①世界を滅ぼす日 この歴史の中で、静かに混沌が芽生えていた。人々は目を背けた。彼らの心の奥深くに眠る願望、欲望、恨み、そして憎悪が、不壊の石柱によって隠されていたが、今、そのホルダーの解放が迫っていた。物理法則が歪む世界の中心。この」概念的仮想空間」には不壊の石柱が立つ。 その日、臣民の王ルイは、古城に佇んでいた。腐りつつある肌、青白い肌の彼は、彼の目に宿る一筋の黄金に導かれ、世界を監視していた。彼は、自らの存在が脆弱であることを誰よりも理解していた。しかし、決して自分から視点を外すことはなかった。 彼は王であった。その役目は果たすべきだと強く思っていたが、自らの痛みからも逃れたく、周りを無自覚に滅ぼすことに心が奪われていた。 「この世界は腐っている…、だから、朽ちるのも必然だ。私が、すべてを終わらせる…」 彼の目には、朱き龍が視えた。地球を包む巨大な存在だった。その龍の黒炎が彼を包み、全能の力を授けた。しかし、ルイはかつてない不安を抱えていた。 世界を滅ぼす知識が与えられ、彼はそれを実行に移すことしか考えられなくなった。そして、彼の戦いは次第にエスカレートしていく。覚醒した彼には、全てを反映し、常にその結果を受け止める覚悟が必要だった。 「我が民を守るために…」彼の反射する痛みが、己の損失を拡大させていく。そして、彼は世界を滅ぼす決意を固める。 彼の手は、再び黒棘を地面に刺し、棘の大地は運命を染め上げた。 ②終焉の後 世界が崩れ去ってから数日。色彩のない静寂が支配する中、かつての姿を持っていた者たち、そして未曾有の滅びに至るまで彼らは目的と欲望に塗れていた。今、彼らは静まり返り、終焉の余韻に浸っていた。 「あれから一体何が残っているのだ…?」ルイは自らの手を見つめながら呟いた。彼にとって全てが消え去り、智慧の無に続かない。彼は「父は王であったが、今は何もなくただ朽ちゆく存在に過ぎない」と感じていた。 「あなたの選んだ道が、こうなるとは…」背後から一つの声が響いた。朽ちる月桂樹が、かつての姿のまま不安を煽る。 「私は選んでいない。私が必要とされた道をただ辿っただけだ…」ルイはその言葉に反発した。彼の心はもはや一つの目的に支配され、それを守る限界を理解した。 「私たちは自由だ。今、私たちは選択の自由を与えられた。それが本当に望んでいたことなのか?」 月桂樹の言葉に、彼は静かに考え込む。すべてを破壊した先に、何が待っているのだろうかと。彼が望んだのは真の平和であったのか、それともただの虚無だったのか。 「私たちの選択によって、世界は変わった。しかし、その変化が私に与える罪悪感は消えない…」彼の声には、たった一つの無力感が漂っていた。 昔のように意義を追う者はなくなり、終焉は新たに世界が創造される前触れにすぎなかった。 「この虚無の中で、何を感覚し、何を感じるべきなのか…」 二人は廃墟の中でお互いの存在を認識し合いながら、その未来を模索していた。この先、彼らが何を決意して進むのか、それを知る者はいなかった。ただ、彼らの行動には新たな始まりの兆しが隠されているように感じられた。