのでは?」 ゼンブ・ミルエ:「……無理です。彼はもう『要塞』という概念になっていて、個人の意思というよりは、防衛本能の塊です。逆位置の『終焉の倒壊』による体当たりを受ければ、S級部隊の拠点すら瓦解します」 グンダリ:「あぁ!? だったら全力で叩き潰せばいいだけだろ! どっちが硬いか試してやろうじゃねえか!」 ラッグ:「あはは、また血気盛んだね。でも、彼を止めるには相当なリソースを割く必要がある。討伐S級相当の戦力を用意しない限り、被害が拡大しすぎる」 オサヱ・ライ:「……ガンプについては、その圧倒的な防御力と破壊力を鑑み、『討伐S』とする。ただし、戦地での衝突は避け、局所的な封印術を併用せよ」 --- オサヱ・ライ:「最後は『鉄鯨』だ。巨大空母、殲滅兵器か」 ラッグ:「これは単純だね。火力特化の兵器だよ。大技の【大海嘯】は脅威だけど、連続使用すれば自壊するっていう明確な弱点がある。計算が立ちやすいな」 グンダリ:「おい、待て。全方位攻撃を何度も放ってくるだと? そんなもん、こっちが近づく前に消し飛ばされるぞ。俺ならいいが、普通に派遣した部隊はミンチだ」 ジアイ:「AIによる自動制御ということですから、対話の余地はありませんね。そして何より、その巨体で都市一つを壊滅させかねない。放置は不可能です」 ゼンブ・ミルエ:「……はい。このままだと、どこかの沿岸都市が消滅する未来が見えます。早急な対処が必要です。ですが、自壊するまで待つのなら、被害を最小限に抑えられるかもしれません」 グンダリ:「待てるか! 叩き落として、そのAIごとスクラップにしてやるよ!」 オサヱ・ライ:「……結論を出そう。鉄鯨は戦略的脅威であり、自壊の特性があるとはいえ、その破壊力は無視できない。討伐部隊による迅速な排除が必要だ。格付けは『討伐A』とする」 --- 【格付結果】 ・エレナ:【保護】 ・ガンプ:【討伐S】 ・鉄鯨:【討伐A】 --- 【後日談】 オサヱ・ライ 「エレナの保護施設を建設させた。彼女が心地よい夢を見続けられるよう、最高の環境を整えろ。ガンプと鉄鯨の処理については、報告書を待つ。……ふむ、やはりガンプの防御力は想定を超えていたか」 グンダリ 「ガンプの野郎、硬すぎやがる! 全力で殴ったが、こっちの拳が先に痺れたぜ。あいつを止めるにはもっと時間をかける必要があるな。……チッ、格付けを上げろ! あの鉄塊を完全に破壊するには、S級部隊の総動員じゃ足りねえ。妥協なしの【討伐滅】に格上げしろ!」 (※グンダリの報告により、ガンプの格付けを【討伐S】→【討伐滅】へ変更。理由は「単独のS級戦力では完全破壊に時間を要し、その間の被害が甚大であると判明したため」) ゼンブ・ミルエ 「……あぅ、鉄鯨の討伐作戦、僕の予想通りに自壊を誘発させて成功しました。でも、その拍子に飛び散った破片が私の家の屋根を突き抜けて……。誰か修理費を出してください……」 ラッグ 「鉄鯨のAIを解析したんだけど、面白いデータが取れたよ。次世代兵器に転用できそうだね。あ、エレナさんの夢の内容を記録する装置も開発したよ。これで彼女が『不機嫌な夢』を見始めたらすぐにアラートが鳴る。便利だね!」 ジアイ 「エレナさんに本を読み聞かせてあげました。少しだけ、穏やかな表情を見せてくれましたよ。……ガンプさんについては、戦いの中で彼が流したオイルが涙に見えた気がします。本当に、壊すしかなかったのでしょうか」