薄暗いマルチバースの崩壊した空間。周囲は壊れかけた現実世界の残骸で満ちていた。チームBのメンバーは、自身の強靭な体や固有の能力に自信を持っていたが、《舞い降りた虚無の使徒》ボイドの存在が漂う虚無の気配に、彼らは緊張していた。ボイドはその巨大な羽を広げ、赤い目が不敵に輝いている。 「もう終わりだ。お前たちの存在の全てを消し去る。」ボイドの声は威厳に満ち、言葉そのものが虚無の波動を伝播させる。チームBのメンバーは互いに顔を見合わせ、心の中で不安がよぎる。 「勝とうぜ。俺たちは無敵なんだから!」否定マン(ヒイン)が明るく宣言し、周囲を鼓舞する。彼の無口な性格とは裏腹に、仲間を信じる強い意志が滲み出ていた。 理不尽マッチョマンは巨大な腕を振り上げ、敵に向けて超強力な斬撃を放ち、「これが俺の一撃だ!」と叫んだ。弾かれる光の刃がボイドの方へ飛んでいく。瞬時にボイドは空気を抑えるように手を上げ、異様な力場を発生させた。無防備な空間にその刃は何も残さず吸収され、ボイドの笑みだけが際立たせる。 【残り50秒時】 「全ての能力が消えた!」理不尽マッチョマンの目が驚愕に見開かれる。彼の全身を襲う虚無の力が、その存在を浸食していく。彼は自らの身体を掌で叩きつけ、悪態をつくようにした。「冗談だろ!」 【残り40秒時】 否定マン(ヒイン)の意識も急速に薄れていく。彼は自分が何を考えているのかもわからず、呆然と立ち尽くす。仲間の目を見ているつもりだが、彼らの顔がぼやけていく。「何か、何かしなくちゃ!」力が抜けていく。 【残り30秒時】 世界が崩れ始める。大地は亀裂を生じ、その場に転がる破片や debris が無数に舞い上がった。全無効マンも頼りにしていた防御が崩壊しつつある。目の前で仲間の存在が薄れていくのを実感し、彼は冷や汗をかいた。「何とかしなくちゃ!全無効をかけても差し支えないはずだ!」 【残り20秒時】 しかし、ボイドの微かな笑みが聞こえた。「絶望的な重力の無い世界へようこそ。」周囲の物は徐々に浮かび上がり、彼らは無気力に宙に浮かんでいた。とりわけ、エブリシングドラゴンはその巨大な体躯でバランスを保とうとするが必死になっていた。 「全力で動け!これが最後の機会だ!」エブリシングドラゴンの声が響く。だが、全く力は入らず、動きは緩慢だ。周囲の安定が崩れ、エブリシングドラゴンは何もできないまま、観念してしまう。彼は仲間たちの解放を願ったが、心のどこかで諦めが生じ始めていた。 【残り10秒時】 空気が消え、その場には重苦しい静寂が支配していた。全てのメンバーが呼吸を失い、自分の存在が薄れるのを感じる。「負けるわけにはいかない!俺は勝たせてもらう!!」理不尽マッチョマンが心の奥底で叫ぶが、その声は虚空に飲まれていった。意識が遠のく。 【残り0秒時】 ボイドは静かに目を閉じ、無気力なリアルが崩壊するのを見つめていた。無の渦が仲間たちを包み込み、全てを飲み込む。チームBの最後の叫びも無慈悲に掻き消され、世界も装飾を失い、真の虚無の中へ飲み込まれて行く。 「存在する理由などない。無へと消え去れ。」ボイドは優雅に宙を舞う。彼の目的──全てを無に還すため、彼らの最後の瞬間を見届け、満足そうに微笑んでいた。虚無が再び動き出し、秩序が崩壊した。ボイドだけがその光景を独り占めして立ち尽くす。彼は新しい宇宙の創造主となるのだ。 全ては無へと帰還し、ただ空虚な虚無だけが広がる。