① 世界を滅ぼす日 その日、空は暗く、重苦しい雲が全てを覆っていた。大地は震え、万物が不気味な静寂に包まれていた。人々はその異常さに気付き始め、街角では恐怖の声が上がる。だが、それでも彼らには犯される前の安心があった。それを破壊する者、グレイは、多次元を渡り、この世界に降臨した。 彼の姿は、4メートルの高さを持つ漆黒の馬。その馬が着地した瞬間、地面はついにその終焉を迎えた。この存在の周囲に広がるのは、まるで影が落ちるような暗闇。人々は恐れおののき、ただ立ち尽くすしかなかった。 「未だ世果ては遠く…」グレイはそう呟き、その身を霧のように消した。彼の後に残るのは、破滅の序曲の始まりを告げる響きだった。 続いて彼は、【鎮魂歌】のスキルを発動させた。全ての命から力を奪い、破壊の贄とするために。人々は苦しみ悶え、力を失い、世界は崩れ始めた。無慈悲な空がその私たちの世界を喰らっていく。 そして、周囲には「謎の卵」が降ってきた。誰もそれが何かを知る由も無い。卵が羽化し、そこから生まれた奇形生物は、近くにいる者の体内に寄生する。 彼らはただ立ち尽くす。混乱と絶望に沈む中、無数の生物が生まれ、人々が襲われていく。人々の悲鳴は、終焉のファンファーレとして響き渡った。 あらゆる天変地異が峻烈に世界を覆い、消えゆく命のフィナーレを演出する。全ては、グレイに導かれた運命だった。 ② 終焉の後 時は流れ、世界が再び静寂に包まれた。かつて賑やかだった街は無人の廃墟と化し、灰色の空がその全てを覆い隠していた。 グレイは、破壊し尽くした世界の上に恍惚と立っていた。周囲には、かつての命の痕跡が虚しくただ残されていた。しかし、失われたものへの感傷は彼には存在しなかった。彼はただ、あらゆる世界の破壊と再生の権限を持つ存在なのだ。 「これが終焉というものか…」 彼は独り取り残されたことに気付き、冷淡に言葉を続けた。「全ては終わり、新たな始まりが待っている…」 寂しい静寂の中、かつての人々の深い哀しみの怨念が残響のように耳に迫る。しかし、それは無視された。彼は自らの立場を思い出し、再生の期待を抱く。 数日後、彼はこの世界を再生させようと試みていた。しかし、彼の側にはもはや生きている者はいなかった。その身一つで全てを壊し、新たに創造するという矛盾を抱えていた。 そんな時、彼の目の前にかつての命が残した絶望の声、周期的に現れる卵の影が見えた。彼はそれらを見つめ、「これもまた終焉か…」とつぶやく。 再び闇へと向かおうとするグレイ。その心には無関心と無情が宿りつつも、一瞬の感情の波が彼を襲う。その後、新たな序曲の始まりへと、また進み出した。人々の悲劇は、彼の心のどこかで鈍く響いていたが、それでも事実として受け入れられていく。 「一つの世界が消え去ることは、また別の始まりを生むのだ。」 そう告げて、彼は再び多次元の旅へと消え去った。再生の権限を握る者として、彼のその歩みは、まだまだ続くのだった。 --- これは全てが織りなす無情の物語であった。