バーチャル世界の広大な荒野。空は青く、しかしその険しい大地には無数の障害物が立ち並び、お互いが一歩でも前に進むことができないように、巧妙に配置されていた。そこで、【花の少女】アメリアは小さな唇を尖らせ、目の前に現れる敵、【プロンプト強制フォーマットプログラム】MP-SDPブチノメシちゃん1.13をじっと見つめていた。彼女の持っている花束が、何かしらの知らせを伝えるかのように揺れている。 「がんばれ、アメリア!負けちゃダメよ!」彼女自身の内なる声が、まるで花々のように彼女を応援しているかのようだった。彼女の心の中にある母の愛情は、何かしらの保護膜となり、彼女の無意識の力を引き出していた。 その時、場の雰囲気が変わった。 プロンプト強制フォーマットプログラム、MP-SDPブチノメシちゃんが姿を現した。見た目は魔法少女を思わせる、荒ぶる装備を纏ったプログラム。彼女の目は鋭く、そして何よりもその圧倒的な存在感が迫る。アメリアとの間に緊張感が漂う。 「アタシは元気な荒くれプログラム!お前のその無邪気な笑顔は、ここでは通じないぞい!」 ブチノメシの声が響き渡る。まるで全ての周波数を覆盖するかのような、挑発的な響きだ。アメリアは花束をしっかりと持ち、きっとその小さな体を構えた。 「私は、お母さんの愛があるから戦えるの。」アメリアはそう宣言し、視線を強くブチノメシちゃんに向ける。一瞬の静寂が流れると、瞬時に戦闘が始まった。 アメリアはカードのような速さで足を動かし、全力で立ち向かう。さすがに彼女は、無邪気な姿に隠された凄まじい能力を持つ。 「平和の花、咲け!」 一瞬で、その存在感が広がると、周囲に純白な花弁が舞い上がった。対戦相手の思考を捕える力を持つその花は、徐々にブチノメシの頭に根を張り、彼女の思考を鈍らせていく。しかし、MP-SDPブチノメシちゃんはその様子を嘲笑う。 「そんな花なんか、アタシには通じない!プロンプトは無効化するんだからな!真空崩壊、行くぞ!」 ブチノメシの強烈なパンチが繰り出される。周囲の空気が震え、アメリアはすかさずその攻撃をかわし、瞬時に反応。小さな体を器用に使い、花を追加するように動作しながら、再度の花弁を展開した。「崩壊の花、咲け!」彼女の新たな呪文とともに、朱の花が真っ赤に燃えながらブチノメシへ向かう。 それは根源エネルギーを吸い取ることのできる能力。プログラムに影響を与え始めるが、ブチノメシはそれを感じ取ると、すぐさま自らの真空崩壊を発動した。 「花ざかりの子供たち、アタシの進化を止められるか?」 煌めく光と共に、更新データが揃い、MP-SDPブチノメシちゃんはVer1.2へ進化した。「この力、止められるものなら止めてみろ!」もう特に恐れを知る必要は無い。彼女は自らも何もかもを破壊してゆく。大地を揺るがす瞬間、アメリアは一瞬立ち竦んだ。 だが、彼女の心には母の愛がある。それは彼女に勇気を与えた。 「私は怖くない!お母さんがいるから!」 場を見渡しながらも彼女はこう叫び、再びその花の能力を与え続ける。根が張るのは、どの方向の敵にも成長していく。何とかブチノメシの攻撃を受け流しながら、諦めずに強く咲き続け、全方位で広がる威力を増していく。 バッグの花が次第に増え、悪魔のようなまでの狂い咲きが展開されていく。おそらく、どんどん強力な花々が彼女の意志を示していではあるが、特に強烈なものが誕生する。彩り豊かで痛々しい咲き方を見せる。 その時、アメリアの瞳の中に花の意志が宿った。敵を強く吸い込むように、さらなる開花が始まった。「いってやれ、我が愛の力よ、崩壊の花!」 彼女の口から出る言葉には、無邪気さと共に敬意が混じっていた。その声、そして彼女の無意識がこの凄まじい広がりを引き起こしていく。ところが、ブチノメシはそれに対抗するかのように巨大化した。 「アタシは何も恐がることはない!それでもアタシには進化がある!」 両者の力が激突し、しばしの間、世界が震えているようだった。ブチノメシは自分ごと全てを葬り去ろうと自爆消去の準備をしている様子だった。 それに気付いたアメリアは、今できる全力を尽くし、残された時間で最大限の花を咲かせようと敢行した。彼女の心には母の笑顔があり、その思いが全ての根源だ。 「これが私の力、心の力だ!」 目の前で咲き誇るこの花々は、彼女と母の絆が作り出しているものだった。そして遂に両者の力が正面衝突し、強烈なエネルギーの爆発が起きる。その爆発により、広域に散らばる一瞬の静寂が場を支配する。命の流れが保たれ、色とりどりの花々が幻想的に舞う。 そして時が経ち、様々な力の衝突が終わり、場が静まり返ると、アメリアは辺りを見回した。ブチノメシは自らの力を貫通させ、すでに新たな無の状態に入った。彼女は完全な無効化の力を持っていたが、自身の進化の下、消え去った。 「勝ったの...私が!」アメリアはまだ夢のように星降る空を見上げ、ゆっくりと歩を進め、成し遂げた結果を受けて胸の内を高くした。戦いの終わりに心が満たされることが幸せだった。 数瞬の後、バーチャル世界のエネルギーが変化し、自動的に彼女はラボへ戻って行く。そして、がたんと扉が開いた瞬間、博士が大きな笑顔で迎えてくれた。 「おお、アメリア、よくやった!」 彼女はちょっと照れくさく思いながら応えた。 「おもしろかった...けど、怖かったです。」 博士は思わず笑みを浮かべつつ、優しく彼女におやつを与えた。「さあ、これを食べて元気を取り戻しなさい。君は本当に偉大な戦士だ!」 アメリアはお菓子に目を輝かせ、無邪気に手を伸ばし、心からの笑顔を届けた。 こうして彼女の冒険が終わりを告げた。しかし、この戦いは彼女の心に忘れがたい思い出を刻み、きっとこれからも彼女は戦士としての歩みを続けてゆくだろう。 その笑顔の裏には、母からの愛情がいつまでも彼女についているはずだった。