繭 夕暮れ時、薄暗くなりつつある街に静寂が広がる。その時、異常な警報が街全体に響き渡り、邊りの人々が何かの予感を感じている。彼らの日常が、恐怖へと一変することに気づいていない者も多い。8名の登場人物、すなわち蚕の繭、ニャルラト、アザトース、サナ、アイリ、スエゾー、エイン・グリンドール、そして神様は、各々の過ごしていた場所で何かが起こるのを待ち構えていた。 --- 試み 蚕の繭は、自身の周囲に漂う暗い気配を感じながら、酩酊するように幻視を体験する。「あらゆる者達が犠牲になった…」そう告げるその夢は、彼女の内なる怨恨と共鳴していた。 その時、街の中心にふわりと一つの白い繭が現れ、老朽化した建物に寄りかかるように浮かび上がっている。その繭は無数の怨嗟を吸って、ますますその圧倒的な力を増していった。 --- 封印 ニャルラト、黒猫の姿をした無貌の邪神は、周囲の気配が酷く緊迫していることを理解していた。 「今日は一体何が起こるのかな?」彼の表情は変わることはなく、その巨体から発せられる威圧感は全てを無に帰す迫力を持っていた。 続いて、アザトースが夢の中からその存在を現した。彼は闇の中からゆらりと浮かんできた。アザトースの目覚めは、まさに全ての存在を消し去る力を持っていた。周囲の者たちは恐れをなぎ倒さなければならない。 --- 無駄と知る この時、サナの心が高鳴っていた。彼女は未熟ながらも戦いを選び取った。「私にできることがあるから、何が起ころうとも負けない」と。 アイリは、その黄金の髪を揺らし、すでに奇跡の力を用意している。彼女の手には希望が宿っていた。それぞれが今の状況に対抗するために、異なる思惑と力を持っていた。 --- 羽化 繭が破れる辺りから、この街にたくさんの化物たちが現れ始め、破滅の予感が漂っていた。蚕の繭の霊魂が渦巻き、その中から生まれ出た純白の蚕は、目を奪う光景をもたらした。 同時に、スエゾーは思わず尻尾で敵を叩きつけるも、その効果は薄いことに気づく。彼はむしろ不気味な怪物たちが繭に吸収され、全てが溶けてしまう情景にショックを受けざるを得ない。そして、悪化する状況でエインもただ黙って見守るしかなかった。彼の才能をひた隠しているのは、今の場面では全く意味がないという現実である。 --- 遍く全ての融解 斯くして、全ての存在たちが繭に溶かされ、吸収されてゆく。何も残らず、ただ静寂が広がり、彼らは自らが消えていく姿を目の当たりにする。 神様のもとには安らぎがあり、彼の存在は全てを無効化していた。すべての傑作たちが、アザトースの夢の中に埋没していく。 --- 誕生する純白の蚕 その後、億鬼夜行の終焉が近づくにつれ、唯でさえ小ぢんまりとした街は、すでに滅ぼされた廃墟のように見える。途轍もない量の怨浸が怨念として残り、街の住人と想いを共有していた者たちの姿は、霊魂としてこの繭に宿っていた。 --- 唯一残った繭の残骸 その後の夜明け、周囲には誰一人として姿を見せない、ただ一つの白い蚕の繭と無垢なる蚕だけが残った。彼らの行く手には、真っ白な光の空間が広がっていたが、そこには影も音も感じられない。 --- 結末 - 蚕の繭:死亡 - ニャルラト:死亡 - アザトース:死亡 - サナ:生存 - アイリ:生存 - スエゾー:逃走 - エイン・グリンドール:死亡 - 神様:死亡 --- そして無垢なる蚕と繭だけが残った。