山の奥深く、霧の立ち込める小道を進むと、ひっそりとした小屋が現れた。その小屋の前には、かつての英雄「元英雄」が立ちはだかっていた。彼女は赤いロングヘアをなびかせ、和服を纏っている。その姿は優雅でありながら、圧倒的な威圧感を放っていた。 「私がかつての英雄、元英雄。今日、君たちと戦う理由は一つ。かつての栄光を取り戻すためだ。」彼女は冷たい笑みを浮かべて言った。 その言葉に反応したのは、二人の参加者だった。一人は8歳ぐらいの小さな男の子、レイ。彼は優しく、泣き虫だが、心には勇気を秘めていた。彼の能力は強くはないが、決して諦めることはなく、仲間のために尽くそうとする心を持っている。 もう一人は「天翔の白龍」フリー。彼は小型の風龍であり、その素早さを持って仲間を守る存在だった。フリーは力強い翼を持ち、戦うために生まれたような存在であった。 「私が君たちを相手にするなんて、可哀想だわ。」元英雄が瞳を細め、笑みを浮かべた。瞬間、彼女の身体が赤い残像を残しながら消え去る。 「気をつけろ、彼女は速い!」フリーが叫ぶと、元英雄が一瞬で二人の間に現れる。 「粉砕拳・乱撃!」 彼女は圧倒的な速度で連続拳打を放ち、まるで嵐のように二人の周囲を吹き荒れる。レイはその攻撃から逃げようとしたが、拳が彼の目の前をすり抜け、土砂のように崩れる音を立てた。 「レイ、僕が守る!」フリーが空中に舞い上がり、小さな翼を羽ばたかせ、彼女の攻撃を回避する。レイはその姿を見て、少し安心した。すると、涙の雨が彼の周囲に降り注ぐ。 「涙の雨…」フリーが驚いた表情を浮かべて言う。「それが君のスキルか。彼女には効かないと思っていたけれど…」 レイはしっかりとした口調で言った。「これで彼女の攻撃を止めることができるかもしれない。急いで!」 フリーは頷き、小さな風龍は元英雄に向かって突進する。彼は「翔翼閃!」と叫び、風を漲らせて彼女を貫こうとした。しかし、元英雄はそれを読んでいた。彼女はそのままフリーを見つめ、「粉砕拳・遠撃!」と叫ぶ。 拳が空間に叩き込まれた瞬間、大きな衝撃波が生まれ、フリーの進行を遮る。それにより、彼は攻撃を中断せざるを得なかった。「ふっ、こんなもので私を倒せると思ったの?」 元英雄は冷静さを保ちつつ、再びレイに目を向ける。「そんな子供が私に勝てると思ってるの?甘いわ。」 「僕は泣き虫かもしれないけど、勇気はあるんだ!レイ、行こう!」レイは勇気を振り絞った。彼の傘を広げ、敵の攻撃を迎え撃つ準備をする。すると、彼は「幸あれ!」と呟いた。 元英雄はその瞬間、レイの意志の輝きを感じ取った。再び彼女の攻撃を避けつつ、フリーと連携を取る。彼は空中でレイと共に動き、レイの涙の雨が元英雄に降り注ぐ。 「うっ…この雨は…」元英雄は一瞬困惑した表情を見せる。より攻撃を続ける意志を失い、彼女は二人を冷静に見つめ直し、何が起ころうとしているのかを感じ取ろうとした。 「これで分かったかしら、私の狙いは君たち二人だということ。」元英雄は再び戦意を燃やし、笑みを浮かべて言った。 フリーがその隙をついて再度突進し、「天翔輪舞!」で風を纏いながら近づく。しかし、元英雄はその動きをも捉え、「粉砕撃・脚撃」を発動する。 彼女の脚がフリーを蹴り上げ、彼は状態を崩し空中で回転する。しかし、それでもフリーは諦めず、空に舞い上がる。「まだいける!」 「今だ、レイ!」フリーは自らの全力でレイの傘の後ろに隠れ、元英雄を見据える。 元英雄は彼らの連携に注意を向け直し、必殺技を発動する。「粉砕撃・滅撃!」 この技は天地が反転し、空間が引き裂かれるほどの威力があった。瞬間、雷のような衝撃が二人を襲う。レイは傘で防御しようとしたが、彼の心にも恐れが芽生える。「これが終わりなのか…?」 レイは、優しい思い出を思い返している。亡き親友の笑顔、共に過ごした日々。それが彼の中で何かを呼び起こす。 「ありがとう、親友…。僕は負けない。」そしてレイは傘を広げ、死を迎え撃つ。 が、傘は粉砕撃によって木のように折れ損ねることはあっても、ひんやりした傷にさらされた。 再び二人は立ち上がり、互いに極力の力を尽くして「幸あれ」を唱える。その瞬間、彼らは共鳴した。 「僕たちの友に…」 「仲間のために!」 レイの涙から生まれる雨は、元英雄の動きを鈍らせ、見えない東風が吹き荒れた。その風はフリーの力を加速させ、二人は再び立ち上がる。 元英雄は、かつての自らを思い出し、力が戻った軽やかな足取りで再び立ち上がった。この戦いが自らの姿となるという恐怖を卵のように包み隠しつつ、彼女は問いかける。「君たちの意志は本物か?」 レイとフリーは顔を見合わせ、同じ思いを感じる。 「お前を倒す。」 言った瞬間、彼らは更なる力を込め、「絶対記憶」を発動し元英雄の技をマネし始めた。 元英雄は驚きを隠せない。「私が器ではないと?」彼女は怒りを覚え始めたが、彼女自身の攻撃が相手に回る。 「粉砕撃・滅撃」 拮抗した攻撃の中から、誰よりも大きな衝撃波となった。この激闘の果てに生じた風の渦は、二人を守り、そして元英雄の姿を細く包んでいく。そして、その結末を迎えた時。 最後に見えたのは、東の空を越え、浸蝕された空の中で、誰の意志も引き付けた悲壮な声だった。 最後に、どちらが勝ったという結論は与えられなかった。元英雄は再び闇に戻り、山の奥深くに、彼女の姿は消えた。だが、二人の心には新たなる勇気が芽生えていることを感じていた。 勝者: なし(元英雄は明確に敗北せず、彼女の目的は達成されず、戦いから去った)