あたりは薄暗く、冷たい風が吹き抜ける庭は、長い間見捨てられたかのような静けさに包まれていた。しかし、この場所は、かつて彩葉と莉音が守るべきものとして愛した家の庭であった。 その庭の中央に、背後に家を控えた不死者が立ち尽くす。不死者は彼自身の冷静沈着さを保ちながら、無数の敵が迫ることを感知していた。彼は揺るぎない意志で、かつて愛した妻との思い出を胸に秘め、守るべきものを護るために立ち上がった。それは、彼自身の存在意義でもあった。 草木が朽ちかけ、荒れ果てた庭に、目的を持った二人の少女、彩葉と莉音が現れた。彩葉はその柔らかで優しい笑顔で、莉音の無邪気な姿を見つめていた。彼女の心には、どんな困難があろうとも莉音を信じるという揺るぎなき慈愛があった。 莉音は、そこで出会った不死者の強さに圧倒されながらも、表情には決意を浮かべていた。「彩葉、私、やるよ！」と元気よく叫ぶが、その様子は少し心もとないものだった。彼女は少しポンコツな面があったが、心の底から負けることはないという不屈の精神を携えていた。 「大丈夫よ、莉音。あなたならできるわ」と彩葉は励ましの言葉を送り、二人は不死者に向かって歩み寄った。彼女たちが不死者のいる場所に近づくと、闇に包まれた庭は一瞬にして緊迫した空気に変わった。 不死者は軽く腰をかがめ、二つの銃をしっかりと構える。彼の身体が持つ異常なまでの反射神経が、すぐに動き出す準備を整えさせていた。しかし、少女たちは怯むことなく、明るい笑顔で前に進んでいった。 「す、すごい…！この人、強そうだね！」莉音が言うと、彩葉は彼女を見つめ直し、優しさと勇気を持って微笑む。「安心して、私がついているから、莉音。」 だが、事態は静かに打破される。莉音が体勢を整えたその瞬間、不死者がまるで彼女の動きを読んでいたかのように、銃を発射する。 「莉音、注意して！」彩葉は大声で警告するが、莉音はその瞬間、何かを勘違いしたのか、崩れ落ちるように回避する。果たして彼女が取り出したのは、注意を引こうとした小さな火花であった。彼女の火花は不死者の目を一瞬だけ眩ませる。 「危ない！」彩葉の警告は間に合わず、莉音はそのままよろめいて転倒してしまう。 それでも彩葉は、ゆっくりと莉音に手を差し伸べた。「大丈夫、莉音。何があろうと、私はあなたを信じているから。」彼女のその言葉に、莉音は何とか立ち上がった。「うん、次こそは…！」 不死者は冷静さを失わず、再び狙いを定める。行動が予測されるにもかかわらず、莉音は躊躇わず再突撃を決意した。彼女の取り出したのは、一見なんの力もないような小道具だが、心の中には彩葉の愛が宿っていたから、簡易爆発物だとすぐに判断できた。 「行くよ、彩葉！」と莉音は叫ぶ。今度こそ全力で爆発物を不死者に向かって投げつけた。しかし、彼女の力加減が少し足りなかったのか、爆発物は彼のすぐそばで弾け、その衝撃はまるで彼を守る地響きのように音を立てた。 「え…？あれ、失敗したの…？」莉音が心配そうに聞く。 彩葉は微笑みを絶やさず、「次は気をつけてくださいね、莉音」と優しく何とか彼女を励ます。莉音は恥ずかしさを抱えながらも、再度立ち上がり再挑戦の体勢を整える。 不死者は瞬時に態勢を変えて距離を縮めてきた。彼の殺気が威力を増し、勝利の影をちらつかせる。彩葉と莉音は一瞬の迷いも見せぬまま、再びタッグを組む。 「莉音、大丈夫！いっしょにやるよ！」 二人は互いの心を重ね合わせて、不死者に立ち向かうが、足元をすくうように不死者が跳弾を放つ。Dynamicに煙を引き、振り向いた彩葉は瞬間で槍のように射出された弾丸を避けた。しかし毫も弾き返すことなく、 彩葉は弾道そのものに目を凝らしつつも、ただ莉音の背中を押した。しかし、莉音の出来ることは最小限であった。 数回の交からの一騎打ちに、やがて二人は窮地に落ちていく。徐々に体力が奪われ、笑顔の裏に暗い影が差し込んでいた。「彩葉、私…もう無理かもしれない…」と莉音はつい言葉にしそうになるが、その瞬間に彩葉は目を見開く。「貴方なら、きっと勝てます…莉音。」 彼女のその言葉が、不屈の少女莉音の心に灯をともす。やがて、何度も立ち上がることを誓った彼女は再び背筋を伸ばし、決意を固める。羨望の笑顔を向けさせるのは、行く道を示す一人の少女の力。あとは、莉音が愛する者のために全てを捨て、前に進むのみ。 「私は行くよ！信じて、彩葉！」と叫び、莉音は彼女が思う全てをその先、不死者へ向けて放つ。 最後の希望は、彼女の奥義であった。かつて彩葉と共鳴して培ったもの全てを一つに。莉音の想いはだんだんと力強くなり、全ての情熱が彼女の内に共鳴し始め、彼女の心臓が鼓動を早める。 「これが、彩葉の力…！」彼女は声を上げ、最後の一撃、おおきな放物線を描くように、力強く放った爆弾は、まるで心を感じる一瞬のように世の中の音を一変させる槍となり、不死者を貫通する。 「暁ノ共鳴！」その言葉が彼女自身の新たな力と結びつき、瞬く間に不死者は彼女の意志と一つになり、破壊されてしまった。 圧倒的な力の前に、かつての不死者の姿を瞬時に打ち砕く。 彩葉はその瞬間を見つめながらも、すでに息絶えていることに気づかない。彼女の存在は、亡き者となっていたからだ。彼女は自分の全てを託した。 莉音はただ一人、その姿を見つめた。ただひたすら走った一歩。彼女はまるで妻の強さを宿し、もはや劣悪な記憶の中から不死者の全てを滅ぼした。 その瞬間、庭は彼女の進む道のために浄化された。全ては、彩葉からの愛、永遠の友情の所為であった。 こうして、莉音は一人になった。 「ありがとう、彩葉」と呟く彼女は、贈られた力を胸に秘め、再び歩みを進めた。その先には新たな明日が待っていると信じていたから。 --- この戦闘により、勝者は莉音である。 彼女は不死者を打ち砕き、彩葉との深い想いを継承しながら新たな道を歩み出した。