ふたりの出会い 静かな美術館の中、レオは彼女の描いた絵画を見つめていた。薄暗い照明が彼女の顔を柔らかく照らし、彼女の黒髪と浅黒い肌が静かな美しさを放っていた。彼女の白いスーツは、他の来場者の中でも一際目を引く存在で、特にその茶色のベレー帽が、どこかアーティスティックな雰囲気を漂わせていた。そんな中、レオの視線は、同じく美術館にいた下江コハルに留まった。 コハルは、明るい笑顔を浮かべながら絵画を観賞していた。その姿は無邪気で、でもどこか真剣な眼差しが印象的であった。彼女の特徴である明るい髪が、薄暗い空間で一層際立っていた。レオは、彼女の様子に何故か引き込まれ、その場を動けなくなった。 「この絵、すごく生き生きしてるね!」と、コハルは声を上げた。意外に思ったレオは、自分が絵を描いたことを初めて他の誰かに褒められたような気持ちに包まれた。自分を理解してくれる人物に出会った瞬間、彼女は心のどこかで温かな感情が芽生えるのを感じた。 「君も絵が好きなのか?」レオが声を寄せると、コハルは驚いた顔をした後、嬉しそうに頷いた。「美術館に来るのが大好き!特に、こういう不思議な絵を見るのがたまらないの!」 その言葉にレオは微かに微笑み、コハルのエネルギーに惹かれるように、彼女に一歩近づいた。 「私の作品を気に入ってくれるなんて、嬉しいよ。名前はレオ、君は?」コハルは少し照れくさそうに名乗った。「私は下江コハル。よろしく!」 二人の距離は一気に近づき、まるで運命的な出会いのようだった。レオは、初対面の相手に対してここまで心を開いてしまった自分に驚いていた。同時に、「これから君と何か素敵なことが起こるのではないか」という期待感も抱いていた。 一緒に過ごす日々 それからの日々、レオとコハルは、少しずつ仲を深めていった。美術館での出会いがきっかけで、彼女たちは一緒に絵を描いたり、アートを鑑賞したり、ときにはカフェでお喋りを楽しんだりするようになった。 コハルはいつも元気で前向きだった。レオは、そんな彼女が大好きだった。コハルが笑った時の明るい声は、まるで自分の心を反響させるようで、自然と笑顔がこぼれる。 しかし、時には二人の性格の違いから小さな衝突もあった。レオは計画的に物事を進める一方で、コハルは衝動的に行動することが多く、そのギャップから時折摩擦が生まれた。 「もうちょっと考えてみようよ、コハル。」 しかし、「それが楽しいの!ほら、あれを見て!美味しそうなスイーツのお店があるよ!」と変わらぬ笑顔で応えられると、レオも心を柔らかくしてしまう。 「君にはついていけないかもしれないけど、少しだけ私を楽しませてみてはどう?」コハルは目を輝かせ、レオと手を繋いでそのお店へ向かう。 アートを通じて絆を深めつつも、徐々に彼女たちの心の距離も縮まっていった。強い正義感を持つコハルが、時折レオが持つ冷徹さに触れるたび、彼女の心は揺れ動くのを感じていた。 「私のこと、どう思ってる?」コハルがふと尋ねた。レオは少しだけ考える。「君のことは特別だと思ってる。自由で明るくて、時には少しおっちょこちょいだけどさ、それが君の魅力だよ。」そう言うと、コハルは顔を赤らめて頷くのだった。 ふたりでデート ある日、二人はついにデートをすることになった。レオは少し緊張しながら、コハルのために選んだ服に身を包んだ。満足そうに鏡を見つめながら、「君も気に入ってくれるかしら?」と心の中で呟いた。 待ち合わせ場所に現れると、コハルはいつもの元気な様子で待っていた。「レオ!今日の君も素敵だね!」その言葉にレオは照れくさそうに微笑む。 「ありがとう。今日はお付き合いよろしくね。」コハルは嬉しそうな笑顔を浮かべいざ出発。 まずは、人気のアートイベントが開かれている公園に向かうことにした。様々な作品が展示されており、二人はお互いの好みを語り合った。 「この作品、すごく不思議だね!」とコハルが指差す作品に目を輝かせている様子をみて、レオは幸せを感じる。「そうだね、アーティストの気持ちを感じることができる。この作品の背景にはどんな物語があるんだろうね。」 その後、手を繋ぎながらアートブースを巡り、最後は近くのカフェでコーヒーを飲むことにした。レオは、普段の彼女らしい冷静さを保とうとしていたが、コハルといると心が温まるのだ。 「ここ、落ち着くね。」とコハルが言う。「外の騒がしさが嘘みたい!」レオは「そうだね、ここでずっと君と一緒にいたいよ」と思わず言うと、コハルの表情が一瞬固まった。その後、彼女は照れたように笑った。 デートを通して、二人の距離はまた一歩近づいた。そして、コハルがとったさらなる行動に注目する。 「レオ、今度は私が君を描いてあげる!」突然の提案に、レオは目を見開く。「私を?いいのか?」コハルは元気よく頷いた。「もちろん!君の美しさを絵にするのは、とても楽しみ!」 この一言で、レオは少し緩んだ表情を見せる。二人はその日、しっかりと心が繋がった気がした。 デート後の少し寂しい雰囲気 デートが終わり、二人は帰り道を歩いていた。レオは心に秘めた「もっと一緒にいたい」という感情をどうにかこらえていた。 「楽しかったね、今日!」コハルが言う。不安な気持ちを抱えたまま、レオは「うん、私も嬉しかった。」と答える。しかし、その笑顔の裏には、少しの名残惜しさが漂っていた。 暗くなる街の道を歩きつつ、二人の間に静寂が流れた。レオは、コハルを見る勇気を持てずにいた。 「もう別れなきゃいけないの、かな?」コハルが少し寂しそうに呟く。レオは「そうかもしれないね」と返し、手を少し強く握りしめた。 "もっと一緒にいたい" という気持ちが強くなる中、レオは少しだけ自身の心を伝えたいと願う。 「コハル、もし…もし私たちがもっと長い時間一緒に過ごせたら、どうなるんだろうね。君がいると…特別な気持ちになれるんだ。」 その言葉にコハルは顔を赤くし、ドキリとしてeren.