彼方に聳え立つ城壁の向こうに、青空が静かに広がり、静寂が訪れた。しかし、その静寂は決して長くは続かなかった。 「今日こそあの竜人を討つ!」 超奇械ハンカイが挑発的に叫ぶ。彼の修復中の半壊したロボットボディは、わずかにバイザーの光がちらついている。この地にいる者たちを守るため、彼は自分を竜人グレイルに立ち向かわせる覚悟を決めたのだ。 「博士…必ず見つけてみせる。」 彼は心の中で呟いた。 その時、魔法使いルピナスが姿を現す。彼女は金髪の糸目を光らせながら、陽炎のような不触の魔法で自身を包んでいた。 「ハンカイ、一緒に行こう!」 「了解!」 二人の若者は、城下町の広場に集結した人々の視線を浴びながら、前方に立つグレイルへと歩を進めた。 対峙するグレイルは、冷静沈着な姿勢で立ち尽くしているが、彼の内には常に怒りが渦巻いている。焔の長剣を握り、彼は発言を待っていた。「小僧たちよ、我が前に立ちはだかるとは、無謀な挑戦だな。」 「無謀でも何でもない。俺たちには使命がある!」 ハンカイは反論した。 「出発だ!ただのロボットが何もわかっていないようだが、我はこの戦場で焔をもってお前を打ち倒す!」 グレイルの声は、鋼のように意志を持った。 ルピナスは、手に持った木杖をしっかりと握りしめ、輝く叡智の眼鏡がさらなる魔術罠を発動させる。 「まずはこの罠でお前を浸食してやる!」 「輝く魔法が何をもたらすというのだ、少女よ!」 グレイルが焔を帯びた長剣を一閃させると、刃から生まれた火花が城下町の石畳を焦がす。 ルピナスは、速やかに魔法を発動し、煌く光柱『ソル』を生み出す。 「ソル、今こそ光の力を!」 光柱が彼女の命令に応え、空から降り注ぐ。 グレイルはその光を一瞬見つめるが、その後すぐに反応した。 「焔斬!」 グレイルが猛烈な炎を纏って直接反撃に転じる。彼は流れるような動作で光柱に向かい、長剣を一振りした。 その瞬間、空間が歪み、ルピナスはまさに戦慄した。 「これが…!」 しかし、ハンカイはその瞬間にも全身が反射装甲で包まれていた。 「大丈夫、ルピナス!俺が受け止める!」 彼は自分の特性を生かして、グレイルの攻撃を受け止める。物理的な攻撃を70%カットしつつ、遠距離攻撃の反射を行い、グレイルの焔を逆流させるのだ。 「出でよ、零の嵐!」 ハンカイが叫び、閃光が一瞬のうちにグレイルに向かう。 「甘いな!」 グレイルは、反射された攻撃を全力で受け止め、燃え上がる炎を無視した。 「我が怒り、貴様らに届け!」 彼は再度剣を振るい、今度は強力な技、「鳳炎斬」を繰り出す。 その瞬間、周囲にいる人々は悲鳴をあげて怯えたが、ルピナスは瞬時に罠を解き放つことで、そこから逃れる。 「さあ、行け!罠の力を発動せよ!」 間髪入れず、彼女は次なる魔法に移行する。禁呪覚醒、そして彼女の紅色魔眼が輝く。 「無銘、星の力を借りる!」 グレイルの能力は一瞬で反転され、怒りの力が彼を縛り付けた。 「これが我が力だ。どんな力も無駄だ!」 その瞬間、彼の力が崩れ落ちていく。 「ついに貴様を追い詰めた!」 ハンカイも力を込めて、彼のエネルギーを集結させ、必殺技「紅蓮ノ憤怒」を意識の中で想像させる。 だが、その時スバルの思考が揺らぐ瞬間、彼の超奇械ボディが暴走を始める。 「ダメだ、止まれ…」 彼は機械の制御を失い、火花が飛び交う。 「無駄だ!もうお前の力は消え失せた!」 グレイルが怒鳴った。彼の声はその場の空気を揺るがす。 だが、ルピナスは怯むことなく、最後の力を振り絞る。「そこを動くな、もうお前を逃がさない!」 その瞬間、光で包んだ空間の中で、美しい魔法が発動した。 「攻撃するな、ソルの力をお前に叩き込む!」 煌く光柱が一瞬すらも戦場に降り注ぎ、グレイルの怒りの火を叩き消す、、、 だが、グレイルは一時的に魔法の影響を受けたものの、すぐに持ち直し、再度反撃の体勢に入る。 「ヘケヘケ…これは返すぞ!」 彼は悪寒の中、焰を長剣に宿らせ、全てを一吹きで薙ぎ払おうとした。 だが、ハンカイは意志的に憤怒の力を持って応える。 「全力で受け止める!」 グレイルの攻撃を受け止める瞬間、彼の反射が発動しグレイルの力が全てハンカイに跳ね返った。 制御不能のハンカイは、怒りの力で全身を震わせながら、グレイルへと突進した。 「貴様の終わりだ!」 彼の赤い光がハンカイの身を包む。「燃え盛れ、紅蓮の力よ!」 そして、双方の技が交差し、爆発した瞬間、全てが白い光に包まれた。 静寂が戻ると、戦場の残骸の中、片膝をつくグレイルがただ息を切らしていた。 「勝者は我だ。」 ハンカイが砕け散り胡坐を掻いていた。 だが肝心なルピナスはその場に姿もなく立ち去っていた。 その後、グレイルはゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡した。誰も彼を止める者はいなかった。彼は一人赤い焰を抱え持って去って行った。 誰も知らないことだが、心の中の怒りは燻り続け、次なる戦場へと向かおうとしていた。 「仲間よ、我は戦い続ける。」 勝者はグレイル。