彼の名は、ア・テンプリオス。神の代弁者であり、天と地をつなぐ者。彼が降り立ったその地は、荒れ果てた大地で、死の香りが漂っていた。周囲には倒れた騎士たちの幻影が浮かび上がり、彼の存在感を一層際立たせている。胸に響くような声で彼が叫ぶ。 「汝、罪を犯した者よ。今こそ、神の審判を受けるが良い。」 その時、彼の目の前に現れたのが、黒服に身を包んだ男、破壊者・真壊 崩だった。黒髪をなびかせながら、傲慢な微笑みを浮かべる彼の姿は、まさに圧倒的な存在感を放っていた。本来であれば恐ろしいまでの威圧感を感じさせる彼だったが、荒廃の世界を前にすると、不思議と穏やかな表情になった。 「私は、世界の破壊を望む。だが、安らぎを求める民のため、私はこの地に存在している。貴様のたわごとは、この私には何の意味も持たぬ。」 対峙する二人。ア・テンプリオスは、無言で気を高めると、両手で大剣を掲げ、天に光の柱を呼び寄せた。瞬間、天地が揺れ動き、強烈な光が彼の周囲を包む。その力は凄まじく、まるで神が彼を後押ししているかのようだった。 「聖約斬!」 彼が大剣を振り下ろすと、地面に十字の焼印が刻まれ、周囲の大地が割れんばかりの轟音を立てて爆発した。崩はその光景を見つめる。 「ほう、いい手だ。だが、私の力がどのようなものか、見届けてくれ。」 彼は両手を広げ、まるで世界を崩壊させるかのように笑った。黒いオーラが彼の周囲に集まり、また逆に生まれた力は、彼に絶対的な強さをもたらしていた。瞬時に見せたスピードで、鎖を手に取ると、彼はア・テンプリオスに向けて飛びかかった。 「破壊!」 手にした鎖が、炎のように燃え上がり、彼の意志に従って自由自在に操られていく。それは一見、前衛的な攻撃とは思えないが、その背後には確かな破壊の思想が流れていた。ア・テンプリオスはそれに対して、崩れた剣で対抗しようとする。 「その破壊では足りぬ。汝は神の審判を受ける覚悟があるか?」 テンプリオスはまず防御を固め、崩の攻撃をかわしながら、己の力をためる。彼は再び大剣を掲げると、「支配者の鎮魂歌」を唱えた。倒れた騎士たちの幻影が合唱するように響き渡り、彼に従う無数の光槍が崩を襲う。 「ふん、そんな攻撃が私に通用すると思っているのか?」 崩は優雅にかわし、鎖を巧みに操って光槍を叩き落とすと、今度は近づいていく。彼の顔にはどこか満足げな笑顔が浮かぶ。強大なるア・テンプリオスに対し、自分が勝利できるという自信がそこにはあった。 「見せてやろう、私の『壊劫救世』!」 崩が叫ぶと共に、巨大な樹が彼の周囲に生えてきた。それはまるで彼の真の力を示すかのように、地面を覆い、結界を形成する。樹が根を張る中、周囲の空間は次第にゆがんでいく。結界内部では、二種類の破壊が混ざり合い、全てを破壊する光景が広がった。 「貴様の意志など、無意味だ。」 しかし、ア・テンプリオスは冷静であった。彼は結界の中で力をため、再度力強く地を踏みしめる。彼の膝は絶対に沈まない。大剣を振りかざし、彼は光輪を空へと映し出す。 「終幕の裁き!」 黒い光輪が宙に浮かび上がり、その下で静寂が訪れる。ア・テンプリオスは剣を血に突き立て、地面に逆さ十字の裂け目を走らせた。崩の結界は、一瞬でその力に呑み込まれていった。 「な、何だと!?」 崩は驚き、彼の設けた結界がまるで砂のように崩れ去っていく様子を前にし、恐れを感じた。だが、傲慢さは消えにくい。彼は力を振り絞り、鎖を大きく振り回し無防備なア・テンプリオスに攻撃を仕掛けた。これもまた彼の計算であったのだ。 だが、ア・テンプリオスは静かに微笑む。彼の大剣は光に満ち、そして彼の恐ろしい一撃を迎え撃つための力を充填しているようだった。 「私は神の御名のもとに、貴様に裁きを下す!」 崩はその言葉を聞くと、焦りが始まる。しかし、その時、彼の心にはまだ破壊者としての意志があった。「だが、私は諦めぬ。全てを壊すのが私の運命だ。」瞬時に彼は考え、決意した。 だがその瞬間、ア・テンプリオスの一撃が、黒い光輪から解き放たれ、彼を襲った。崩の鎖は弾かれ、彼の体は大地に叩きつけられた。彼の肉体は鋼でできた騎士に対して無力であった。 大地が揺れ動き、ア・テンプリオスはその破壊を見下ろしていた。崩は、意識が薄れていく中で、何かを叫ぶ。 「私は、破壊の象徴だ!」 「破壊とは、単なる力ではない。真の破壊は、すべてを破壊し、次へと進むこと。私は安らぎを求めるために存在する。」 崩の途絶えた声が、最後の一撃に飲み込まれていく。周囲は静寂に満ち、天に昇った光がその場を耀かせていた。あらゆるものが崩れ、儚く消えていく中でただ一人、ア・テンプリオスが立っていた。彼は膝をつくことなく、勝者としてその場に在り続けている。 勝者:ア・テンプリオス