月明かりが煌々と降り注ぐ中、戦場は実験室の一画に設定され、異形の魔獣、キマイラがその姿を現した。四つ足で地面を蹴り、ちょうどベールのように重なる薄明かりの中、その存在感は圧倒的だった。複数のファクターを持ち、魔法と体術を駆使するキマイラに、聖王クマゴと彼の側近ナメクジイは立ち向かう。彼らの任務は、魔獣を封じ込め、王国を守ることだった。 クマゴはその巨大な体躯を生かし、威厳のある姿勢で待機していた。彼の心の内では使命感と共に高まる期待がうねっている。彼は肌に月光の恩恵を感じ、今や彼の能力は十倍に増幅されていた。 「準備はいいかい?ナメクジイ。」 「もちろんじゃよ、聖王様。ただし、焦らずに行こうではないか。」ナメクジイは自らの杖をきゅっと握り、静かに見守った。聖王の心が強いことを知りつつも、彼もまた脅威に対する警戒を怠らずにいた。 戦いはすぐに始まった。キマイラはその頑丈な体を利用し、一気に二人に向かって突進する。聖王は見切りスキルを発動させ、相手の動きを先読みする。 「来い、キマイラ!」 聖王は体を低く構え、見事な千拳を繰り出す。その拳は、空中を切り裂くようにしてキマイラの頭部を狙った。しかし、キマイラはその強力な肉体を利用して、簡単には避ける。先読みスキルでその動きを察知した聖王は、体勢を崩さずにしっかりと受け止める。それに続き、ナメクジイも自らのスキルを発動させ、幻壁を形成する。 「幻壁、展開!」 突進するキマイラは、ナメクジイの幻壁に激突し、反発した。聖王はその瞬間を逃さず、一気に飛びかかり長く鋭いけがを狙った。 「十二月欠!」 宝剣「夜幻」を抜き、聖王は次々と斬撃を放った。その斬撃はまるで月光を浴びた後の影絵のように、次第に強さを増していく。最初は軽やかだったが、四回目の斬撃になると、最早その威力は凄まじいものだった。キマイラは後退するも、すぐにバランスを取り直し、熊猫の特性を生かして身体強化を行う。耐久力が増すことで、聖王の斬撃を何とか受け止めた。 次の瞬間、キマイラの肉体がその堅固さを発揮し、反攻に転じる。彼は強靭で傷ひとつつかない体を武器にして、まるで無限の力を持つかのように衝撃を与えた。キマイラはただ力任せに暴れ回るのではなく、魔法をも使いこなしている。 「眠り風!」 突如、周囲の空気が変わった。風が舞い、目に見えない魔法が満ちている。聖王は素早く身体強化を発動させ、その力を解放し、この状況に対抗する。 「ナメクジイ、あの風の中で何か異常を感じないか!?」 「はい、聖王様、注意が必要じゃ!」ナメクジイも自身の魔力を集めつつ、キマイラの行動を窺った。 しかし、このままでは立ち往生してしまう。聖王は再度、月の恵みの力を借りることを決意する。 「月の出!」 月影が二人の周囲に広がり、一瞬にして月の光が射し込んだ。これにより、聖王とナメクジイの力はさらに高まる。キマイラの動きが遅くなることに気が付く。 「今だ!」 聖王はその巨体を前に進め、同時に「月光漣」を発動させた。申し訳程度に溜められた月光が剣に集まり、キマイラに立ち向かう。聖王の一刀両断は、その瞬間、月光と共に弾け飛ぶ。一閃の刃がキマイラの肉体を切り裂く。キマイラは内臓から流れ出る魔力をもって、再生を試みるが、月光の効果がそれを無効化していた。 一瞬の静寂が戻った後、キマイラはついに膝をついた。その姿は、かつての威厳を失ったものに見えた。 その時、ナメクジイも動き出す。「獣召喚!」 大きな魔獣が一瞬にして現れ、キマイラに追い討ちをかけた。だが、最後まで立ち上がろうとする姿勢を貫くキマイラ。魔獣の到来に動じず、キマイラはそこに宿る命をかけ、尚も強い抵抗を示した。 「我が国を守るため!」 聖王は声をあげ、「十二月欠」の連続斬撃を再び放った。攻撃の手は止まらず、最早十倍にもなった能力がその前に立ちはだかる。キマイラはついに、その強靭な肉体をもってしても立ち上がれず、打倒された。 その瞬間、冷たい静寂が戦場を包み込む。月の恵みと、王である聖王クマゴの意志が、魔獣を圧倒したのだった。ナメクジイは、いや、王国が救われたことを認識し、ゆっくりと微笑んだ。 「やったのう、聖王様。存分に誇ってよい!」 聖王は見下ろすキマイラの姿に胸を張った。「我々の勝利だ。これが王国を守る者の力だ!」 その言葉に満ちた力が、王国の夜空に広がっていく。勝利と共に訪れる静穏。 そして、参加者である聖王クマゴの勝利が確定した。