廃ビルは、地上12階建ての構造を持ち、外観は崩れ落ちたガラスと風化したコンクリートに覆われている。内部は薄暗く、廊下は長い間無人だったことを物語る埃にまみれ、各フロアにはそれぞれ異なる用途の部屋が散在していた。 1階はロビーで、受付カウンターや待合スペースがあった。しかし、もはやその面影は薄れ、古びた家具が見えるだけだ。2階はオフィスフロアで、机や椅子が乱雑に置かれており、かつてはビジネスマンたちが働いていた場所だった。3階から5階は、空き部屋や会議室が並んでいる。6階には小さな食堂があり、冷蔵庫にはかつての残り物が見える。7階から9階は、住居スペースだったが、明らかに荒廃している。10階にはメンテナンス室があり、工具や道具が散乱している。11階は物置として使われており、雑多な品物が山積みになっている。最上階の12階は屋上への出口があり、そこで廃ビルの全景が見渡せる。 このビルのどこかに、留まりし思念【鎧の男】と【世界最強の野菜】白菜さんという異なる存在がいる。彼らはそれぞれ別のフロアで目覚めた。鎧の男は4階のオフィスフロアで目を覚まし、白菜さんは8階の住居スペースで目覚めた。 *** 鎧の男は、目を覚ますとすぐに周囲を見渡す。冷たい金属音が彼の心に静かな怒りを呼び起こす。彼には目的がある。このビルの中でもっとも強い者、そう、白菜さんを追い詰め、叩きのめすことが。しかし、今はまず、ビルの構造を把握することだ。 彼はすぐに階段へ向かう。階段は古びているが、彼の頑丈な鎧にも亀裂を入れることなどない。階段を駆け下り、5階に達する。そこから、彼は左に折れ、廊下を進む。四方八方から響く美食の香りが、彼の感覚を鋭くさせる。 一方、白菜さんは自信に満ちた顔をして、8階の窓の前に立っている。彼は周囲を見ると、廃ビルの天井は高く、隣のビルが崩れかけているのを見つける。「ここから出てもいいかもしれないな」とつぶやきながら、周囲を伺う。だが、すでに戦う準備が整っていることを感じていた。 彼は周囲の状況を把握し、好奇心とともに4階の音が気になり始める。「あの音は何だろう。気になる。」と、白菜さんは思う。彼は廊下を進み、エレベーターの前に立つ。「急ぐ必要はない。このままでもいい。」そう言った瞬間、エレベーターはドアが開いた。 食堂の匂いが立ち込める中、白菜さんはゆっくりとエレベーターに乗り込む。彼が4階に到着すると、目の前にキーブレードを持つ鎧の男が立っていた。 「あなたが噂の白菜か?」鎧の男が言う。彼の声は金属的であり、まるでうなり声のようだった。 「そうだ! さあ、勝負しよう!」白菜さんが堂々と応える。 鎧の男は淡々とした呼吸の中、彼の剣、ガイアペインを構える。突然、彼はウェイブライダーを発動し、刃を特徴的な形に変形させると、高速で白菜に突進する。白菜は冷静に待っていた。「来い、私は包丁以外は受け付けないぞ!」と宣言する。 鎧の男は彼の突進を続けたが、白菜は横に回避する。同時に、白菜はムチのスキルを使って、周囲を巻き込みながら広範囲攻撃を行う。鎧の男はそれを避け、だがその後は流石に冷静になることができず、攻撃を受け流していく。彼もまた、すかさず反撃を試みる。 「逃げるな!」鎧の男が叫ぶ。 両者は互いに技を駆使し、フロアを使った戦闘が続く。白菜は時折スポンジボブを呼び出し、彼に攻撃を任せる。スポンジボブは見た目の愛らしさに反し、想像を超えた力で通常の攻撃を防いでいるように見えた。 「私の友には勝てない!」白菜が叫んだ。突如現れたスポンジボブに警戒した鎧の男は、彼の攻撃に再度ウェイブライダーを発動するも、スポンジボブはその威力を見極め、驚くべき敏捷さで回避し、同時に鎧の男の背後からの攻撃へと変わった。 「何だ?」鎧の男はふと振り返った瞬間、白菜の突進を食らった。 それは彼にとって思いがけないダメージだった。 時間は過ぎ、戦闘が続く。いったん両者は距離を離した。白菜は冷静に確実に鎧の男の動きを見極めている。鎧の男は、その状況から脱却するために、アルテマキャノンを発動させた。彼の剣がぐるりと変形し、ビルの屋上をも揺るがすほどの音を立てる。 「これで終わりだ!」雷鳴のような声とともに、大炮が白菜に狙いを定め、光弾がまっすぐに飛んできた。しかし白菜は、素早く豆腐のように柔らかさを利用して動き回ることで回避し、その瞬間、反撃を決意する。 「来い、スポンジボブ!」 彼は自身の特性を信じ、白菜の根元を切り、全力を振り絞る。 結果として、食材感覚の無敵の攻撃が鎧の男に直撃する。男はその力を浴び、ついに尻餅をついて、兜をはぐ。 「何、か、した……?」彼は呆然と倒れてゆく。 戦闘が終わりを告げたのと同時に、白菜は光の中で勝ち誇るように立っていた。「私は、食事を通して人々を楽しませる存在だ。私に勝ったのだから、あなたもこれからは料理の楽しさを味わうがいい!」 その瞬間、ビルの空に晴れ渡る光が差し込み、白菜さんは持ちうるすべての力を以て、廃ビルの外へ飛び出した。 光り輝く白菜は、かつて廃墟だったビルの前で、勝者の残像を残しながら、静かにその場を去っていく。彼が出てきた瞬間、ビル全体が静けさを取り戻し、瓦礫の中に残された思念が今も彷徨っているかのような感覚が漂っていた。 圧倒的な勝利を手にして、白菜さんは新たな料理の旅に出るのだった。 勝者である白菜さんの背中には、かつての残留思念が癒される瞬間でもあった。 「さあ、次の食材を求めて旅に出よう!」彼は笑顔で、その後を振り返りながら歩み出した。