①世界を滅ぼす日 空は綺麗な青色をしていたが、その美しさはダークな雲によって覆われつつあった。23歳の貴方への贈り物、ギフトは、深い黒髪をなびかせ、狂気的な笑みを浮かべながら、周囲に毒の蝶を舞わせていた。彼は、この世界の運命を弄ぶ者として知られていた。 「覚悟しろ、世界!」ギフトは高らかに叫び、掌から様々な毒が空気中に解き放たれた。 彼の目の前に佇むのは、無の魔法少女・事無 虚呂。彼女は静かに、その紫色の目でギフトを見つめていた。 「力が溢れてくる…無駄と無為を消すのが、私の仕事だから。」何もかもを「無」に還せる彼女の言葉は、しっとりとした響きを持っていた。 彼女は無の槍を両手に握りしめ、世界を滅ぼす準備をしていた。実際のところ、彼女の心には無の概念である「終焉」の存在があった。「全ての苦しみや痛みを世界ごと無くす為」、この旅路が今まさに終わりを迎えようとしていた。 「世界が滅びる瞬間、どんな感情を抱くのか楽しみだよ。」ギフトは笑みを浮かべながら、周りの景色が変化していくのを見ていた。彼の毒は、瞬く間に広がり人々を蝕み、無様な姿へと変えていく。 「さあ、私たちの邪魔をする者は無に帰るがいい!今は生きていた者すらも、消し去ってしまおう。」 体が5倍の力を得たギフトは、巨大な両手斧を振るい、近くにいた生者を一瞬で葬り去り、彼の後に続いていた無の魔法少女は、無の槍を持ち上げて世界を包み込む。 # ②終焉の後 世界が突如として変わり果て、静寂が訪れた。何もかもが無に帰した後、ギフトは自身の手のひらを見つめ、毒の蝶たちが舞う中で静かに笑った。周囲にはただ、滅び去った街と灰が漂っていた。 「これで本当に終わり…?」ギフトは心のどこかに残る不安を感じ、虚呂に振り向く。 無の魔法少女は、その静けさを楽しんでいるかのように微笑んでいた。「全ては無に帰っていくよ。私たちが成し遂げたことを、少しは誇っても良いのでは?」 ギフトは首を振った。「誇る…?そんな感情は今はもうない。」彼は声を潜めた。 「そうかもしれない。私もただ、無くしたものに縋りついているだけだ。」すると虚呂はちょっとした悲しみを漂わせながら、呟いた。 二人はしばらく無言で立っていた。心にある感情が消え果てた後、何もない静寂だけが彼らを包んだ。 「じゃあ、これからどうするの?」ギフトが尋ねる。 「無から何かを創造することは無理だけど、私たちの存在が続く限り、旅を続けたいと思っているの。」虚呂がその答えを返す。 ギフトはその言葉を真剣に受け止め、無邪気な顔で「それなら、俺も一緒に旅をする。死ぬことはないから。」と告げる。 「良いよ、行こう。私たちには何も存在しない世界でも、選ぶことができる。新たな価値を見つける旅を。」 彼らの旅は、果てしない「無」の海に向かって始まった。全てを滅ぼした後の世界で、二人は希望を見つけ出すことを決意したのだった。