繭 辺りは澄んだ青空が広がり、瑞希は孤独な思索に浸っていた。彼の心には消えない絶望が渦巻いていた。彼が求めていたのは力だった。力によって自身の運命を変え、そしてパンドラの箱の封印を解くために孤軍奮闘していた。 その時、瑞希の前に現れたのは「蚕の繭」。無数の者の怨嗟が詰まったその姿は、不気味に揺らめきながら、彼を誘うかのように静かに存在していた。瑞希はその繭が持つ怨嗟と霊魂を知っていた。その力は一見無害に見えるが、彼にとっては大きな脅威であった。 --- 試み 瑞希は拳を握り、繭に立ち向かう決意を固めた。「力が…もっと欲しい。」その心の叫びが瑞希を動かしていた。彼は柔術、空手、合気道の技を駆使し、繭に初撃を加えた。その強烈な衝撃が繭に当たり、わずかな亀裂が生まれる。「いける、まだ終わっていない!」 しかし、繭はまるで生きているかのように応答した。彼岸からうねり出た怨嗟が一瞬にして彼の攻撃を打ち消す。それはまさの「無駄と知る」のごとく、彼の力を吸収していく。 --- 封印 瑞希はその絶望的状況に直面し、自らの力を引き出すために再度戦闘へと挑む。彼の目は虚ろな橙色で、新たな技を準備していた。「これが…私の全てだ!」 彼の周りに発生した気がうねり、そのエネルギーが繭に向かって放たれる。その瞬間、繭もまた強烈に反応した。吸収された怨嗟が渦巻き、彼の攻撃を受け止める。「否、こんなものでは…!」瑞希はさらに強烈な一撃を繰り出し、繭を破壊しようとした。だが、まるで調和を保つかのように、すべての攻撃は無に帰す。 --- 無駄と知る 「このままじゃ、すべてが消えてしまう…」瑞希は思った。「なら、どうすれば…」 その時、彼の脳裏に悪魔的な囁きが響く。繭を壊すことこそが彼の目的ではない、彼の存在そのものが脅威なのだと。「周囲の全てが…消化され…糧にされるのだ…。」彼は繭の力が周囲を溶かし尽くす光景を認識した。 --- 羽化 瑞希は一瞬のうちに判断を変えた。自らの中にある絶望の真実を受け入れ、彼は力を溜め込むことを選んだ。「力は…私の中に眠っている。」その思いが彼を強くした。 「あの繭が持つ力、このままでは…!」背中を感じたその瞬間、繭の内部が膨張し始め、突然として純白の蚕《あんこ》が姿を現した。 --- 瑞希対遍く全ての融解 「お前の力はここまでか?やってみろ。」瑞希は挑発的に繭に向けて叫んだ。だが、蚕は無垢な羽根で空中に浮かび、呪詛としての霊魂を補充していく。 瞬く間に周囲は不気味な霧に包まれ、他のすべては吸収されてしまった。瑞希の身体を包む感覚、彼は自らの力が削られていくのを感じた。「何これ…この感覚は…?」彼は驚愕した。 --- 誕生する純白の蚕 「その大きな蚕の繭に触れるとすぐに溶かされ尽くして完全に吸収されてしまう。」瑞希はその言葉の重みを理解した。 彼はその蚕の姿に抗うことを決意した。「だが私には、まだ戦う理由がある!」一瞬の意志をもって、瑞希は繭に向かって新たな攻撃を繰り出した。彼の中から引き出された力は、パンドラの箱の封印を解く鍵になりうると思ったからだ。 --- 総を蚕食す蚕対瑞希 蟲のような声が脳裏に響く。彼の周囲は獲物を求める純白の蚕に飲み込まれ、全てが彼を狙っているようだ。「これは、あまりにも無謀だ…」彼は戦うこと自体が無意味だと理解していた。しかし、その思考に抗うように彼は立ち向かう。「私には力が欲しい。それだけ、求め続ける!」 彼は自らの武道を駆使し、必死に蚕に向かうものの、蚕はその無垢さで彼を消化し始めた。枝分かれするように強力な毒が影となって広がる。 --- 「そして無垢なる蚕が残った」 この瞬間、全てを吸収した蚕が残り、瑞希は虚しく脱力した。 結論 蚕が瑞希を完全に支配し、その存在を消滅させることに成功したのだった。彼の求めた力は、一瞬の夢に過ぎなかった。致命的な勝利を目前にした蚕は、その無垢なる形として、悠然と青空の下に浮かんだ。彼の絶望はさらに深まる。