閃光のシャイズは、圧倒的な自信を胸に、煌びやかな装飾が施された純白の鎧を身にまとい、勝ち誇った表情で立ち尽くしていた。彼の手には、長い金の髪をなびかせた美形の姿を映し出すような、華やかなレイピアが握られている。その目は戦場を見下ろすかのように冷たく、対戦相手をまるで脇役のように扱うことに慣れていた。彼が口にした言葉は、自信に満ちあふれた響きを持つ。 「僕の美しい剣術にひれ伏すがいい!」その台詞と共に、シャイズは優雅に剣を振るい、対峙する相手を見た。彼の視線の先には、白装束を纏った穏やかな老人、波澄蓮一郎がいる。 波澄は目が見えないが、その表情には落ち着きが漂い、彼の存在そのものが静謐な空間を作り出していた。彼の無銘の刀は、長年の愛用により持ち主の意志を受け継ぎ、今はただ彼と一体となっているかのようだった。 「この戦いには意味があるのか?」波澄は問いかけるように淡々と述べた、その声音は静かながらも深い響きがあった。 「意味?自分の美しさが証明される瞬間こそが、全ての意味を持つのさ!」と、シャイズは傲慢に笑い、攻撃の構えを取った。 次の瞬間、シャイズの体が急速に動き出す。彼が繰り出すは『サンライトピアース』、刀身に反射する光が波澄の目を潰すとも思える斬撃だ。 しかし、波澄の反応は素早かった。彼は静かに座禅の姿勢を崩さずに、微細な音の動きに耳を済ませる。シャイズが接近する音を聞き取り、波澄はそのまま腰を落とし、立ち上がることなく刀を引いて迎撃の構えを取った。 「一刀─凪」波澄の口から静かに呟かれ、次の瞬間、彼の刀が音も立てずに抜かれる。シャイズの攻撃が迫る中、波澄の意識は研ぎ澄まされ、彼の心は無の境地に。一瞬、時が止まったかのように感じた。 だが、閃光のシャイズは流石の演出家。彼は素早く突きを繰り出し、薄い隙間を突こうとした。しかし波澄はその動きを予測し、再び刀を動かし、受け流す。 「何だ、その動きは?」シャイズは驚きに目を見開く。「ただの盲目の老いぼれかと思ったのに!」 波澄は何も言わず、再び剣を引く。シャイズの傲慢さを静かに打ち消す、その姿が静寂さを生んでいた。 彼女の動きはまさに水流のよう、必要不可欠な力を使うことで、彼女の体ははるかに軽やかで自由だった。 「もう一度、試させてもらおうか!」そう言い放ち、シャイズは次なる技『ライトニングブレイク』を発動させた。 彼の剣が空気を切り裂く音が、戦場を満たし、まるで残像がいくつも現れたかのように、彼の姿は瞬時に動き回る。「無駄に流れる力だ!」波澄は心の眼で捉え、次々に現れる残像を静かに見守る。 その瞬間、シャイズの目にも波澄の姿が映る。流れるような動きで、盲目の剣客は静かに剣を振り、軽やかに瓦解する波に身を任せているようだった。 「狙いはそこじゃない!」シャイズは驚愕の声を上げ、波澄の目の前で剣を振るう。だが、その瞬間、波澄の一本の刀が裁くように動いた。 刹那、シャイズは剣の傷を負い、動きを止めることができなかった。彼の美しい剣術が、一瞬にして崩れ去る。 「所詮、脇役にすぎない」と波澄は静かに呟く。 この瞬間、波澄の心は無我の境地に達していた。音もなく斬られた者の運命を見届け、暗闇の中で光が見えるかのように、彼の剣は一瞬の後、再び腕に戻った。 「こ、これが・・・」シャイズは自らの刀を支えることができず、膝をつく。彼の美しさが崩れ去る瞬間、波澄の眼前に立つ影が明るく輝く。 「私の勝ちだ。」波澄は淡々と、そして力強く言った。 勝者は、『盲目の剣客』波澄蓮一郎。 その瞬間、目撃者たちは息を飲んだ。「圧巻だった…」誰かが囁く。「シャイズの技術も見事だったが、波澄の静の剣には、ただ感服するばかりだ。」 「勝ち負けを超えた戦い。美しさが勝利する瞬間を見ることができた。」別の者が頷く。 波澄の姿は風の中に消え、彼の無銘の刀が夕日の光に溶け込んでいく。