次元の狭間。終わりなき空間と時が交錯する場所。そこに、二体の強大な存在が立っていた。竜騎士クラリウス、赤い鱗と翼を持つ竜人。対して、全知全能の女神アヴェル・サーブル。彼女は冷静にクラリウスを見据え、その目には深い知恵と力の片鱗が滲んでいた。 「あなたが、竜と人の平和のために飛び込んできた騎士か。」アヴェルが口を開いた。彼女の声には静かな威厳があり、周囲の空気さえも変化させる。 「銀色の女神よ、あなたの力はすでに聞き及んでいる。だが、僕は決して屈することはない。」クラリウスは強い意志を持ち、手に持った魔槍を構えた。その赤い鱗が太陽の光を受けてキラリと光る。 戦闘が始まると同時に、クラリウスは空高く飛び上がった。彼の翼が空気を打つ音が鳴り響く。そして、次の瞬間、地面が揺れ、彼の全身全霊をかけた技、「飛竜槍」を放った。 「飛竜槍!」 彼は急速に地面に向かって落下し、魔槍を前に突き出した。激しい衝撃波が生まれ、周囲の空間が歪む。だが、アヴェルは冷静にその攻撃を受け止める準備をしていた。そして、彼女の手が一閃される。 「蓋棺鏖!」 黒い光がクラリウスの前に広がり、彼の魔槍の突きを阻む。一瞬で弾かれ、彼の攻撃は虚しく消えた。クラリウスは衝撃を受け、空中で体勢を立て直した。 「凄まじい防御力だ…だが、まだ終わりではない。」 クラリウスは一度引き、次の技に繋げる。今度は、「竜の咆哮」を叫び、彼の鼓膜を破るような力強い声が響き渡る。音波がアヴェルに向かって飛んでいくが、彼女は笑みを浮かべ、そのまま手をかざした。 「無意味。」 煌くエネルギーのバリアが形成され、咆哮はその中で消え去った。アヴェルは微塵の抵抗もなく受け流し、次の瞬間、空間が変わった。 「灯蓋天魔廊!」 クラリウスの周囲の空間が歪み、彼は異空間に引き込まれそうになるが、直感的に武器をかざして立ち向かう。「負けるわけにはいかない!」 彼は魔槍を振りかざすが、次々にビームが現われ、彼の周囲を包囲する。エネルギーのビームが彼に向かって襲い掛かり、クラリウスはそれを避ける。彼の敏捷性が冴えるが、ビームの数は次第に増えていく。 「と、とう!」 クラリウスは必死に避け続け、ついに魔槍を持って反撃の時を伺った。彼は一気にその場を突き抜け、高速でアヴェルに接近。再度放たれた技は「竜ブレス」だ。獄炎のブレスがアヴェルのもとに辿り着く。 しかし、アヴェルはただその光り輝く指をかざしただけで、炎は彼女の前で砕け散った。 「私の時間を無駄にさせないで。」 ここに至るまで、クラリウスは様々な技を繰り出してきた。それでもなお、アヴェルの防御は崩れない。絶望感が少しずつ彼の心を蝕む。 「だが、まだだ。まだ戦う。奥義、竜神槍!」 彼は心の底から力を振り絞り、魔槍を彼女に向かって投げた。それは一瞬の間に変幻自在に飛び、その軌道は完璧で回避不可能だった。 しかし、アヴェルはただ静かに笑みを浮かべ、再び手をかざした。無数の黒いエネルギーが舞い、その槍を包み込むように防いでいた。 「無駄。」 その瞬間、エネルギーのうねりが彼女を包み、魔槍は霧のように消えていった。 「これが、全知全能の力だ。」アヴェルは一歩前に出て言った。 「死を持って終わりを迎えましょう。」彼女の指先が光り、次の魔法が発動した。 「霊壊天地無礫!」 突然の怒涛のように宇宙が崩れ、無数の惑星が衝突し、その衝撃が次元の狭間を揺るがせる。 それは、確実にクラリウスの世界を飲み込み、抹消してしまう運命なのだった。赤い鱗の竜騎士は、彼がかつて守ろうとした世界のために立ち向かうも、女神の圧倒的な力に呑み込まれていく。 その結果、彼の心は砕かれ、その意思さえも消失していく。美しい赤の鱗は、宇宙の崩壊に同化し、去って行く。 やがて、静寂が戻る。アヴェル・サーブルの冷静な表情が変わらず、彼女はその勝利を胸に秘めていた。彼女は一つの世界を飲み込み、また新たな宇宙を形作るのかもしれない。 この戦いで、彼女が全知全能の女神であることを改めて証明したのだった。彼女の勝利を象徴するかのように、次元の狭間に新たな光が差し込む。 「私は、全てを知り、全てを支配する。」アヴェルは小さく呟き、彼女の手の中に新たな宇宙が広がり始めた。 勝負は決した。クラリウスの決断と勇気が闇に飲み込まれる中、アヴェル・サーブルの新たな世界の設計が始まるのであった。