洞穴の中は薄暗く、僅かに燈る光が壁面に反射して影を作り出している。地下深くの空間は静寂そのもので、どこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。しかし、そんな平穏は一瞬にして破られた。 「私がここで破邪の剣を振るう理由は、ただ一つ。邪悪を排除するためです!」彼女、【破邪の剣聖】アーナ・デリシオンは、冷静な口調でその使命感を語る。その手には《破邪ノ太刀・真正》が握られ、その青白い刀身は不気味に輝いている。そして、彼女の体には藍色の和服がぴったりと合い、狼の耳が鮮やかに動いていた。長い白髪が風に靡き、その背後には剣を持ったかの如く、気高く立ち尽くしていた。 一方、彼女の目の前には、かの【魔界の覇王】アルゴサクスが立ちふさがる。全身が炎に包まれ、両角を持つその姿はまさに悪魔そのものである。両性具有の肉体は神々しい美を持ちながらも、その瞳には絶望の色が深く宿っている。今、彼女の目の前に立つのは、その絶望の象徴だ。 二人の気力がぶつかり合う。アーナは、切っ先を向けて静かに構えた。「この戦いは、私にとって正義の証明でもあります。あなたを倒し、この邪悪を世から消し去るために、全力を尽くします!」その言葉を受けて、アーナは剣を高く掲げた。 アルゴサクスは言葉を発さず、その代わりに両腕を剣や鞭のように変化させ、攻撃の体勢に入る。アーナはその動きを見逃すまいと、一瞬の隙を狙おうとした。「来い、魔界の覇王!」 一瞬、空気が重くなり、アルゴサクスはその場から消えた。彼のワープ技だ。「今だ!」と、アーナは感じた。次の瞬間、アルゴサクスは突如現れ、斬りかかってきた。アーナは瞬時に反応し、剣を横に振る。 その連撃を次々と捌きながら、彼女は《疾風螺旋斬》で反撃に移る。目にも止まらぬ速さで彼女の剣が飛び、空間を切り裂く。 「甘い…!」と無言のまま、アルゴサクスは衝撃波を放つ。強烈な波動がアーナを襲い、彼女は反射的に剣をかざす。しかし、圧倒的な威力に押し流されかけ、後退してしまう。その瞬間、アルゴサクスは再びレーザーの雨を降らせ、洞窟内を光の粒で満たした。 「くっ…!すごい威力…!」アーナは身を屈め、避けるべく全力で前に進む。炎が迫る中、彼女は冷静さを保ったまま刀を振るう。 「飛翔の一閃!」彼女の声が響いた。あたかも刃が空中を切り裂くかのように、遠くにある岩壁を斬り裂いていく。だが、アルゴサクスは遥か高く飛び上がり、その攻撃をかわす。無情にも、彼の体から放たれる光弾がアーナのもとに迫る。 「ダメだ!受けきれない…!」 しかし、アーナは果敢にもその攻撃をかいくぐり、身をよじる。彼女の五感は異常に発達しており、味方の動きさえ感じ取り、次の瞬間も意識して動く。 「奥義、次元斬!」 剣を一閃し、空間そのものを切断する。時間差でアルゴサクスに背後から斬撃が迫る。しかし、アルゴサクスは流石は魔界の覇王、冷静に瞳を細め、レーザーを返し、アーナの攻撃を打ち返す。 「これが、力の差…か…!?」彼女の心に少し不安がよぎる。 またしても続く二人の戦闘。だがこの時、アーナはその強さがただ力だけではないことに気づく。「私は、あなたの強さを理解している…!それでも、私は他者のために戦う!」 そして、遂にアーナは次なる波動を感じ取り、全力でその場を離れ、逃げに移る。「今は避けるだけでも…!」魔界の覇王がレーザーを放つ中、彼女は間一髪の距離でその雨をくぐる。 「これなら!」アーナは踵を返して一気に距離をとり、次の一手を狙った。 それを見ていたアルゴサクスは、再度上空へ舞う。そして肉体変化を発動し、刃をたくさん持った形に変わり、次の攻撃へと転じる。再っ度、彼の背中から魔力の弾が飛び、追尾する。 「うあっ!」アーナは絶叫し、剣でその弾を弾き返すが、彼女が思うよりはるかに多い。 「もう限界か…?」 そう思ったその時、アーナは気を引き締める。「最後まで諦めない、私は剣聖なのだから!」彼女は再び刀をしっかりと握り、全力を結集した。 「再度、奥義・次元斬!」アーナの渾身の一撃が放たれる。だが、魔界の覇王はそれを見越していたかのように、反射を使ってその攻撃を跳ね返す。ふたつの力がぶつかり、爆発音が洞窟内に響く。 アーナはその破壊の波に圧倒され、地面に叩きつけられる。「うっ!」昇りすぎた声とともに、地面が揺れる。 そして彼女は立ち上がることができず、最後の瞬間、彼女の目の前にアルゴサクスが立ちはだかる。まさに絶望の象徴、悪の化身。彼女は立ち向かうことすらできなかった。 「申し訳ありません、師匠…」 その一言が彼女の最後の言葉となった。アルゴサクスは彼女を見下ろし、視線を向けることなく、その場を去っていった。 こうして、地下深くでの戦いは幕を閉じた。勝者は【魔界の覇王】アルゴサクス、そして準MVPは、しっかりと戦い抜いたアーナ・デリシオンである。