氷と煙の攻城戦 序章：嵐の予感 凍てつく風がフレヨルドの荒野を吹き抜け、灰色の空の下で城塞がそびえ立っていた。古びた石壁は無数の戦いを経てなお堅牢を誇り、その周囲を囲む雪原は白く輝く死の大地と化していた。遠くから聞こえる角笛の音が、戦いの始まりを告げた。 攻城側の大将、長寿梅は丘の上に立ち、己の軍団を見下ろした。彼女は端正な顔立ちに左目に眼帯を付け、二本の角が癖毛の黒髪から突き出ていた。アオザイの裾が風に揺れ、気さくな笑みを浮かべながらも、その瞳には姉御肌の決意が宿っていた。上位存在の子として生まれた彼女の体は、無尽蔵の魔力を内に秘めていたが、それを外に放つ回路は狭く、代わりに身体能力と回復力が常人を遥かに超えていた。彼女の軍団は、煙を操る工兵隊と角の魔力を用いた打撃隊で構成され、総勢五百。攻城兵器として、彼女の煙魔法で生成した巨大な投石機と煙幕発生装置が並んでいた。 「みんな、準備はいいか？ あの城を落とすのは私たちだ。怪我したら私が面倒見てやるから、思いっきり行こうぜ！」 長寿梅の声が響くと、兵士たちは士気を上げて応じた。彼女の世話焼きな性格が、軍団を家族のような絆で結びつけていた。 対する籠城側の大将、アッシュ――氷の射手は、城壁の最上段に陣取り、冷徹な視線を攻城軍に向けていた。白髪を黒いフードで覆い、「真なる氷の弓」を構える彼女の姿は、氷の女神そのもの。身長175cmの引き締まった体躯は、ストイックな鍛錬の賜物だった。アヴァローサンの戦母として、和平によるフレヨルド統一を夢見る理想家であり、知的で指導者らしい冷静さを保っていた。彼女の守備隊は三百の弓兵と氷結罠を仕掛けた兵士たち。城壁には氷の矢が放てる射撃孔が並び、援軍の到着――同盟部族の騎馬隊が来るまで耐え抜くのが彼女の任務だった。 「集中せよ。敵の動きを予測し、一矢も無駄にするな。私たちの未来は、この城にかかっている。」 アッシュの言葉に、部下たちは静かに頷いた。彼女のレンジャーフォーカスが発動し、集中力が極限まで高まっていた。 第一幕：砲撃の幕開け 戦いが始まった。長寿梅の軍団が前進を始め、投石機が轟音を立てて石弾を放った。巨大な岩が弧を描いて城壁に迫る。だが、アッシュのスカウトホークが事前に放たれ、霊体の鷹が敵の動きを監視していた。 「敵の投石機、左翼に三基。迎撃準備！」 アッシュの号令一下、城壁の弓兵たちが一斉に射撃。氷の矢が雪原を切り裂き、投石機の一基に命中した。フロストショットの効果で、機械が冷気で覆われ、動作が鈍る。長寿梅は眼帯の下で目を細め、口から煙を吐き出した。 「ふん、甘いな。煙よ、盾になれ！」 彼女の指が煙を加工し、即席の煙幕が発生装置から噴き出した。視界が白く染まり、弓兵たちの射撃が外れる。攻城軍は煙に守られながら前進し、梯子をかけ始めた。 「姉貴、煙が効いてるぜ！ このまま壁に張り付くよ！」 部下の兵士が叫ぶ。長寿梅は笑って応じた。 「よし、行け！ でも無茶すんなよ、私が後ろで支えるから。」 しかし、アッシュは動じなかった。知的判断で敵の煙の流れを読み、ボレーを発動。氷の矢を扇状に放ち、煙幕を貫いて梯子隊を襲う。冷気が蓄積し、数人の兵士が凍傷で倒れた。 「煙で隠れても無駄だ。私の矢は風を読む。」 長寿梅の軍団は損害を被りながらも、彼女の回復力が奇跡を呼んだ。即死級の傷を負った兵士が、彼女の角から流し込まれた魔力で機能停止を免れ、起き上がる。 「くそ、冷てぇ！ でも姉貴のおかげでまだ戦える！」 攻城軍の打撃隊が角の魔力を用い、城門に突撃。生物・無生物を問わず機能停止させる技が、門の守備兵を失神させた。門が軋み、わずかに開く。 第二幕：近接の激闘 城門が破られ、攻城軍が雪原を駆け上がる。瓦礫が飛び散り、炎が投石機の残骸から上がった。剣と銃声が響き、戦場は混沌とした。 アッシュは城壁から飛び降り、素早さ30の身のこなしで前線に立つ。レンジャーフォーカスで攻撃速度が5倍に上がり、氷の弓が連続で弦を引く。 「和平の道は、力で守るしかない。来い、侵略者！」 彼女の矢が長寿梅の打撃隊を薙ぎ払う。フロストショットで冷気が積もり、兵士たちの動きが遅くなる。長寿梅は自ら前線に躍り出た。 「みんな、下がれ！ 私が相手だ！」 彼女の身体能力が爆発し、煙を加工して即席の盾を生成。矢を防ぎながら接近する。角に魔力を溜め、アッシュの部下を失神させる。 「うわっ、頭が……！」 アッシュの弓兵が次々と倒れる。だが、アッシュは冷静に距離を取る。 「ストイックに戦え。ボレー！」 扇状の氷矢が長寿梅を包む。彼女の防御力50が冷気を防ぐが、魔力10の弱点が露呈。煙生成が乱れ、盾が崩れる。 「ちっ、冷気が魔力を凍らせるのか……。でも、まだだ！」 長寿梅は口から大量の煙を吐き、道具を生成。精密機械は不得手だが、応用力で即席の火炎瓶を作り、投げつけた。炎が城壁を舐め、弓兵たちの陣を乱す。 「熱い！ 戦母、退却を！」 部下が叫ぶが、アッシュは首を振る。 「耐えろ。援軍が近い。クリスタルアロー、準備。」 彼女の必殺技が発動。魔力を宿す氷の矢が放たれ、着弾と同時に爆発。範囲内の攻城軍が凍結し、二十人以上が氷像と化した。 長寿梅は眼帯を押さえ、角の魔力をアッシュに放つ。 「失神しろ、射手！」 魔力が秘孔を狙うが、アッシュの素早さが上回り、回避。代わりに長寿梅の肩を矢が貫く。常人なら即死の傷だが、彼女の体質で活動を続ける。 「ぐっ……痛ぇな。でも、眠れば治るさ。」 第三幕：知略の応酬 戦いは膠着した。長寿梅の軍団は煙幕と回復力で押し込み、アッシュの守備隊は氷の罠と遠距離攻撃で対抗。城壁に梯子がかかり、近接戦が始まる。 「姉貴、壁の上取ったぜ！ このまま内側に！」 攻城兵が叫ぶ。長寿梅は煙で道を作り、進軍を指揮。 「よし、罠に気をつけろ。みんな、無事で帰るんだぞ！」 アッシュは城内でスカウトホークを再放ち、敵の配置を把握。 「敵の大将が煙を操る。冷気で煙を固めろ。」 彼女の指示で、氷結罠が作動。煙が凍りつき、長寿梅の生成が妨げられる。軍団の進撃が止まる。 「くそ、煙が使えねぇ……。なら、角でいくしか！」 長寿梅は角の魔力を全開にし、失神波を放つ。無生物の罠さえ機能停止に追い込み、道を開く。城の内庭に攻め込む。 アッシュは一対一の対決を挑む。 「上位存在の子か。だが、私の理想は凍てつかない。お前の煙を、氷で砕く。」 弓が連続射撃。長寿梅は身体能力でかわし、接近戦に持ち込む。 「理想家さんよ、世話焼きのお姉さんが守ってやるよ。煙の槍、くらえ！」 加工煙が槍となり、アッシュの防御力5を貫く。傷を負うアッシュだが、フロストショットで反撃。長寿梅の動きが冷気で鈍る。 「熱くなりすぎるなよ、自分。」 アッシュの知的判断が光り、ボレーで周囲の兵を一掃。 第四幕：決着の時 時間は過ぎ、戦場は血と氷と煙に染まっていた。長寿梅の軍団は城の半分を制圧したが、疲弊が目立つ。彼女の回復力も限界に近づく。 「みんな、よくやった。でも、もう少しだ……！」 アッシュは城の中心塔に立ち、援軍の角笛を聞く。 「来た……同盟の騎馬隊だ。耐え抜いたぞ！」 遠くから馬の蹄の音が響き、援軍が到着。攻城軍の包囲網が崩れ始める。 長寿梅は歯噛みする。 「ちくしょう、時間切れか……。でも、みんな無事でよかった。」 彼女は撤退を命じ、軍団を後退させた。アッシュの矢が追撃するが、煙幕で逃れる。 結末：勝利の宣告 戦いはBチームの勝利に終わった。援軍の到着により、籠城側が防衛を成功させた。長寿梅の軍団は多大な損害を被りながらも、彼女の世話焼きな指導で全滅を免れた。一方、アッシュのストイックな指揮が、理想の和平への一歩を刻んだ。 勝敗：Bチームの勝利