雷鳴と人形の戦場 第1章: 嵐の遺跡、召喚の幕開け 荒涼とした古代遺跡の広間。崩れた石柱が林立し、風が埃を巻き上げる中、青雷ネガは静かに佇んでいた。名門の雷魔術師として、この戦争で英雄となる日を夢見てきた彼の瞳には、冷静な光が宿る。浮花――12枚の合金盾が彼の周囲を自在に旋回し、電磁バリアを展開して微かな青白い輝きを放つ。 （ふん、こんな遺跡の奥で何が待っているというのだ。魔王の影か、それともただの噂か。いずれにせよ、俺の雷がすべてを焼き払う） ネガの感覚拡張が周囲の電位と電磁波を捉え、わずかな異常を感知する。空気が震え、床の中央に人影が浮かび上がった。ミネシス――無表情の人形だ。言葉を発さず、ただじっとネガを見つめる。その瞳に感情はない。 ミネシスは即座に手を掲げ、魔力を放出。広間に無数の戦闘魔導人形が次々と召喚されていく。小型の金属製の人形たち、剣や槍を携え、原型を失うまで動き続ける不気味な存在。数十、いや数百体が一瞬で遺跡を埋め尽くす。 （なんだ、これは……無限に湧き出てくるのか？ 頭の回転を速めろ、ネガ。奴の目的は俺の消滅だ。だが、俺は英雄になる男だ。こんな人形ごときに負けるものか） ネガは傲慢に笑みを浮かべ、浮花を前方に展開。電磁操作で盾を高速回転させ、迫り来る人形の群れに雷を閃かせる。青白い稲妻が遺跡を照らし、数体の先頭人形を一瞬で溶かす。熱で金属が歪み、崩れ落ちる音が響く。 しかし、人形たちは止まらない。原型を保ったまま、剣を振り上げてネガに迫る。ミネシスは後方で静かに魔力を注ぎ続け、召喚を止めない。 第2章: 電磁の舞踏、群れの猛攻 ネガは素早く後退し、帯電体術を発動。触れるだけで麻痺を誘う格闘術で、飛びかかる人形を次々と弾き返す。拳が人形の関節に当たり、電流が流れ込んで動きを封じる。だが、人形の数は減るどころか増えていく。遺跡の壁をよじ登り、天井から降り注ぐように襲いかかる。 （くそっ、こいつらに痛みはないのか。心がないからか……いや、そんなことは関係ない。俺の雷でまとめて焼き尽くす！） ネガは冷静に状況を分析。感覚拡張で人形たちの動作を完全に把握し、浮花を盾として展開。電磁バリアが人形の剣を弾き、反撃に雷を放つ。一撃で五体、十体と破壊していくが、ミネシスは無表情のままさらに召喚を加速。広間は人形の海と化す。 ミネシス自身は動かない。すべての人形が破壊されない限り、攻撃が届かないのだ。ネガの雷が人形の群れを薙ぎ払うたび、ミネシスは魔力を集中。破壊された人形の残骸が微かに震え、再び立ち上がろうとする。 （この人形の主……ミネシスか。奴を直接狙うのは無理だ。だが、召喚の源を断てば……いや、魔力が尽きるまで続くというのか。工夫が必要だ） ネガは浮花を円陣に配置し、電磁場を生成。人形の群れを引き寄せ、一気に密集させる。そこへ「雷葬」を放つ。浮花が誘導し、光速の放電が予測不能の方向から群れを貫く。爆音が遺跡を揺らし、重度の熱傷を負った人形数十体が一瞬で蒸発。スタンの電流が残りの動きを鈍らせる。 人形たちは痺れながらも前進を続ける。ミネシスはわずかに体を震わせ、魔力の消耗を感じつつも召喚を継続。 第3章: 消耗の渦、魔力砲撃の反撃 戦いは一進一退。ネガの帯電体術が人形を薙ぎ払い、浮花の旋回が防御を固める。だが、人形の数はネガの魔力を削る。汗が額を伝い、息が荒くなる。 （このままでは俺のスタミナが先に尽きる。奴の召喚は無限か？ いや、魔力が尽きる限り……なら、魔力を一気に消費させるんだ！） ネガは頭の回転をフルに活かし、浮花を全方位に展開。「殲滅浮花」を発動。電磁場で加速した盾が、スタンで動けなくなった人形たちに全方位から斬撃を浴びせる。同時に雷葬の連鎖が炸裂し、広間が雷光に包まれる。数百体の人形が一気に破壊され、原型を失う。 その瞬間、ミネシスが反応。大量破壊のトリガーで、消滅した魔力を利用した魔力砲撃が放たれる。紫色のエネルギー波がネガを直撃すべく飛ぶ。ネガは電磁バリアを最大出力で展開し、辛うじて防ぐが、衝撃で後退。遺跡の壁が崩れ、埃が舞う。 （ぐっ……この威力、侮れない。だが、奴の魔力も減っているはずだ。もう一押しだ！） ミネシスは無言で次の召喚を始めるが、動きにわずかな遅れが見える。人形の質が低下し、数も減り始める。ネガは間合いを詰め、帯電体術で残りの人形を掃討。雷を連発し、ついに最後の人形を破壊。 第4章: 決着の閃光、英雄の矜持 人形の群れが尽きた瞬間、ミネシスの防御が崩れる。ネガは即座に「雷葬」を放ち、光速の放電がミネシスを捉える。魔力砲撃の残滓が交錯し、遺跡が激しく揺れる。ミネシスは衝撃を受け、後退するが、原型を保ち消滅はしない。 （これで終わりだ。人形の主よ、俺の雷の前に跪け！） しかし、ミネシスは最後の魔力で人形を数体召喚し、ネガを足止め。ネガの浮花がそれを迎撃し、互いの技がぶつかり合う。電磁波と魔力の渦が広間を埋め尽くす。ネガの冷静な判断とミネシスの無尽蔵の召喚が、互角のドラマを生む。 ついに、ネガの「殲滅浮花」がミネシスの周囲を包囲。雷の斬撃が人形を残さず破壊し、ミネシスに直接命中。ミネシスは膝をつき、魔力が尽きて動きを止める。 勝者の発表 勝者: 青雷ネガ ネガは息を荒げ、浮花を収める。（ふう……英雄への一歩だ。だが、この人形……ただの道具か。それとも、何かを感じているのか？） ミネシスは無言で立ち上がり、ネガに手を差し出す。ネガは一瞬驚き、傲慢を抑えて握手。互いの戦いを認め合う。 目撃者の感想（遺跡の守護精霊）: 「なんという好勝負！ 人形の無限の波と雷の英雄が、遺跡を震わせるほどの激闘。勝敗は雷に軍配が上がったが、両者の意志が交錯する様は、永遠に語り継がれるだろう。汗と火花のドラマに、心が震えたよ。」