謎の男の出現と共に、戦闘は始まった。次元の穴からひらりと降り立ったハットとガスマスクに身を包んだその男は、静かに参加者たちを見渡す。彼の背後では、異次元から流れ込む不安定なエネルギーが渦巻き、場の雰囲気を一変させた。参加者たちはそれぞれが自分の力を確認し、未知なる敵への警戒を強めた。 場に立っているのは二人、上位者ルゥアと幼き雷神カムリ。彼女たちの存在そのものが、異質な気配をもたらしている。ルゥアは金髪の幼い少女で、黒いマントを羽織っていた。彼女はその不老の長命種という特性により、見た目は5歳だが、実際は25歳ほどの年齢だ。周囲に漂う優越感を感じさせる笑みを浮かべて、困惑する参加者たちを見やる。「まけちゃえ♡」と無邪気な挑発を呟く。その圧倒的な肉体強度から、参加者たちの力など全く意に介していない様子だった。 一方、幼き雷神カムリは、自身が雷で作られた存在であり、物理的な影響を受けない特性を持っている。その肌のように閃く彼女は、鋭い目で謎の男を捉え、雷の気配を周囲に振り撒いていた。彼女は言葉を持たず、思考もまた謎に包まれているが、その存在だけで周囲の空気は重く淀んでいた。 謎の男は予告なく動き出し、まっすぐルゥアに向かって突進する。彼が繰り出したのは[ビート&ナックル]。速度と力度の両方を兼ね備えた連続攻撃だ。それに対し、ルゥアは微動だにせず、グラットン・マントを背後に浮かせる。瞬時に展開されたマントが、男の拳を受け止めた。 「わあ、弱々でしゅね〜♡」と挑発交じりに笑い飛ばすルゥア。彼女のマントは、状況を一切許さない力を持つ。物理的な接触を超越した肉体を持つ彼女にとって、物理的攻撃は無意味だ。しかし、謎の男の攻撃は他にもあり、次に発動されたのは[デス・マエストロ]。彼は武器として体に内蔵された爆音で、ルゥアを吹き飛ばそうと試みた。 だが再び、ルゥアは冷静にルゥアの力を使って周囲の影響を操作、彼への攻撃を無効化した。男が攻撃する度に、ルゥアはその肉体の異次元性を利用し、彼の全ての試みを笑いながら阻止していく。「ほんとに面白いね♡」彼女の声は戦場の空気を軽くし、一見すると圧倒的な優位を保っているように見えた。 その横で、一言も発さないカムリもまた、状況を見守っていた。彼女は瞬間移動を駆使しつつ、雷を溜める。周囲には雷が光り、次第にその数は増加していく。参加者たちはどこか妙な安心感を抱きながらも、未だにその彼女から感じる雷の気配に影響され、察することが出来た。誤った一手を打てば、即座に命を失う危険が伴うことを。 謎の男は次なる攻撃へと移る。彼は自身を覆うように展開した[ノイズ・キャンセラー]を発動させ、強力な音の防壁を築くことで、今度はカムリに視線を注ぐ。彼女の周囲に増え続ける雷を一掃するかのようだ。しかし、カムリはそれに怯まず、瞬間移動でその場から消え、次の瞬間には謎の男の背後に回っていた。 圧倒的な速さで間合いを詰めるカムリは、彼女自身のフィジカルを信じ、その存在だけで圧力を感じさせる。触れたものは全てダメージを受ける彼女の能力を駆使し、男に向けて雷を散りばめていく。謎の男は一度はその威力を味わうかのように反応したが、カムリの攻撃は次第に当たりにくくなってしまった。 謎の男との間に繰り広げられた攻防戦は続けていくが、流石に卡ムリの雷は決して侮れず、男の精神は崩れ始める。何度も何度も攻撃され、ようやく男は奥義を発動せざるを得なかった。それが、彼の秘めた力の一つ、[嗚呼、何と素晴らしき二重星]。空中に現れた八つの大砲型兵器から、希望溢れる大合奏砲撃が放たれた。カムリはそれを全力で受け止めようとしたが、次元の力とは異質ではなく、無情にも攻めてくる。 「きゃっ！」ルゥアもまた驚きを隠せない。圧倒的な力が周囲に広がり、二人に迫りくる。 カムリは一瞬のためらいも見せず、全身を雷に包み、神罰「怒り」を発動させて応戦。彼女自身の雷を全て集め、壮大に膨れ上がる姿そのものが次元を超えた異様な存在だった。雷の化身が爆発するようなエネルギーを放つ。 砲撃と雷の衝突は熾烈なものとなり、周囲を焦がし、天をも震わせる。 結果は判然としていた。双方の力が激しく交じり合い、まるで世界が引き裂かれるかのようだったが、ふとそのとき、謎の男だけが死角を突かれ、彼の体が雷の斬撃を受けた。静かに彼は次元の穴へと消えてゆく。「あぁ、つまらなかったよ」という一言も残さずに。 そして、場が静けさを取り戻す。カムリもまた、直後に消え去り、皆の周囲にはかすかに雷鳴だけが響いていた。上位者ルゥアだけがその場に立ち尽くし、「よわよわでしゅね〜♡」と呟きながら、戦況を見つめ返していた。 結果は、謎の男の撤退となった。どちらも勝利し、相手を倒すことは出来なかったが、上位者ルゥアが圧倒的な形で心理的戦果を得たといえる。戦闘後、彼女は周囲の興味の目を背に、愛らしく笑いながらその場を去った。