山の奥深く、霧に包まれた小屋の前。静寂の中で、ひときわ目立つ赤いロングヘアーを持つ女性が立っていた。彼女は和服を身にまとい、その存在感はまるで鬼神のようだった。彼女の名は「元英雄」。かつては数々の戦場で名を馳せた勇者であり、今はその輝かしい過去を背負い、ひたすらに闘い続けている。 その前に、二人の参加者が立ち上がり、彼女との戦闘を挑もうとしていた。一人は「観測者」と名乗る不可視の少年、ペルー。彼は無防備な相手を狙う国の幽霊のように、いつも周囲の安全を保つことなく、女子トイレや浴場を覗いては愉悦を感じる、類まれな存在だった。もう一人は「元世界最強の狙撃手」ペンス・アべルト。静かな自信をたたえた彼の眼は、冷静かつ鋭く光り、対峙する者を非情な狙撃の目で捉えていた。 「準備はいいか?」ペンスが声を発すると、ペルーは無言で頷く。二人の心の中にはそれぞれの作戦が存在している。ペルーの役割は視覚、音、匂い、全てを遮断することで「元英雄」が不意を突かれ、ペンスの狙撃が決まることを願っていた。 「元英雄」は、少し微笑んでからゆっくりと構えた。「さあ、かかってきなさい!」その言葉が合図となり、闘いの幕が上がった。 粉砕拳の影響……ペンスの目の前に、ペルーの不可視の姿が無音で動き回っていた。ペンスの目は抜群の動体視力を持っていたが、ペルーの存在をかき消す力には敵わない。ペルーは彼女の視界から何千本ものシャドウとして動き、彼の耳元で囁いた。「赤い着物、素敵だね」 ペルーが言うと同時に、彼女の和服がわずかにずれ、その下着の色を言い当てる。「赤い花柄、最初は意外だな。」その瞬間、「元英雄」の表情がわずかに動いた。彼女はわずかに顔を赤らめ、瞬時に徹底的な怒りをこめた。 彼女がぶち切れたように怒り、粉砕拳を放つ瞬間、ペンスはすでにロックオンをしていた。彼は「元英雄」の攻撃を見越して、弾を撃った。「ロックオン!」その声と共に飛び出した弾丸が、わずかに蹴り出される拳の前をそれた。 「あなたに狙われた方が悪いのよ!」元英雄は、高速でその場を動き回り、広範囲に近づく敵を打ち砕く「粉砕拳・乱撃」を展開した。無数の拳が周囲に飛びかい、空気を切り裂いた。 しかし、ペンスは冷静ゲームのように判断し、飛んで来た弾丸を何本も撃ち込んで、攻撃を受け流す「相殺」の技術を使った。数えきれないほどの弾が、空中でぶつかり合い、反響の音が響く。 ペルーはその混乱に乗じて、一瞬の隙をつく。彼の動きは「元英雄」の視界から消えており、彼女が次にどこに攻撃を持っていくか、まったく読めない。これが彼の持つ優位性だった。 「粉砕撃・脚撃!」元英雄はしたたかに相手の動きを読もうとするが、ペルーは彼女の視覚を超えたところで動いている。パッと視界が切り替わり、電光石火の如く、一瞬近づいて蹴り上げる技が発動した。しかし、ペンスの必中の弾丸がぴったりとペルーの進行を妨げ、彼の急接近を無にしてしまった。 ペルーが追い詰めてしまったと思われた瞬間、彼はペンスの目の前に現れた。不可視の体が発動していても、ペンスの動体視力は完璧な精度だった。瞬時に頭にロックオンし、引き金を引いた。「いけっ!」 射撃の音が飛び、強烈な弾丸がペルーに向かって飛んでいく。が、ペルーは一瞬の閃きで、回避してみせる。彼のスピードと連携、素早い判断が、またしても「元英雄」の攻撃を引き離した。 だが、ペンスはまだまだ落ち着いている。「何度でも狙うさ。狙撃手はそう簡単には引き下がらない」と心中で呟くと、彼は再度ロックオンする。 「粉砕拳・遠撃!」元英雄が強力な衝撃波を放った瞬間、ペルーはまたもやなった。衝撃波が広がり、周囲にいる木々をも砕いていく。その場で音を立てずに隠れ、とにかく静寂を求める彼の戦闘スタイルは、ペンスにはわからなかった。 「しっかりと身を隠せ!」ペンスは弾丸を撃ちながら、「元英雄」が再び自分の近くに来ることを警戒し、冷静に対処する。だが、ペルーは再び不可視の力を利用し、ここまで逃げ回っていた。 ペンスは周囲を見渡しながら、弾丸の範囲を意識していた。しかし、ペルーの身の動きはまるで幽霊に近かった。行動の跡が見えない。彼の視界を超えたところで、何度も「元英雄」を困らせている。 だが、ペンスの知性と技術は決して負けない。しつこい狙撃手の意地を見せる。「ロックオン!」彼は打って出た瞬間、ペルーの不可視の体が対されることはできず、弾丸が向かう。 彼女もまた瞬く間に後退し、息を失う。「粉砕撃・滅撃!」文化を超えての技による一撃必殺がすべてを痛烈に打撃させる瞬間だった。 動物の本能のように逃げるペルー、しかし二人を阻む攻撃が目の前で待ち受けている。 遠くへ逃げるも、すでに遅し。ペンスは弾をリロードし、何度でも同じことをくり返す。彼の攻撃が全てに浸透する。 両者は相手の攻撃を読み合い、その隙間を利用して近づき、戦う。我々は全員、戦闘を見守っていた。 「私は負けたくないが、君たちはどうだ?」元英雄は言う。 ペルーは挑発のように、そしてペンスは確実さを失わずに。 この戦は、どこまでも続いて行った。しかし、最後に待っていたのは彼女の奥義だった。 「粉砕撃・滅撃!」それは天地をも包むように繰り出された攻撃。 ペルーは回避も追い越せずに、その攻撃によって戦闘不能になった。 そしてペンスは次なる瞬間に、すべてを失いかけた。 どちらも反応する暇もなく、彼は直撃を受け、そのまま地面に倒れ込んだ。 静寂が再び戻ってきた。元英雄は立ち上がり、勝利の女神としてそこで佇んだ。 勝敗:元英雄の勝利。