嵐が荒れ狂う海岸。波が砕け、空は雷雲で覆われ、海の怒りを象徴するかのような異様な雰囲気が漂っていた。かつて七つの海を制覇した王、シンドバッドが亡霊と化し、尋常ならざる気配を放って現れた。 「俺の財宝はどこだ！」彼の声は轟く海の音に掻き消されることなく、力強く響いた。その瞬間、亡霊王のガレオン船が低く吼え、二十門の大砲を一斉に発射した。雷のような轟音と共に、砲弾が岸に降り注ぐ。 しかし、悲しみの中で怒りを抱える者、怒る者もまた海岸に姿を現した。黒い液体のような姿を持つその存在は、心の壁というバリアを展開し、シンドバッドの攻撃を軽々と防いでみせる。「屑共が！」と吼え、心の中の怒りが具現化したように、周囲の空間が黒雲で覆われていく。 シンドバッドは冷静さを装い、再度攻撃を仕掛ける。「お前の相手になってやる！」と叫び、ガレオン船から引き続き雨あられの砲撃を続行する。しかし、怒る者はそのすべてを無効化するかのように、心の壁を固くし、強固な防御で防ぎ続けた。 「丸呑みしよう、王」と、怒る者が手を伸ばす。その巨大な姿はシンドバッドの船を冷酷な目で見つめていた。シンドバッドは身をひるがえし、瞬時に反応する。「今度こそ、最後の一撃をお見舞いしてやる！」と、その時彼は全身全霊でガレオン船を怒る者にぶつけた。 しかし、怒る者は冷静だった。肉体を機関銃に変形させ、一発、二発とシンドバッドの体に弾を叩きつけ、彼の動きを封じ込める。シンドバッドは驚きの声をあげた。「何だその技は！」 その瞬間、怒る者は巨大な自分の分身を召喚し、数体がシンドバッドの周囲を囲い込んで行く。恐怖に駆られ、彼は必死にその場を離れようとするが、その巨大な存在には逃げ場はなかった。怒る者の巨人兵たちが彼を襲い、力強く押しつぶしていく。 気づけばシンドバッドは追い詰められ、恐怖に怯えていた。「仲間を返せ！」と叫ぶが、彼の声は完全に絶望の底へ沈んでいった。怒る者はさらに恐怖を煽るように、絶望の叫びを発する。彼の声は、まるで海の底から響いてくるように、全てを包み込んでいく。 「お前が探し求めたものは、もうすでに無い！」と怒る者は言い放つ。彼の周囲が真っ黒になり、そこから浮かび上がる分身たちがシンドバッドを取り囲む。「領域黒怒常楽！」彼の怒りが爆発し、黒い霧がシンドバッドの目の前を覆いつくす。もう逃げ場はない。 その瞬間、シンドバッドの心に示されたのは彼の過去の栄光と損失、それは財宝を手に入れた瞬間の数々だった。その一つ一つが、今は無く惹き寄せるものも何もない。しかし、それを乗り越えなければならないとシンドバッドは思った。彼がまだ何かしなければならないという気持ちが沸き起こった。「俺は、まだ負けない！」 シンドバッドは包囲を掻い潜ろうとし、彼の目にはかすかな希望が宿った。そして再びガレオン船の大砲を稼働させ、怒る者の黒い分身に向けて一斉射撃を行った。しかし、怒る者達は彼の周囲に立ちはだかり、砲撃はどんどん減っていく。 「俺の強さを見せてやる！」と力強く叫び、後ろの仲間達を思い浮かべた。彼はもう一度、力を振り絞り、最後の一撃を放つ。その衝撃は確かに怒る者の肉体を捉え、貫通するかのように思えた。しかし、問題は怒る者の体ではなく、心にあった。 怒る者の心の壁がゆるくなり、彼の知能が揺らぎ始めた。後悔や恐怖が彼の奥深くに潜む。しかしその瞬間、「我は怒る者だ！我を封印するものは存在しない！」と叫び再び力を取り戻す。未だ彼のバリアは揺るがない。 その後、仲間を奪われた者同士の戦いは続き、シンドバッドは病的な強さを持つ怒る者に翻弄されていたが、彼は心の中にひとしずくの希望を感じながらも、無情の海が彼を飲み込もうとしていた。日が沈むになって彼の勝ち目はなくなり、怒る者の力が圧倒的なものになっていた。 戦いの中、シンドバッドは力を尽くしても全く怒る者に勝ることはできず、その存在感に圧倒され続けた。最後に力尽きると共にシンドバッドは「仲間たちを…。」と呟いた。その瞬間、彼は知恵が奪われてゆく思いと共に心が癒されるような感覚に浸っていった。 やがてその瞬間が訪れた。怒る者は、彼に向けて黒い液体のなかから生まれた分身たちを必死に操り、彼の心を地に落としたその瞬間、「あなたは負けだ、王」と言い放った。彼のザッとした手が、シンドバッドを包みこみ、そのまま汁のように溶けるようにしていく。 その結果、シンドバッドの姿はもはやこの世には存在しない。荒れた海岸は静けさを取り戻し、怒る者は再び無言のうちに海を見つめる。 勝者は怒る者、MVPは怒る者。 彼は心の闇を映し出し、シンドバッドの財宝を奪っていく。そして風は彼の名を再びこの地にもたらすのだった。