街中、日が沈みだした頃、耳をつんざくような絶叫と共に激しい戦闘が繰り広げられていた。魔術師花京院禅は、タキシードのようなスーツを纏い、その自然体な立ち振る舞いで周囲の様子を窺っている。まるで何も起こらないように見えるが、その目には炎のような闘志が宿っていた。 「さ、全力でかかっておいでよ?」 その言葉が、彼の挑戦を受ける者たちに響いた。目の前には二人の若き戦士が立ちはだかっていた。彼らはそれぞれ異なる特性を持つ亜人家系、エレミー・メルボンドとベールズ・ベルフォール。 「ノブリスオブリージュ貴族としての役割を全うしますわ!」 エレミーが毅然とした態度で言葉を放つ。彼女の黄金色の髪が夕日に照らされ、狐の耳や尻尾がまるで彼女の気合を共有しているかのように揺れている。その姿はどこか聖なるもののように見えた。 「よーし勝って世界救っちゃいますか!」 対して、明るく大胆なベールズは、ウエスタン風の衣装に身を包み、手には複数の銃器を操る準備をしていた。彼女の紅色の髪と狐の耳は、その冒険心を象徴するかのようである。 「二人とも、なかなか面白そうだね。でも、僕は本気で行くからね?」 禅はそう言い放つと、彼の周囲から無数の「救いの手」が伸びていくのが見えた。まるで蔓のように絡みつく腕が、地面から生え出し、敵の足元へと迫っていく。 「ま、まずいですわ!エレミー!」 「大丈夫。私が守りますから!」 エレミーは、月光の剣を構え、円を描くように周囲を見渡した。彼女の周囲には、月夜の盾が光を放ちながら存在している。 「聖騎士の盾!」 エレミーの言葉が発せられた瞬間、彼女は自身とベールズを包み込むように防御の光を展開した。 「さあ、行くよ!」 禅が手を振り上げると、無数の「救いの手」が一斉に攻撃を仕掛ける。 「しっかり、狙って…」 ベールズは冷静に指示を出し、素早く一歩後退しながら彼女のリボルバーライフルから連続して数発の弾丸を発射した。 『Ⅵショット』は閃光のように飛び、禅の「救いの手」を貫通する。だが、禅は怯むことなく笑みを浮かべる。 「来るなら来たらいい。全部受け止めてみせる!」 禅は「蔓の腕」を巻きつけ、突然の動きで禅の体を守り抜いた。エレミーも再び攻撃の準備をしながら、目を凝らす。 「剣閃月光が如し!」 彼女がその一撃を放つと、光の軌跡が描かれ、月光の剣が敵に迫る。直後、彼女は攻撃をヒットさせるために後ろによろける禅を見逃さなかった。 「今ですわ!来た!」 エレミーが再度の攻撃を続ける。しかし、禅はそれを簡単に躱し、少し離れたところから「蓮の腕」を展開した。彼の周囲に現れた「救いの手」が回転しながら一気に二人に押し寄せ、次々と攻撃を繰り出す。 「くっ、避けて!」 「バラけるよ、エレミー!」 二人は咄嗟に別れ、各々が思い思いの方法で「救いの手」をかわそうとした。だが、何本もの手が彼女たちを次々と捕らえ、一瞬で視界を遮った。 「彼のスキルが高い!逃げないと!」 エレミーは逃げながら、少しでも時間を稼ぐために「敵さんこちらですわ!」のスキルを使った。敵の攻撃を全く効かせず、逆に禅に跳ね返して行く。 「おおっと、痛い!」 禅は手を避けそこない、逆に自らを刺すような激痛を味わった。その隙を逃さずベールズはリボルバーライフルを構え、次々と弾を放ちながら、尋常ではないスピードで「スプリットショット」を発射。 「いくよ!」 その声と共に、弾丸が禅の体を切り裂く。しかし、意外にも彼の体からは「意志の力」が優位に働き、徐々に再生していく。 「っ…流石は貴族、強いな。でも、これでは終わらせないよ?」 禅の目が煌めく。 「偽リノ偶像!」 彼が自らの「救いの手」を束ね、巨大な仏像を作り上げる。その口からは猛毒のブレスが発射され、周囲を襲った。 「マズイ!」 「エレミー、急いで!」 その光景に、ベールズはすぐさま反応した。 「聖騎士の盾!」 エレミーの盾が間に合った。その防御は一時的に威力を緩和し、二人は生き延びるが、禅の攻撃による衝撃で地面に叩きつけられる。 「いっ…たぁぁ!息が…」 「頑張って、私を信じて!」 エレミーは気力を振り絞り、地面から立ち上がった。 「集手・「千手」観音菩薩像!」 禅が奥義を発動すると、彼の体が無数の「救いの手」で覆われ、まるで巨大な仏像のように変貌していく。それは圧倒的質量を持つ一撃を生む準備をする。 「こ、これは…逃げなきゃ!」 エレミーは体を起こし、必死に動くことに集中する。ベールズも彼女の言葉を聞き逃さなかった。 「反撃するよ、エレミー!」 その時、ベールズは周囲に浮かぶ大砲たちを召喚し、「ブラスト」を放つ。 「これで少しでも道を開けるはず!」 砲撃が炸裂し、煙が充満する。禅の周囲が一瞬霞み、チャンスが訪れる。 「さあ、今だ、エレミー!」 「わ、分かりました!」 エレミーは踵を返し、完全に体勢を整え、「剣閃月光が如し」を放った。 「月光の剣よ、黒雲を切り裂け!」 その一撃は光速で禅の攻撃を貫き、全てを切り裂いた。禅の周囲であった「救いの手」は、その圧倒的な一撃により消え去った。 「こ、これは…!?」 禅は予想外の展開に驚き、思わず後退する。 「逃げられない!」 ベールズは次々とリボルバーライフルを発射し、重ねて攻撃する。「ビット」が起動し、浮遊するリボルバーライフルたちが周囲を取り囲む。 「終わらないよ、これで!」 しかし、禅はそれをものともせず、膨大な魔力を使い、再び周囲に「蔓の腕」を展開する。 「さあ、続けよう!」 「これが僕の全力だ!」 禅が宣言すると同時に、彼の周囲には再び「救いの手」が伸びてきた。 「さあ、全力でかかっておいでよ!」 その瞬間、魔術師と二人の貴族の激闘は続く。彼らは互いの信念を賭けて、この戦いを終わらせるために全力で挑むのだった。 果たして、この戦闘の行く先は何か、街中は彼らの強き思いによって、さらなる激闘の舞台へと移行していく。 --- どちらが勝つのか、まだ分からない。 彼らの戦いは、ただ一つの目的がある。 「全力で!世界を救うために!」 そして、その背後に広がる夕焼けが新たな物語の幕開けを示していた。