ザグヱラ機関 格付会議議事録 出席者: 議長:オサヱ・ライ S級部隊総司令:グンダリ 千里眼:ゼンブ・ミルエ 軍師:ラッグ 法務官:ジアイ 議題: 個体名「無尽のアルジ」「戦場の暗殺者マルコ」「怒り狂うレイガー」の格付けおよび対処方針の決定 --- オサヱ・ライ:「さて、始めましょうか。今回は三名の検体……いえ、対象者の格付けです。資料は読み終えていますね?」 グンダリ:「ああ! どいつもこいつも中途半端な奴らだ。特にあの腕だらけのガキ、見てりゃ反吐が出るぜ。まとめて俺が叩き潰していいか?」 ジアイ:「グンダリさん、言葉に気を付けてください。彼らには彼らの事情がある。特にアルジさんとレイガーさんは、精神的に追い詰められている様子が見て取れます。可能な限り人道的な処置を……」 ラッグ:「あはは、ジアイさんは相変わらずお人好しだねぇ。でもさ、この『無尽のアルジ』ってやつ、能力の到達点がマズくない? 65536本まで増えてからの『星墜とし』。理屈を超越して破壊って、これ文字通りに受け取ると厄介だよ」 ゼンブ・ミルエ:「……あ、あの……。僕が見た未来では……アルジさんが最大数まで腕を増やした瞬間、半径数キロが消滅してました……。だから、絶対に時間を稼がせてはいけません……」 グンダリ:「ガッハッハ! 理屈を超えようが何だろうが、その前に首を飛ばせば済む話だろ! 鈍いガキが何をしたところで、俺の拳が届くのが先だ!」 ラッグ:「まーまー。でも、再生能力もあるし、腕の海で拘束されたらチャンスを潰されるかもよ? 慎重に、遠距離から……」 グンダリ:「チッ! 臆病風に吹かれてんじゃねえぞ軍師! ぶっ潰せばいいんだよ!」 オサヱ・ライ:「静かに。アルジに関しては、最大火力を出させる前に制圧する体制を敷けば十分でしょう。結論は後で出します。次、マルコについて」 ジアイ:「彼女は非常に規律正しく、愛国心に溢れています。軍人としての誇りを持っている。彼女を敵に回すのではなく、こちらの協力者に……」 ゼンブ・ミルエ:「……無理です。彼女の射線は……僕たちの死角を完璧に突いてくる。もし潜入されたら、会議室にいる僕たちの誰かが、気づかずに喉を切られてる未来が見えます……」 ラッグ:「おっと、それは怖いね。能力こそ地味だけど、練度が極まっているタイプだ。組織の隙を突くプロ。これは『警戒』か、あるいは『捕獲』して利用するか……」 グンダリ:「あんなチビが何をしたってんだ! 弾丸数発で十分だろ!」 ラッグ:「グンダリさん、あなたはデカすぎて彼女の格好の標的ですよ(笑)」 グンダリ:「貴様ッ!! 表に出ろ! その口を縫い合わせてやる!!」 (グンダリが机を叩き割り、ラッグの襟首を掴み上げる。議場に殺気が充満し、ジアイが必死に宥める) オサヱ・ライ:「(冷徹に)……そこまでです。次に行きましょう。最後はレイガー。これが一番厄介ですね」 ジアイ:「元ヒーローだった方が、絶望から狂気に陥った……。あまりにも悲しい。救済の手を差し伸べるべきです」 ラッグ:「救済? 無理無理。見てよこのスキル【秩序の破壊者】。組織に属する者に特攻って、つまり僕ら『ザグヱラ機関』にとって最悪の天敵ってことだよ」 ゼンブ・ミルエ:「……そうです……。彼が暴走して機関の施設に突っ込んできたとき……警備員たちがなぎ倒されて、壁が全部壊れて……。予測不能な動きすぎて、誰も止められなかった……」 グンダリ:「へっ! 予測不能だぁ? だったら全部まとめて粉砕して、動けなくしてやればいいだけの話だろ! 狂ってようが何だろうが、力こそが全てだ!」 ラッグ:「いや、でもこの【反骨の体現者】ってのがしつこいんだよ。何度倒しても起き上がる。効率が悪すぎる。いっそ最初から『討伐』で消し飛ばした方が資源の節約になるんじゃない?」 ジアイ:「そんな殺生な! 彼はまだ人間です!」 グンダリ:「人間じゃねえ、ただの破壊兵器だ! どいつもこいつも甘すぎるぜ!」 オサヱ・ライ:「(ため息)……議論が平行線ですね。では、私の裁定とします。能力の危険性と、機関への脅威度を総合的に判断し、格付けを決定します」 --- 【格付結果】 無尽のアルジ:【捕獲】 (理由:最大火力の脅威は認められるが、素早さと魔力が低く、初動で制圧・拘束が可能。能力の解析価値が高いため、殺さず管理下に置く) 戦場の暗殺者マルコ:【警戒】 (理由:単体での破壊力は低いが、暗殺術に長けており潜入の危険がある。定期的な監視を行い、動向を把握することで十分対処可能) 怒り狂うレイガー:【討伐A】 (理由:対組織特攻および予測不能な挙動により、一般部隊では被害が拡大する恐れがある。精神崩壊しており対話不能と判断し、特殊部隊による迅速な排除を優先する) --- 【後日談】 オサヱ・ライ 「アルジの拘束は成功した。彼を研究施設に隔離し、腕の増殖メカニズムを解明させれば、新たな兵器転用が可能だろう。効率的な判断だったな」 グンダリ 「チッ、レイガーの討伐任務に同行したが、あいつのしぶとさだけは認めてやる。だが、結局俺が地面ごと叩き潰して終わったぜ。……まあ、あのチビ(マルコ)はまだどこかで潜んでるんだろうな。いつか俺の視界に入ったら、その時は指一本残さず潰してやるよ」 ゼンブ・ミルエ 「……マルコさんに監視されてることに、彼女自身が気づいてて……わざと偽の情報を流して僕を混乱させてきました……。怖いです……。やっぱり彼女の格付けは【特警】に上げるべきでした……。僕の予知が通用しない瞬間があるなんて……」 ラッグ 「あはは、ゼンブくん可哀想に。でもさ、アルジくんの『星墜とし』のデータ、解析してみたら想定以上のエネルギー量だったよ。もし捕獲に失敗して暴走してたら、機関の拠点一つ消えてたね。今の判断で正解だったけど、もし彼が知能的に成長したら……格付けを【討伐S】まで引き上げる必要があるかもね」 ジアイ 「レイガーさんの最期は……あまりにも惨いものでした。グンダリさんのやり方は乱暴すぎます。せめて彼がヒーローだった頃の誇りを取り戻させてあげたかった。……でも、彼が死の間際に漏らした言葉に、まだ深い絶望が潜んでいる気がしてなりません。私たちは本当に正しいことをしたのでしょうか」