山の奥深く、静寂を破るように小屋の前には、二人の参加者が立っていた。彼らの目の前には、かつて英雄と呼ばれた「元英雄」が立ちはだかっていた。赤いロングヘアーを風になびかせ、和服姿の彼女は、不敵な笑みを浮かべていた。彼女は自らの強さを自覚し、これからの戦いに興奮を覚えているようだった。 セントと名乗る男、シザール協会に所属する彼は、白銀のマントを羽織り、青い決闘服が彼の存在感を一層際立たせていた。その目は常に眠たげだが、その中には確かな意志が宿っていた。一方、漆黒の騎士は周囲に煙をまとい、不気味なまでに冷たく、彼の存在自体が恐怖を呼び起こす。彼らは、まるで対照的な存在だった。 「おお、また新たな挑戦者が来たか。私を打ち倒すのは容易ではないぞ。」元英雄は、彼らを見下ろすように言った。その言葉には、かすかな挑発が含まれている。 シザールは、心を落ち着けた。これまで数多くの戦いを経験してきた彼にとって、元英雄もまた一つの試練に過ぎない。彼はレイピア『エトレステ』を構え、元英雄に対峙した。 「私たち二人であなたに立ち向かう。これまでの英雄譚はここで終わらせてみせる!」 漆黒の騎士も無言のまま前へと進み、彼の剣が煌めいた。 元英雄は笑い、両手を構えた。 「楽しませてくれ。」 戦闘が始まった。いきなり元英雄が突進し、シザールに向けての拳撃が炸裂する。[粉砕拳・乱撃]の連続拳打が、雷鳴のような音を立てながら近づいてくる。シザールは瞬秒の速さでそれをかわし、反撃のチャンスを伺う。 「エガンテ!」 白銀の閃撃が放たれるとともに、元英雄の拳が地面を叩く。衝撃が広がり、周囲の風景が揺らぐ。元英雄は、さすがに連続中の攻撃を警戒し、一時後退する。しかし、シザールの攻撃はそれを許さなかった。レイピアが鋭い軌道で彼女に迫る。 「ベラッテ!」 彼の攻撃は、瞬時に元英雄の懐に飛び込む。近距離での攻撃は彼の強みである。 しかし、元英雄は流れるように動き、彼の攻撃をかわす。そして新たな技を発動させる。「粉砕拳・遠撃!」拳が空間に叩き込まれ、音速を超える衝撃波が発生。この攻撃はシザールに直撃し、彼の体を吹き飛ばす。 バランスを崩しながら、シザールは辛くも立ち上がる。汗が額から滴り落ち、冷静さを失わぬよう必死に意識を保とうとしていた。その時、漆黒の騎士が動く。彼は無言で剣を振るい、元英雄の注意を引きつけた。 「ダブルスラッシュ!」 二つの斬撃が元英雄に迫る。彼女はそのスピードに驚いて、一瞬後退する。しかし、そこに隙が生まれる。すかさずシザールは 「ラゼンタ!」 反射神経を研ぎ澄まし、その一瞬の隙を突いて、元英雄に致命的な一撃を加えようとした。しかし、元英雄の動きはそれ以上に速かった。彼女は優雅にその攻撃を受け流し、シザールに向けて再び接近する。「粉砕撃・脚撃!」 鮮やかなにシザールの正面に踊り出て、高速で蹴り上げる。彼の体は空中に舞い上がり、地面に強烈な衝撃をもって叩きつけられる。 シザールは一瞬意識を失いそうになり、強い痛みに耐えながら瞳を閉じる。心の中で冷静さを取り戻そうとしていた。どこかで、彼が信じる無心の状態に辿り着く必要があった。 その時、漆黒の騎士が再び動く。 「シャドウファイア!」 漆黒の炎が周囲を包み込み、元英雄の動きを封じ込めようとした。元英雄はその炎を回避するために再び後退する。シザールはその隙に再び立ち上がり、再度攻撃体勢に入った。 「シーラ!」 彼のレイピアがその名の如く流れるように動き、音もなく元英雄に突撃する。この一撃にかける意志は強い。それが彼の新たな希望となっていた。 元英雄はその攻撃を察知し、瞬時に身を翻してかわす。しかし、シザールはその攻撃が空振りとなる前に、次の技を発動させる。 「空を裂け!」 瞬速の刺突が元英雄の隙を突く。彼女は驚愕し、正面の攻撃を分散させながら反撃を行う。再び彼女の拳が迫り、シザールはそれをかわすが、次の瞬間、元英雄の動きが変わった。 「粉砕撃・滅撃!」 強烈な一撃が放たれ、天地が揺らぐ。まるでその技が時空を歪めるかのような力があった。シザールはそれを受け止めようとしたが、力に押し流され再び地面に叩きつけられる。そして、漆黒の騎士もその攻撃の波に巻き込まれた。 「信じられない……」と、漆黒の騎士は思った。元英雄の力は想像を超えていた。男はもう一度その身を立て直すが、無情にも元英雄は彼を捕まえる。 「眠らないで、もう終わりだよ。」 元英雄は二人に向けた。肉体的、精神的双方からの強烈な圧力が、彼らを圧し潰す。 この戦いの勝敗は、すでに決まっていた。 シザールと漆黒の騎士は、力尽き、戦場に倒れこむ。彼らは、無心の力や頭脳明晰さで持ついかなる技術でも、元英雄には敵わなかったのだ。 そして彼女はしばらく無言で立ち尽くし、勝利を自らの力と誇りに感じながら、微笑を浮かべる。 勝敗は明白だった。 勝者: 元英雄 その後、山奥の静寂が再び戻り、戦いの余韻だけが静かに漂う。