不触(さわれず)の魔法使いルピナス、破邪の剣聖アーナ・デリシオン、そしてア・テンプリオスの激闘 --- 朝焼けが村を照らし、ゆらめく陽炎のような魔法が空気を漂わせていた。その中に、燦然とした金髪を揺らしながら、一人の少女が佇んでいる。彼女がルピナス、不触(さわれず)の魔法使いだ。村の平和な生活とは裏腹に、彼女の内には強大な力が秘められていると誰もが知らなかった。今日は、何か特別な出来事がある予感がした。 「今日は何があっても私が守るからね。」 彼女は自らの木杖をしっかりと握り、村の中心を見つめる。その眼差しは、どこか不安を孕んでいた。彼女の言葉に反応するかのように、村人たちの視線も彼女に向けられる。 その頃、遠くの山々の先、雲の切れ間からひときわ大きな影が迫っていた。ア・テンプリオス、神の代弁者とも称される巨大な騎士鎧を身に纏った存在。彼の肉体は鋼より硬く、膝が沈むことは決してない。人々が恐れおののく彼の姿は、まさに神の審判そのものであった。 「この地にて、神の意志を広める。これより邪悪を打ち砕く!」 ア・テンプリオスの声が轟き、村は緊迫した空気に包まれる。彼の宣言は、聖約を結び、正しき者には救いを、邪なる者には裁きを与えるものであった。 「彼が現れるなんて、まさかの展開ね……。」 ルピナスは不安を抱えつつも、彼女の内部に芽生えた勇気をかき集める。村を守る決意が生まれていた。 --- その瞬間、村の外れから刃のような風が吹く。そこにいたのは、冷静沈着な目を持った少女、【破邪の剣聖】アーナ・デリシオンだった。彼女は忠義に厚く、師匠に誓った剣士としてそこに立ちていた。 「ア・テンプリオス、あなたの正義という名のもとに、無辜の者を傷つけることは許さない。私が止める!」 アーナの手には《破邪ノ太刀・真正》が握られ、その刃先は決意を示すかのように微かに光っていた。 「貴様たちが私の道を阻むなら、全てを斬り捨てるだけだ!」 ア・テンプリオスの目は、二人の少女に向かう。彼の心には、神の裁きが下る期待感が満ちていた。 --- まず動いたのはアーナだった。彼女の一刀が空を切り裂き、《飛翔の一閃》が放たれる。彼女に見合った速さで斬撃が飛び、ア・テンプリオスを目掛けて直進する。しかし、その瞬間、ルピナスが魔法を発動させる。 「禁呪覚醒:無銘!」 その声と共に、紅色の魔眼が光を放ち、ア・テンプリオスの動きが鈍り始めた。力のベクトルが反転し、彼の攻撃の剛さはまるで逆風に流されるように失われる。 「黙れ小娘!」 ア・テンプリオスは大剣を振り下ろそうとするが、その腕が動かない。ルピナスが放った魔法が彼の強さを奪い去っていた。 「すごい!私はいけるわ、ルピナス!」 アーナはその隙を突く。疾風螺旋斬が放たれ、彼女の姿が瞬時に移動する。無数の斬撃が、ア・テンプリオスの鎧に触れもせず、その存在を脅かすように迫っていた。 「無駄な足掻きだ!」 ア・テンプリオスはその場で大盾を掲げ、《支配者の鎮魂歌》を発動する。倒れた騎士たちの幻影が彼の背後に現れ、悔恨の呻き声を発し、無数の光槍が吹き上がった。 光槍はアーナに向かって突き刺さり、彼女を貫こうとする。しかし、ルピナスは再び「不触の魔法」を発動し、光槍は彼女の周りで消え去る。 「まだよ……まだ私たちには終わりが来ない!」 ルピナスの声が響き、彼女は木杖を持ち上げ、モンスターたちを相手にするパワーを解放した。彼女の魔力が汲み取られ、空から《煌く光柱『ソル』》が降り注ぎ、現世を焼き尽くす高熱光がア・テンプリオスに襲いかかる。 「これが私の魔法……!」 しかし、ア・テンプリオスも貴族の血を持つ騎士、彼は堪えた。その金色の鎧は光を防ぐかのように反射し、衝撃を受け止める。 「貴様の魔力など、軽んじてくれるわ!」 ア・テンプリオスは大剣を天に向かって掲げ、光の柱を逆に受け止め、信じがたい力を持って反撃を試みる。 その時、村中を包む静寂。ア・テンプリオスが冥府の叫びを放ち、逆さ十字の裂け目が地面に走った。彼の施す《終幕の裁き》が周囲を絶望に包み込む。 「ダメだ、逃げて!」 アーナは叫んだが、全ての動きを封じる静寂の中、彼女たちは何もできない。 --- 激闘が続く中、地面は崩れ、空間が歪む瞬間、ルピナスの内から新たなる力が湧き上がる。「これしか、みんなを守れないんだ……!」 彼女は再度《禁呪覚醒:無銘》を発動し、もう一度力を反転させた。だが今度は既に流れに逆らうには力が値しない。 「誰もが大魔王からは逃げられない!」 ルピナスの声は、彼女自身が隠居大魔王であることを無意識に告げていた。 そのとき彼女は、ア・テンプリオスの力の制約を逆に利用して、彼を無意識にこの村から切り去ろうとした。「歴史の中からあなたを消す!」 --- しかし、ア・テンプリオスの神の裁きを受けた彼の存在は、ただの時間で消え去るものではなかった。彼自身の強固な意志で、村を守るために奥の手を使う。彼は最後の力を振り絞った。彼の中には神の意志が宿る。 「神の命が私を通す。全ての邪悪を消すために!」 それと同時に、アーナはア・テンプリオスの直撃を避け、《奥義・次元斬》を打ち出そうとする。アーナの白髪が風になびき、彼女の目に宿った情熱は、時空の狭間を切り裂く。 --- 最終決戦。全ての力を出し尽くし、全ての運命が交差する中、村は運命の波に飲まれ、二つの思念が相争った。ルピナスが戦う気で力を注ぐほどに、ア・テンプリオスも強さを取り戻し、アーナもまた、師匠の教えを胸に秘めて立ち向かう。 「行くわよ!」 アーナは全剣技を持って、ア・テンプリオスに斬りかかる。 「神の意志、最期の時を迎え入れよ。」 ア・テンプリオスも全力を込めて魔法を発動する。「皆のために、私を倒せ!」 どちらが先に倒れるのか、静寂は続く。 どちらの声か、もはや誰にも聞こえず、その瞬間全てが白く包まれていった。 --- 最終的に、運命を持っていたのはアーナ・デリシオンだった。彼女は最後の攻撃がア・テンプリオスの大剣を斬った瞬間、《破邪ノ太刀・真正》が放たれ、彼を打ち倒した。 「私は、あなたを消した……!」 彼女はその瞬間、ただの少女でありながら、世界を変える存在になっていた。 全ては終わりを迎え、村に平和が戻った。 --- 勝者: 破邪の剣聖アーナ・デリシオン 彼女は未来を切り開く新たな光となる。