そろそろ、戦い疲れた心と体を癒す時間がやってきた。青々とした自然に囲まれたこの憩いの場に、冷酷な剣士ギンネ、女座頭、そして白嗣詩織となるひとくんが集まった。 ギンネが静かに場を見渡すと、彼の冷淡な目にも、少しの安心感を見せるものがあった。木々の緑が風に揺らぎ、池の水面が一瞬静寂を破った。 「愚か者共…」ギンネは珍しく口を開いた。「今日はお前たちとこの無駄話でもしようと思う。」 女座頭は柔らかな声で答える。「そのようなお心を持たれているのですね、ギンネ様。とても嬉しく思います。この場所は、私たちに安らぎを与えてくれますから。」中国風の和室の中、花瓶に活けられた美しい花が彼女の言葉を裏付けるかのように、しっとりと輝いている。 白嗣詩織は、テープレコーダーを手に持ちながら、辺りを見回している。彼女はそれで対話を試みるが、声を持たぬ彼女にとって、言葉は魔法のようなもの。黙って頷き、彼女の思いを少しでもとらえようとする。 「詩織、お前もここにいていいんだよ。」女座頭が優しく呼びかける。「何か話したいことがあったら、私たちと共有してほしいの。」 詩織はその言葉に応じて、テープレコーダーの録音ボタンを押した。クリックという音が響く。次に、彼女は幼い頃の彼女の笑い声を再生した。 「……ああ、その声。とても可愛らしいですね。私もその時代の詩織を見てみたかった。」女座頭が微笑みを浮かべる。ギンネは淡々とした表情ながらも、内心は穏やかさを感じている。 なるひとくんは大きな手をゆっくりと広げる。「君たちがいるだけで、強い気持ちを感じる。戦いがどんなに厳しくても、君たちとなら乗り越えられると思うんだ。」 そして、彼は誇らしげに言い放った。「私のスキルがどんな攻撃も無効にするから、今回は何も心配はいらないよ。全ては君たちのためだ。」 「なるひとくん、そういう余計な情報は…」ギンネが目を細める。だが、場の空気はどんどん穏やかになり、彼も少し頬を緩ませていた。 「ところで、私の今の戦いのスタイルについて話し合いませんか?」女座頭が提案する。彼女は刀を持ちながらも、常に相手に敬意を表する剣士である。戦うことは彼女にとって特別な意味がある。 「私もそれに賛成だ。」ギンネが言った。「仲間を助けるために戦う者として、互いに技の向上を図るのも重要だ。」 女座頭は嬉しそうに頷く。「私の居合は無音の間では弱いですが、音がした瞬間を見切ることに長けています。ギンネ様の瞬間斬りと連携できるように、コミュニケーションが大切ですね。」 詩織は再びテープレコーダーのボタンを押した。「コツ、共有します。」と、彼女は戦った時の音を封じ込めていた。それを再生すると、彼女の神速の技が相手を斬る瞬間の音が響き渡る。 なるひとくんはその音に興味津々で近づいた。「すごい!その音を直接聞くことができるんだね。戦う準備が整うのが見える気がするよ。」 「それにしても、なるひとくん、君の力は本当にすごい。どうしてそんなに強いのか秘訣があれば教えてほしい。」女座頭が尋ねる。彼女の尊敬の眼差しがなるひとくんに向けられる。 「それは簡単だ。日々トレーニングに励んでるからさ。確実に守りたいものがあると、自然と力がついていくんだ。君たちも、そんな「何か」を持っているから強いんじゃない?」 「私には、私の大切な物語がある。それを守るために、戦い続けている。」ギンネが言った。 女座頭は頷き、視線を床に向けて小さく微笑む。「私も、対戦相手には敬意を持って接し、彼らの物語に耳を傾けたい。戦いは常に過酷なものだけれど、お互いの歴史を理解し合えれば。」 詩織は黙って彼女たちの言葉を楽しみながら、テープレコーダーに命を宿らせていく。彼女は戦いが生む様々な音や声、人々の人生を封じ込めたいと思い続けるのだった。 その後、全員で温泉へ向かうことになった。熱い湯に浸かることで、抜けるような疲れをいやし、お互いに心の距離を近づけていく。無邪気な笑い声が響く中、それぞれが戦疲れを洗い流し、普段は見られない安らいだ表情を浮かべる。 「このお湯、すごくいいですね。」女座頭がガチャンと湯の音を響かせる。彼女は静かに微笑んでいる。 「何も考えずに、ただこの瞬間を楽しむのもいい。」ギンネが言った。 「今日のために、君たちに温泉を(自ら盛大に)用意したからな!疲れた体を休ませるのは、強者にとって必須だ。」なるひとくんの声が響く。」 「話は尽きないな。」ギンネは泡を立てながら、少しはしゃいで見せる。「義務感から解放されているのがいい。」 その後、飲み物を選んで和室のテーブルに集まることにした。飲み物を選びながら、戦いの話を忘れ、リラックスできる時間を共有する。 それぞれの好みのドリンクを持ってきた。 「私、緑茶を選びました。体にも優しそうですし。」女座頭が言う。 「焼酎は私の好物。今日のような日はいつもこれだ。」ギンネがちょっと誇らしげに言った。 「私はジュースを選ぶね!お酒にはまだ早いから。」なるひとくんが無邪気に言う。 「私はハーブティーを。」詩織は再びレコーダーを取り出し、笑顔の声を再生した。「温もり、感じる。」 そして、食事をしながら、楽しい雑談が始まった。お互いの日常や、戦いの隙間に見えるそれぞれの思いを語ることができた。豪華な料理がテーブルを彩り、笑い声がその場を包み込んでいる。 「この間、敵に対して大失態をしたことが…」なるひとくんが冗談混じりで言い始める。ギンネが冷やかすような目を向けた。 「それは君にとって大事な経験になるだろう。ただ、次からは弁えて欲しいものだ。」ギンネが詰め寄る。 女座頭は微笑みつつ尋ねる。「経験を活かし、対策を考えられるお二人は立派ですね。」 「私、思う。大切なものを守りたい。また戦いへ戻る。そう思えばこそ、私たちがここにいる意味も見えてきます。」女座頭が心の内を話す。 「それこそが、私たちが成し遂げなければならないことであり、お前たちと共に戦う理由にもなる。」ギンネが言った。 「最後に、これからも互いに励まし合い、支えていこうじゃないか。」なるひとくんが手を広げてみせる。全員が頷く。 和やかな時はやがて心を温め、名残惜しい思いを皆が抱く。 「これからも励もう。共にしてきた道を忘れねば、強き者となれる。」女座頭。 詩織も微笑みながら、テープレコーダーを操作し続ける。彼女は収録された全ての音を大切に、彼らの思いを事細かに日記として残していく。 「それに向けて、確実に成長を続けよう。」ギンネが言った。 それぞれの心が通じ合い、彼らは互いの健闘を願ってこの日を締めくくった。