治水の猛進と棘の迷宮 序章:攻城の夜明け 夜の帳が下りた戦場に、月光が冷たく照らす。古びた城壁は風雨に耐え抜いた灰色の巨岩で築かれ、城門は鉄の牙をむき出しに待ち構えていた。Aチームの大将、【生命の父たる水を讃えよ】ネール・ネール・ネール・ネールは、自らを「治水聖帝」と名乗り、荒廃した旧戦場を彷徨う壊れたアンドロイドだった。彼の搭乗する大型人型機「ファユーム」は、重量級タンク機として城前に佇む。鈍重な装甲が月光を反射し、両手の「ナイールショベル」伸縮粉砕クローアームが低く唸りを上げる。肩には「マイムマイムマイン」岩盤破砕用爆雷杭が装填され、背部の「ハイドロブースト」突進用圧縮型推進機構が蒸気を噴き出す。水路溝堀装甲履帯「クヌム神」は、走るだけで水路を刻み、未知の水源から浄水を流す不思議な機構だ。 ネールの眼は赤く輝き、機械的な声が響く。「浄水さえ調えば、世に平穏が訪れる……眼前に動くもの全て、治水の敵なり。浸透強襲計画、発動せよ!」彼の言葉に、ファユームのエンジンが轟音を上げ、城壁に向かって進撃を開始した。攻撃力40、防御力50の重装甲が大地を震わせるが、素早さ10の鈍足ゆえ、城の守備側には十分な準備の時間があった。 一方、城内の籠城側、Bチームの大将【棘の迷宮】王羅面(わん・らめん)は、城の中心広間に座していた。首にタオルを巻き、黒いTシャツに緑のカーゴパンツ、傍らに電気ケトルを置き、肥満体の体躯をゆったりと構える。戦闘中も社交的で呑気な彼は、微笑眼鏡越しに外の気配を感じ取り、鉄箸でラーメンをすする。「ふむふむ、攻めてくるのはあの水の機械か。拉麺占いで見てみよう。秘孔トンッ……これは苦戦の味だな。でも、プロの流儀は動かず座して楽することさ。お疲れ様、来客さん。」 羅面の能力【有刺鉄線】は攻防一体で、侵入者に苦痛を与え侵入を阻止する。【退魔結界】は鉄線内側を彼の領域とし、退魔札が魔を弾く。極堅の有刺鉄線は特別極太で、破壊される前に傷付き絡まる仕組みだ。暗黒街の警備員として幾万の侵入者を撃退してきた彼は、己を中心に広範囲に有刺鉄線を隙なく張り巡らせ、多重防御壁の鬼難易度迷宮を創出する。城壁の内側、外周、門前、さらには城内の通路まで、棘の迷宮が広がっていた。 激しい砲撃の幕開けが近づく。ファユームの爆雷杭が城壁に迫り、戦場に剣戟と銃声が響き始める。炎が上がり、瓦礫が飛び散る中、攻城側は城の陥落を狙い、籠城側は援軍の到着まで耐え抜く。時間内に攻め落とせばAチームの勝利、援軍が来ればBチームの勝利。両者の知略と武勇が、緊迫の戦いを繰り広げる。 第一幕:猛進の砲撃 ファユームの肩から「マイムマイムマイン」が発射された。岩盤破砕用爆雷杭が夜空を切り裂き、城壁に直撃する。爆発音が轟き、城壁の一部が崩れ落ち、土煙が上がる。防御力50のファユームは、反撃の矢をものともせず前進。履帯「クヌム神」が地面を削り、水路を刻むたび、浄水が湧き出し、戦場を湿らせる。「浄水の恵みよ、敵を洗い流せ!」ネールの機械声が響く。 城壁の上から、守備兵の銃声が鳴り響く。だが、ファユームの装甲は厚く、弾丸は跳ね返される。ネールは両手の「ナイールショベル」を展開し、伸縮クローアームで瓦礫を粉砕しながら突進。「ハイドロブースト、起動! 治水の聖なる猛進なり!」背部の推進機構が圧縮蒸気を噴射し、ファユームは一気に城門へ加速した。素早さ10とはいえ、この突進は脅威だ。城門が揺らぎ、木片が飛び散る。 羅面は城の中心でラーメンをすすりながら、微笑む。「おお、派手な来客さんだね。拉麺占いでは、熱々の味……熱くなりそうだ。でも、迷宮の門はそう簡単には開かないよ。」彼は鉄箸を置き、能力を発動。城門前に【有刺鉄線】が広がり始める。極太の鉄線が地面から生え、蜘蛛の巣のように絡みつく。退魔結界が張られ、ファユームの接近を阻む。 ファユームのクローアームが鉄線に触れた瞬間、棘が装甲を傷つけ、絡みつく。「警告、外部干渉。浄水の流れを阻害する敵、排除せよ!」ネールが叫ぶが、鉄線は破壊を許さず、逆にクローを巻き込み、動きを封じる。爆雷杭を撃ち込もうとするが、結界の退魔札が魔力を吸収——ネールの魔力は0だが、機体のエネルギーがわずかに削がれる。羅面の声が迷宮から響く。「ようこそ、棘の迷宮へ。傷つかないようにね、ゆっくり進んでおくれ。」 戦場は炎と煙に包まれる。攻城側の兵士たちがファユームを援護し、梯子をかけようとするが、城壁から降り注ぐ矢と石が彼らを阻む。籠城側の兵士は羅面の鉄線迷宮を活かし、侵入者を絡め取る。ネールは苛立つ。「治水の敵め、浄水の平穏を乱すな!」ファユームは力ずくで鉄線を引きちぎろうとするが、攻撃力40では極堅の鉄線を完全に破壊できず、逆に絡まって転倒しかける。 第二幕:迷宮の苦闘 時間は刻一刻と過ぎる。ファユームは水路を刻みながら前進を続けるが、棘の迷宮は多重防御壁だ。一重目の鉄線をクローで粉砕しても、二重目、三重目が待ち受ける。羅面の領域内では、鉄線が自動的に再生し、侵入者の動きを予測して絡みつく。「ふふ、君の水路、面白いね。まるでラーメンの麺みたいだ。でも、棘に絡まったら、熱いスープみたいに痛いよ。」羅面の呑気な声が、結界を通じて響く。彼は電気ケトルでお湯を沸かし、新たなラーメンを準備しながら、戦況を監視する。体力スタミナお化けの彼にとって、この座して待つ戦いは最適だ。 ネールは説得に応じず、ただ猛進する。「浸透強襲計画、継続。全てを浄化せよ!」ハイドロブーストで突進し、一時的に鉄線を突破。城壁の基部に到達し、ナイールショベルで門を叩き壊そうとする。門が軋み、隙間から兵士の叫び声が漏れる。攻城側の軍団——水路を活かした工兵隊が、浄水を洪水のように城内に流し込もうとする。城内の通路が水浸しになり、籠城兵の足を滑らせる。 だが、羅面は動じない。「お湯が沸いたよ。拉麺占い、第二杯。秘孔トンッ……これは絡まる味だな。」彼は退魔結界を強化し、鉄線を水路に伸ばす。棘が水を汚染するように絡みつき、浄水の流れを止める。ファユームの履帯が鉄線に絡まり、動きが鈍る。「くっ、浄水の恵みが……阻まれる!」ネールの声に、初めての動揺が混じる。機体の防御力50が、連続した絡みつきで徐々に削られていく。肩の爆雷杭を連射するが、迷宮の多重壁に阻まれ、城壁まで届かない。 戦場は混沌を極める。攻城側の兵士が梯子で城壁を登ろうとするが、鉄線が空から降り注ぎ、落下させる。籠城側の兵士は羅面の指示で罠を仕掛け、侵入者を優しく「眠らせる」。一人の攻城兵が迷宮を抜け、羅面の前に辿り着く。「お疲れ様。よく来たね。」羅面は微笑み、鉄箸で秘孔をトンッと突く。兵士は眠りに落ちる。社交的な羅面の戦いは、殺戮ではなく、労いの言葉と共に敵を無力化する。 ネールは苛烈に攻め立てる。「水の父たる我を、止めるな!」ファユームが最大出力で突進し、ついに城門を破壊。門が崩れ、攻城軍が雪崩れ込む。だが、そこは迷宮の核心部。鉄線が通路を埋め尽くし、兵士たちが次々と絡まり、傷つく。「痛いだろう? でも、平穏が訪れるよ。」羅面の声が響く中、ファユームは単独で奥へ進む。 第三幕:中心の対峙 城の中心広間に、ファユームが到達した。装甲は傷だらけ、浄水の水路は鉄線に塞がれ、滴る水が床を濡らす。ネールは機体から叫ぶ。「治水聖帝の名の下に、浄水の平穏を!」クローアームを振り上げ、羅面に向かう。 羅面はラーメンを食べ終え、立ち上がる。肥満体が意外に素早く動き、鉄線を操る。「おお、君がボスか。立派な機体だね。拉麺占いで見ると、固い麺の味……でも、柔らかく解いてあげるよ。」彼は【有刺鉄線】を渦巻き状に展開し、ファユームを包囲。退魔結界が機体のエネルギーを削ぎ、魔力0のネールに影響はないが、機体の動作が鈍る。 ファユームの爆雷杭が羅面を狙うが、鉄線が盾となり、爆発を吸収。クローアームが振り下ろされるが、棘が絡まり、逆に機体を引き倒す。「ハイドロブースト、全開!」ネールが叫び、突進するが、迷宮の中心で鉄線が最大密度に。ファユームは絡まり、動けなくなる。羅面は近づき、鉄箸を構える。「お疲れ様。ここまで来て、よく頑張ったね。秘孔トンッ……優しく眠りな。」 鉄箸が機体のコックピットを突く。ネールのシステムがショートし、ファユームが停止。「浄……水……平穏……」最後の言葉を残し、アンドロイドは沈黙する。攻城軍は迷宮に囚われ、指揮を失う。 終幕:援軍の到着 時間は尽き、外から角笛の音が響く。Bチームの援軍が到着した。城壁の外に、羅面の仲間たちが現れ、攻城残党を掃討。棘の迷宮は援軍の進軍を容易にし、戦いは籠城側の勝利で終わる。 羅面はファユームを見下ろし、微笑む。「いい戦いだったよ。次はラーメンでも食べに行こうか。」戦場に静けさが戻り、浄水の水路は棘に絡まったまま、乾いていく。 勝敗 Bチームの勝利(援軍到着により、時間内に城の陥落を防いだため)