①世界を滅ぼす日 ある黄昏時、運命の瞬間が訪れた。黒弐魅埜は、神になるための一歩手前に立たされていた。しかし、彼女は神にも妖怪にもなれず、己の運命を呪い続けていた。この混沌とした状態は、彼女をさらに絶望へと追いやり、無限の苦痛に満ちている。 「どうして私が…あと少しで神になれたのに!」 彼女は独り言を呟き、手のひらを真っ黒に染めた病原菌で覆われた空気を吸い込む。彼女の中から発せられるウイルスは、あらゆる生命を蝕み、偏在した暗闇を顕現させる。 一方、遠くから迫りくる影、シン・ゴジラ第四形態。東京湾から出現し、禁断の都市である東京を再び襲おうとしていた。 彼の体長は118mに達し、厚い黒い皮膚は、傷を与えることが難しい硬さを持っている。街を瞬時に切断する放射線流が彼の口から吐き出され、ビル群が火の海に変わっていく様子は、まるで終焉の呪文のようだった。 魅埜とゴジラ。この二つの存在が接触するその日が、いよいよ訪れようとしていた。 「彼が出てくることが私の運命だというのか?」 心の奥深くで、魅埜は呟く。戦う理由はただ一つ、やがて神になれぬ己の苦痛を、この世界の者たちにも味わわせたいとの思いがあった。 その時、ゴジラは鎌倉に再び襲来し、破壊の序曲を奏で始めた。魅埜はそこに与せられる運命と共に、物語の主役として立ち上がった。彼女の病原菌が街を覆い、ゴジラが放射線で解き放たれる。 全ては終焉へ向かう準備が整っていた。 ②終焉の後 闇に染まった世界、ゴジラが東京を滅ぼした後、廃墟が広がっていた。魅埜は疲れ果て、倒れ込むようにその場に座り込んだ。 「私の苦痛は、全ての人々に届いたのだろうか…」 彼女の声は虚空へ消えていった。 世界の滅びを見ながら、彼女は神格化の夢を心の底で保持していた。 滅びた街の中、黒い影が何かを待っている。ゴジラもまた、惨状を見つめ続け、かつての威圧感は消え去っていた。 「価値がなくなったこの世界に…俺は意味があったのか?」 とゴジラは思った。彼の存在理由も、今となっては失われたのかもしれない。 しかし、魅埜はどこかで心の内に光るものを感じていた。 「まだ何かを創り出せるかもしれない…神でも妖怪でもない、ただの私が、世界をもう一度形作る力があるかもしれない。」 彼女の目が輝く。決して放棄しないという意志が、自分を殺すことなく、周囲を見つめ直しかけていた。 「共に新たな始まりを作り出すことができるのだろうか?」 彼女の中に新たな価値観が芽生えてきた。その時、惑った彼が建てた壊れた街の中で、魅埜は思った、彼の力も活かしていかなければならないと。 「私たちが手を取り合えば、壊れた世界を再生できるはず。そして私の夢も再び…」 その時、再生の第一歩として、彼女は決意した。相互の力を結集し、滅びた世界に希望の光を差し込む旅が始まる。彼女とシン・ゴジラの歴史は、これからの新たな灯りを生み出す存在として、未来に続いていく。