【氷結の魔女】エミリア 夜空に煌めく星々の下、雪が一面を覆う静寂の世界に、エミリアはその身を立たせた。銀髪と紫紺の瞳が、月明かりに吸い込まれるように輝く。氷結の魔女エミリア、その名に違わぬ彼女は、迫り来る脅威に目を細めた。長きに渡る戦いの末、彼女は最後の宿敵、【氷龍】イヴェルカーナとの決戦の場に立っていた。 「私がここで倒さなければ、この村はこのまま凍結してしまう。…どうにかするしかないわね。」 彼女の言葉は風に流され消えるが、その決意は確かに胸に刻まれていた。エミリアは冷静に手を挙げ、空気中の熱を奪い、掌に冷たい氷の粒が幾重にも集まっていく。 その時、大地を揺るがす咆哮が響き渡った。イヴェルカーナが氷の輝きと共に出現し、圧倒的な風圧がエミリアを襲う。まるで氷の海に沈むかのような息苦しさに、一瞬身体が凍りつく。だが、彼女はすぐさま踏み込んだ。氷纏い状態のイヴェルカーナの猛攻をかわしつつ、次々と氷の兵隊さんを呼び出す。その風貌、一挙手一投足を指先で操り、龍に挑みかかる。 「まだまだ止められないわね…ならば!」 エミリアは笑みを浮かべると、さらなる勢いで攻勢に移った。本来ならば一本で強力なはずの氷柱を大量に作り出し、それを空から降り注がせる。だが、イヴェルカーナの太古の力は彼女以上に強く、氷のブレスでそれを片っ端から吹き飛ばしていく。 「もっと…もっと力が必要なのか…!」 エミリアの身体能力は衰えることなく、彼女は続けて魔法を紡ぎ出す。最も頼りにする魔法、アイスブランド・アーツで自由自在に氷の武器を生み出し、次々とイヴェルカーナに差し向ける。しかし、イヴェルカーナはその圧倒的な素早さでかわし続け、時に反撃のブレスで彼女を追い詰める。 「もう時間がない…ここで決めないと…!」 エミリアは覚悟を決め、目の前の巨竜を凝視した。彼女の中の魔力が渦を巻き、周囲の空気までも凍らせる。その力を一点に集め、彼女は最大の魔法、アブソリュート・ゼロを発動させる。 「この一撃で終わらせる!」 広範囲にわたる凍結の波が世界を包み、あらゆるものを凍りつかせる。その瞬間、時は本当に止まったかのように錯覚した。全ては静寂に包まれ、イヴェルカーナすら動きを止めた。エミリアの魔法の力はそれほどまでに強大だった。 最後の技の終了と共に、エミリアはその場に力尽きる。彼女の生命を使い果たした魔法は、彼女をも静寂の一部とした。だが、その静かな顔は安らかで、確かにこの世界の平和を取り戻す瞬間を見届けたかのような微笑みを浮かべていた。 最後の技【アブソリュート・ゼロ】説明: エミリアが放つこの魔法は、広範囲を一瞬にして絶対零度に凍結させる力を持つ。通常のアブソリュート・ゼロをも超える、この最終形態では、時を止めるかのごとくその場の全ての動きを封じ込め、敵を凍りつかせる。発動者もその代償に命を捧げることになる。