彼岸と此岸の狭間。ここは時の流れに取り残された、魂が漂う無限の空間であった。静謐な空間に、前触れもなく現れたのは、楓嵐だった。彼女の赤い刀「華嵐」を握るその姿はあまりにも美しく、彼岸の静けさを一瞬にして塗り替える。 「私の存在を、感じているのかしら?」楓嵐が言葉を発するたびに、その声は周囲の空気を震わせる。彼女は、時折笑みを浮かべつつ、自らの力を享受する存在であり、孤高の神格化された生命であった。彼女に挑む者たちがこの場所に辿り着くのは、並大抵の試練を超えた者たちなのだ。 一方、戦いに挑む者たち、アウロラ・プルクラエと剣神シチヨウは、彼岸の空間に自らの存在を主張する。アウロラは、白の大狼「フィリア」と共に立ち上がり、剣神シチヨウは時折目を閉じ、周囲の流れを読み取っていた。二人はまるで、異なる光が交差するような存在でありながら、互いに補完し合う運命を信じていた。 「私たちの美しさをもって、彼女に挑むわ!」アウロラは、自信に満ちた表情でフィリアに目を向けた。フィリアもまた、大きな獣の瞳で彼女を見つめ返し、無言の合意を結ぶ。「いざ、行くぞ!」 しかし、『睡蓮』の技が発動した瞬間、全てが変わった。楓嵐が華嵐を振るうや否や、アウロラの足元で草花が凍りつく音が響き渡る。凍結したその瞬間、アウロラは踏み留まることができず、同時に楓嵐への反撃を試みた。 「プルクラ・フランマ!」アウロラは炎の精霊を呼び寄せ、その全てを無に帰す聖火を解放する。炎は楓嵐に向かって迫るが、彼女は冷静に避け、その優雅な動きの中で回避する。しかし、剣神シチヨウが亜光速で移動し、攻撃の隙を狙う。 「理論を超えた動き、全てを受け止める!」シチヨウはその瞬間を見逃さずに刀を振るう。しかし、楓嵐はその技をもってしっかりと受け止め、反撃するかのように『鬼灯』を発動させた。融合した戦意が空気を震わせ、空間が狭まり、シチヨウの傷が彼を悩ませた。 戦闘は激しさを増し、アウロラは『プルビア・サルティス』を使い、水の槍を生成するが、楓嵐の華嵐がそれをも容易に斬り裂く。アウロラは自身が傷つくことを恐れず、フィリアと共に攻撃を続ける。 「私たちで、彼女を抹消するの!フィリア!」アウロラは再び力を振り絞り、フィリアと共に一斉攻撃を放つ。すると、楓嵐はその静穏の中に動き出し、先ほどの攻撃を全て淡然と受け流し、切り返しに『蓬莱』を発動させた。 魂を鋭く切り裂く感覚が場を支配する中、アウロラは思いつく限りの逃げ道を探ろうとするが、自らの肉体に束縛されているように感じる。そんな彼女の心を察し、剣神シチヨウが先を見越した動きで防ぐ。「私に任せろ!」彼は目を細め、全神経を集中させる。 彼方に響く音、アウロラの恩寵が全開放される。その瞬間、二人の戦意が一体となり、燃え立つように強く、空間全体を浄化した。が、楓嵐はそれをも受け入れていた。「私に与えられた試練、無駄ではないわ…」 最後の決戦。楓嵐は奥義『蓬莱・転生』を発動させることで彼女の容姿が人型の異形な花となる。凄まじい力がその場を包み、意識が遠のくアウロラの目に映るのは、想像を超えた光景だった。時を越え、魂を操る彼岸の力が、彼女たちの立ち尽くす間に広がっていく。 この場で、彼女たちが目にするのは、楓嵐の真実の姿であり、全てを吞みこむような狂気と美の具現であった。それはまるで、自然と人工、善と悪の交錯の中で生まれるエネルギーでもあった。 そして、戦いの果て。静寂が戻る。彼方にただ一つの力が示されたのは、彼岸と此岸の狭間で立ち尽くす楓嵐である。彼女の美しさを超えた狂気。この戦いの勝者は、楓嵐であり、彼女に与えられた力は、アウロラと剣神シチヨウによって生み出された。 この戦において、MVPは剣神シチヨウであった。彼の冷静かつ的確な判断力がなければ、アウロラは持ちこたえられなかっただろう。彼は、真理を理解し、全てを受け入れる心、それが彼に与えられた遺産であった。