異空間にひそむ存在、対立の場として選ばれたのは壊れかけの現実世界。虚無の使者《舞い降りた虚無の使徒》ボイドは、赤い眼差しを鋭く光らせ、巨大な羽を広げて立っていた。彼の存在そのものが、周囲に暗雲を生み出し、世界を徐々に無へと導かんとしている。 「無に還ってしまえ、全てを無に還し、何も存在しない宇宙を創る。」ボイドは冷静に呟く。 対照的に、チームBの獣人【覇闘の頂】HEVEL・ザークは周囲の緊張を感じ取り、その四足で地面を踏みしめる。彼は戦いの興奮に身を任せ、仲間たちにその意気込みを伝える。「奴を屠るために全力を尽くしてやる!」 チームメイトの【復讐の勇者】アルフレート・ウィル・ディスハイマーは、鋭い紫の髪を揺らしながら、ボイドを一瞥し、「愚かな虚無。お前が私の復讐の炎に触れることを選ぶとは。」と、自らの復讐心をむき出しにする。その目には狂気が宿り、周囲の者すべてを消し去らんとする欲望が渦巻いていた。彼はほとんど興奮状態で、ボイドに向かって剣を構える。 一方、止まった懐中時計・【ヴァイオレット】は仲間たちに瞬間移動の魔法陣を展開し、「まずはこの魔法陣で相手の出方を見るのが得策かもしれないわ」と思案する。賢さと機転を持つ彼女は、常に冷静さを保ちながら、戦況を見守る。背後の仲間の声を耳にしつつも自信を持って自身の魔法力を発揮する準備を進める。 容量の限界が近づく中、ボイドはカウントダウンを始めた。「60秒後、世界は消え去る。この運命から逃れられる者は誰もいない。」 残り50秒の時、ボイドは虚無の力を発揮し、HEVEL・ザークはその瞬間、自分の能力がすべて失われていることに気づく。「何が起きた?」彼は狼狽するが、同時にボイドの威厳を感じていた。 残り40秒時、【学者の卵】コレットは真っ青になり、自分の記憶の中で曖昧なものが消えていく不安感に襲われた。「いや、私の知識が!私の研究が!」それでも好奇心が邪魔をし、彼女は記憶を取り戻そうと必死になっている。しかし、頭の中の混乱が続く。 残り30秒、世界が崩れ始め、地面は崩壊し、仲間たちが落ちていく恐怖に乾き切った声を上げる。「足元が…!」HEVELは何とか踏みとどまろうとするが、重力は弱まり、彼はもがく。「無駄だ…無に帰れ…!」ボイドの声が響き、仲間たちをさらなる絶望へと引き込んでいく。 残り20秒、完全に浮かび上がった彼らは、混乱しながら無重力の世界で何とか生き続けようとあがくが、ボイドの冷酷さに押しつぶされる。そこでアルフレートは怒りに燃え、復讐の炎を振りかざす。「俺は消えない!お前の無なる世界を受け入れてたまるものか!」 しかし、ボイドの虚無は彼の意志さえも打ち砕く。残り10秒、世界の空気が失われ、全てが静まり返り、視界が白くなり始める。コレットは「逃げなきゃ!」と瞬間移動の魔法を駆使するものの、周囲には何もない。彼女の叫びは虚無に飲まれていく。 最期の瞬間、残り0秒。ボイドはそのまま彼の命令を下す。「全てを無に還す。存在は消え去るのだ。」この声が響き渡り、その瞬間、HEVEL・ザークもアルフレートも、そしてコレットも、全ての記憶と意識を失い、無へと消え去った。 世界は虚無に呑み込まれ、全てが消え失せた。誰一人としてこの戦いの果てを知る者はいない。ただ静寂が広がり、全ては無の中へと溶け込んでいく。ボイドの意志が確かに伝わると同時に、虚無はその理想の宇宙を形成し、唯一の勝者として立ち尽くしていた。