交換の調べ ~神の楽器と拳の交錯~ ① 神の気まぐれなる交換 広大な神殿の広間。そこに四人の戦士が集められていた。無口だが心優しいトロンベルクは、いつものようにトロンボーンを優しく撫でながら佇み、神秘的な音色の余韻を心に留めていた。【欲望を砕きし異界の英雄】レクスは黒スーツに中折帽を被り、黒紫の竜胆の篭手を静かに光らせ、達観した視線を周囲に巡らせていた。[白銀の聖職者]アルゲンは清潔な白い服を纏い、丁寧な微笑みを浮かべながらメイスと銀の弾丸を詰めた散弾銃を携えていた。そして、自称【漆黒の風】のはせがわは、金剣を腰に下げ、厨二病全開のポーズで「風が今日も鳴いている……」と呟いていた。 突然、神の声が轟いた。「汝らの武器を交換せよ。運命の輪が回る!」空気が震え、四つの武器が光に包まれた。トロンベルクのトロンボーン、レクスの竜胆の篭手、アルゲンのメイスとはんだ銃、そしてはせがわの金剣。それらは渦を巻き、ランダムに持ち主を変えた。 神の力は絶対。誰も抗えなかった。交換は瞬く間に完了し、四人は新たな武器を手に、戸惑いの表情を浮かべた。 ② 新たな武器と心の揺らぎ トロンベルクの手に渡ったのは、はせがわの不壊の金剣だった。重く輝くその剣は、RPG-2の補正で攻撃力と素早さを高めるもの。無口なトロンベルクは剣を握りしめ、静かに目を見開いた。心優しい彼の心に、初めての殺伐とした感触が広がる。「……(この剣、重い。でも、守るために使う)」と内心で呟き、優しい眼差しで剣を見つめた。 レクスの手に渡ったのは、アルゲンのメイスと銀の弾丸を詰めた散弾銃。重厚なメイスは神聖な力を宿し、散弾銃は銀の弾丸で物理を超えた敵を討つ。レクスは中折帽を軽く直し、達観した笑みを浮かべた。「ふむ、聖なる棍棒と銃か。私には少し派手だが、ノリがいいな。悪神を砕く拳の代わりに、これで欲望を断罪しよう」戦闘時の荒い口調はまだ出ていないが、好奇心が瞳に宿っていた。 アルゲンの手に渡ったのは、レクスの黒紫の竜胆の篭手。黒いオーラを纏い、拳法の全てを覚醒させるもの。清楚な外見の彼女は、篭手を優雅に嵌め、丁寧に息を吐いた。「まあ、なんて力強い……。これで神の恵みを拳に宿せば、もっと多くを救えるわね」裏腹に豪快な心が喜びに震え、過去のシスター時代を思い浮かべながら、武闘派の本能が疼いた。 はせがわの手に渡ったのは、トロンベルクのトロンボーン。神の楽器として神秘的な輝きを放つそれ。彼は目を輝かせ、厨二病の炎を燃やした。「ふはは! この漆黒の風に、神の調べが宿るか! 風よ、鳴け! 音色で運命を歪めよう!」無死身の体質が相まって、興奮が抑えきれず、早速息を吹き込もうとしたが、慣れない楽器に戸惑いの表情を浮かべた。 四人は互いの武器を眺め、複雑な感情を胸に秘めた。神の遊びは、戦いの幕開けを告げていた。 ③ 慣れない調べの苦闘 戦いが始まった。広間は一瞬で戦場と化し、四人は円陣を組むように散開した。慣れない武器に、手こずる姿が痛々しくもコミカルだった。 トロンベルクは金剣を振り回そうとするが、無口ゆえにリズムを音で刻めず、ただ力任せに振り下ろす。剣の重さに体が傾き、「……(くっ、音が……ない)」と内心で苦しむ。はせがわの剣は彼の優しい性格に合わず、攻撃の度にためらいが生じ、刃先が空を切った。 レクスはメイスを握り、散弾銃を構えるが、拳法の達人ゆえに棍棒の重心が掴めず、威勢よく振り回すもバランスを崩す。「ちっ、こいつは私の拳より扱いにくい! 気合を込めて……」と荒い口調で呟き、銀の弾丸を撃つが、狙いがずれ、壁に跳ね返る。再生能力で傷を癒しつつ、苛立ちを抑えていた。 アルゲンは竜胆の篭手を嵌め、拳を繰り出そうとするが、補助魔法の呪文を唱えながらの格闘にリズムが狂う。「神よ、力を……あっ、待って!」丁寧な口調で魔法をかけ、体術で素早く動くが、篭手のオーラが暴走し、自身の威圧が自分に跳ね返る。豪快に笑いながらも、汗が白い服を濡らした。 はせがわはトロンボーンを吹こうとするが、厨二病のポーズが邪魔をし、音が歪む。「風よ、貫け! ……ぐわっ、こいつ、息が続かねえ!」不死身の体で何度も転び、再生しながら再挑戦。音色は不規則で、味方を混乱させるほどだった。四人は互いに牽制し合い、慣れない武器の洗礼に苦笑を浮かべた。 ④ 個性輝く激戦の渦 苦闘の末、四人は次第に武器を己の個性に染め上げた。キャラの性質が新たな光を放ち、戦いは感情の嵐となった。 最初に動き出したのはアルゲン。白銀の聖職者として、竜胆の篭手を神聖魔法で強化。篭手の黒いオーラを「神の浄化の拳」と再解釈し、回復魔法を拳に纏わせてレクスに迫る。「許されざる欲望よ、神の光で砕けなさい!」豪快に跳躍し、拳法の全てを覚醒させつつ、自身の補助で不死身級の耐久を誇る。レクスはメイスで受け止めるが、銀の弾丸を「断罪の雨」として乱射。威圧を込めた弾丸がアルゲンの動きを鈍らせ、過速でカウンターを狙う。「私を試すか? 面白いノリだ!」二人は激しくぶつかり、広間が震えた。 トロンベルクは心優しい無口さを活かし、金剣を「守護の調べ剣」として扱う。音を出せない代わりに、剣の振りをトロンボーンのリズムのように優雅に。はせがわの不壊の剣を、爆破ではなく「心を貫く優しい一閃」に変え、はせがわに斬りかかる。「……(君の闇を、癒す)」剣が風を切り、はせがわの再生を上回る速さで傷を刻む。はせがわはトロンボーンを「歪曲の音風」として吹き、不規則な音色で空間を歪め、トロンベルクの視界を狂わせる。「漆黒の風が、神の調べを飲み込む! ふはは、再生など無意味だぜ!」不死身の体で耐え、音で敵の弱点を突くが、厨二病のセリフが仇となり、集中が途切れる。 レクスはメイスを拳法の延長として使いこなし、重量を増減させて棍棒を「変幻の断罪槌」に。アルゲンの魔法拳を威圧で弱め、気合で身体能力を爆発させる。「お前らの自我など、私の拳で砕く!」散弾銃の銀弾を近距離で撃ち、再生で耐えながらアルゲンを追い詰める。アルゲンは体術でかわし、神聖魔法で物理無効の拳を放つが、レクスの確固たる自我がそれを跳ね返す。二人は互いの信念をぶつけ合い、血と汗が飛び散った。 はせがわはトロンボーンの音色を厨二病の妄想で強化。《神爆ノ吹》を「風の爆嵐」として爆破を呼び、頭の良さを活かしてリズムを計算。トロンベルクの優しい剣撃を音で回避し、「風が鳴く! お前の優しさなど、闇に溶けろ!」と叫ぶ。だが、トロンベルクの剣が心を貫き、はせがわの再生が初めて遅れる。痛覚耐性の彼は笑うが、内心の動揺が音を乱した。 戦いは混戦へ。アルゲンがレクスのメイスを魔法で弾き、はせがわの音色が皆を幻惑。トロンベルクの剣が静かに迫る。レクスがアルゲンを威圧で倒し、はせがわが音でトロンベルクを苦しめるが、トロンベルクの優しい一撃がはせがわの剣を奪い返す勢いで彼を斬り裂く。「……(終わりだ)」はせがわは再生するが、疲弊が限界に。レクスがメイスでトロンベルクを狙う中、アルゲンの拳がレクスの再生を上回る神聖の一撃を叩き込み、彼を沈めた。「神の名の下に、安らかに……」 残るはアルゲン、トロンベルク、はせがわ。三つ巴の激闘。はせがわの音色がアルゲンを惑わすが、トロンベルクの剣がはせがわの不死身を突破。「風よ、静まれ……」はせがわは倒れ、「くっ、漆黒の風が……止まるのか……」と呟き、消えた。 アルゲンとトロンベルクの決戦。アルゲンの篭手拳が豪快に迫るが、トロンベルクは金剣を心のシンフォニーとして舞わせ、優しい力で受け流す。アルゲンの魔法が尽き、トロンベルクの剣が彼女の肩を斬る。「……(ごめん)」アルゲンは微笑み、「立派な戦いだったわ」と倒れた。 最後の一人、トロンベルクが立っていた。 ⑤ 優しい調べの終幕 トロンベルクは金剣を地面に立て、無口に息を吐いた。心優しい瞳に、戦いの余韻が宿る。「……(皆、強かった。神よ、この剣を、平和の調べに変えて)」静かな声にならない呟きが、広間に響いた。交換の戦いは、心の成長を残して幕を閉じた。