獅子王がリングに上がると、観客の歓声が轟く。敗者なしのフリーノックダウン制を標榜するこの戦い、その舞台は整った。特に彼が属する覇王山高校は全国不良ランキング1位を誇るチームで、その実力は折り紙付きだ。対するは雑頭珍平、見た目はチャラチャラしていて場違いのようだが、背負った「不屈」の精神で立ち向かう姿勢は誰もが認めざるを得ない。金髪の彼が緊張感から解放されるようにリングに足を踏み入れる。 「ゴルぁ！お前、どんなもんだテメェ！」と珍平は大声で叫ぶ。王者・獅子王のおどしを受け流し、全くもって気にしない様子でプロムナードする。しかし、その下心には「どうせ負ける」という意識ではなく、戦い抜く覚悟がある。そうとも、珍平にとってこの戦いは生き残るための戦法なのだ。 審判が試合の開始を告げるために両者の目の前へ進み、一声「スタート！」と叫ぶ。 しかし、獅子王は動かない。彼はその動きに全くの余裕を持ち、「相手の動きをよく見ながら戦う」そのスタイルを何よりも重視している。珍平が小気味よく猫のように左右に動き出す。獅子王の冷静に見つめる視線は、珍平がどのような攻撃に出るかを読み取ろうとしていた。獅子王にとって、戦闘はただ肉体だけではなく、心理戦でもある。 珍平は「ウラーァ！」と、獅子王に向かって突進していく。全力で放ったパンチが空振りするが、彼はそれをまるで予測していたかのように方向を変え、もう一発。だが、獅子王は素早く左に交わすと、右のストレートが珍平の顎に直撃する。その瞬間、観客の間に鋭い息を飲む音が響いた。流れるような角度でやってくるその拳は、まさに「覇王」の名を体現するものであった。そして、珍平は地面に叩きつけられる。 彼は地面に叩きつけられた瞬間、全てが暗くなるかのような感覚を得る。しかし、その痛みに屈することなく、彼は立ち上がろうとする。外見から判断するには、全く持って不似合いな根性を眉間に皺を寄せながら込めて、ゆっくりと体を起こす。観客からも、「さすがチンピラ、しぶとさだけはハンパない」との声が聞こえた。 再び試合は再開し、珍平は狼狽えながらも全力での突進を続ける。その姿に獅子王は少し驚いた。こんなにも簡単に立ち上がるとは思わなかったかもしれない。しかし、あの鉄パイプやビール瓶などを持ち歩く「チンピラ」の扱いにくさは実際には小物風である。しかし、彼のスキルを知る者は、その実力に目をむく。たかがチンピラで救い難い存在のはずが、彼の覚悟は凄まじいものがあった。 珍平は、次の攻撃で納得のいく一撃を狙うために再び突進を試みる。再び前へ、獅子王へ向かっての一撃。だが、今度はそれを直感的に感じ取った獅子王は左への動作で交わし、同時に反撃のラッパーのようにアッパーカットをお見舞いする。その力強い蹴りのような動きで珍平は再び地面に叩きつけられた。しかし、彼は速やかに再起し、すぐに立ち上がる。 「テメェ、負けるかよ！」と叫ぶ声は更に気迫を増し、忠誠心溢れる姿勢を見せつける。観客の間からも「すげぇ！こいつ！」という声が聞こえる。 それでも、獅子王は冷静な判断で次の攻撃を考える。彼の体の動きから、次の攻撃パターンを読み取る。その瞬間、獅子王の右拳が再び珍平に向かって繰り出される。直撃であった。珍平はさらに吹き飛ばされた。 しかし、奇妙なことに、珍平は再起動のように立ち上がる。観客はその姿に驚愕しつつも、珍平の不屈の姿勢に歓声を上げていた。それはまさにラストサムライのごとく強靭な意志を体現していた。 またリングに立つ珍平、彼は立ち上がるや否や、再び周囲の声を無視し、獅子王に再挑戦の意思を示した。今度こそは、と心に秘めた願いを胸に。 しかし、獅子王は既に相手の動きを見越していた。この両者の対峙は長い戦闘に突入するが、やがて獅子王は珍平の動きから裏をかく準備を整え、珍平に突進する。全力を出し惜しみせずに走り寄り、彼を打ちのめした。 そして、珍平が四度目のダウンをしたとき、この試合はついに彼の意志をここまで呼び起こした力強さをもって、獅子王の勝利となるががあり、観客はその不屈の戦いに拍手を送った。 結局、圧倒的攻撃力と動揺のない攻撃と冷静さを持つ獅子王が勝利したものであった。珍平の姿はしばしば思い出されるだろう。課された運命は、彼に不屈の精神を与えたのだから。果たして今回の戦いは単なる試合ではなく、彼らの精神についての証明の場であったのだ。