彼が戦う相手は、今や強大な力を持つ存在、宇宙の遺灰だ。全能の神が、その寿命を迎え朽ち果てた肉体から放たれた神聖な灰。それは触れる者にどんな運命をもたらすのか?瑞希はその運命を恐れつつ、パンドラの箱を握り締め、戦闘態勢を整えた。 相手から放たれる神聖な輝き、宇宙の遺灰が空間に漂う。その中には、場の温度を一瞬で引き下げるほどの圧倒的な冷気が充満している。相手が唇を開く。「この灰に触れると灰になる。」その台詞は、瑞希の心に深い恐怖を植え付けた。だが彼は一歩も引かない。力が欲しい。それが彼の渇望だ。 瑞希は軽く膝を曲げ、構えを決めた。「待て、宇宙の遺灰。私の力で、貴様を払ってみせる!」それが彼の宣言だった。彼の心の奥で、無限の絶望が渦巻く中、彼は自らの戦闘本能に火を点け、先手を取るべく突進した。彼の肉体は、柔術、空手、合気道といった技術を駆使し、死刑執行人の如く、宇宙の遺灰と真っ向から対峙する。 空気が震え、彼の周囲は急激に緊迫した。だが、宇宙の遺灰は淡々としていた。彼は微笑みさえ浮かべ、瑞希の接近を待つ。瑞希が豪快なパンチを放つ。だが、空間を引き裂くその一撃は、宇宙の遺灰に至ることはできなかった。全ては灰に還る。この運命を瑞希は感じ取った。彼は感情を抑え込み、次の攻撃へと移行する。 「その灰に触れれば、全てが灰になる。瑞希、貴様もそれに気付くだろう。何を望もうと、無駄だ。」その言葉と同時に、宇宙の遺灰から放たれた灰色の光が、瑞希の周囲に展開した。瑞希は思わず後退する。だが、彼は引き下がらなかった。自ら振りかぶった脚で空を蹴り、得意の空手を繰り出す。彼は表情を歪ませ、力を込める。宇宙の遺灰の一撃をかわしたと見せかけて、そのすぐ後を追いかける。 「力を、もっと…もっと欲しい!」瑞希の叫びが響くと、彼の掌から僅かに光が漏れ出した。それは彼の内部に秘められた力、パンドラの箱が少しだけ反応した瞬間だった。彼はその力を使い、自分自身を奮い立たせ、接近戦に持ち込むための高速移動を始める。「この技で、貴様を確実に葬る!」 しかし、宇宙の遺灰の視線は揺るがなかった。「全てを無に帰すことはできても、貴様一人の力など、たかが知れている。」それを受けて、宇宙の遺灰は一手で空中に塊を作り出す。その塊は灰色の粉だった。瑞希はそれに気付いたとき、動けずにいた。 その瞬間、宇宙の遺灰が言葉を発する。 "繭は破れた、それが真の運命だ!"その言葉と共に、灰色の粉が風に乗って瑞希へと襲い掛かる。彼は必死で手を振るったが、それは彼に間に合わなかった。粉は彼の肌に触れると、瞬時に彼を包み込んでいく。彼の意識が薄れてゆく。 「灰に触れれば灰になる、瑞希。」その声が瑞希の耳に届いた。彼は手を洗うような感覚で、力を出したはずなのに、思うように動けない。彼は虚ろな目で宇宙の遺灰を見つめる。「否!私は、絶望したくない!」彼の心の中に残る情熱が、一瞬の隙を生み出した。彼はしっかり前を見据え、再び立ち上がる。 瑞希の体から先程の闇の力が宿ったかのように流れ出す。その力は、パンドラの箱からの反応によるものだった。宇宙の遺灰は驚愕し、後退した。「ま、まさか、そんな力が残っていたとは……」それをチャンスと捉え、瑞希はそのまま対峙の位置を無視して攻撃に出た。 体から発せられる光が増幅され、あたかも太陽のように強烈な存在感を放つ。彼の拳がその重圧を生み出すごとに、宇宙の遺灰も身を固くし守りに入る。対抗するための動きの中、灰色の粉も混じり始め、まるで迷路のように進化してゆく。それでも瑞希は逃げずに強く前へと進み続け、灰粉が彼を貪ろうとも、恐れずに立ち向かう。 「もはや再生すらできない、この力を見るがいい!」と瑞希は吼え、彼の全ての力を注ぎ込んだ。彼の疑念は力に変わり、粉を突き抜けた。 宇宙の遺灰も今まさに力を解放し、塊を破裂させる。その光の前で、瑞希はそのみに極限の力を尽くし、一撃入魂のパンチを叩き込んだ。空中には、二者の力がぶつかり合い、激しい衝撃を生じさせた。 まるで世界が二分されていくような末路が見えたかもしれない。だがその瞬間、瑞希はすべての力をぶつけて尚、宇宙の遺灰の中へ突撃した。 「貴様の運命は、私の力で変えてやる!」 瑞希の拳と宇宙の遺灰の力がぶつかり合うその瞬間、空間が奇想天外に歪み、宇宙の遺灰は一瞬にして自らの持つ威力を過小評価した。 その瞬間、宇宙が灰化する中で、瑞希の全力の拳が相手の守りを貫いた。 「無駄だ!」 宇宙の遺灰は心の底から叫び、全ての逆境に耐えようとする。だが、それでも瑞希は一歩も引かず、すべてを許さず、力を貪る者として前へ進む。彼の銀色の光は、全てを煮えたぎる炎となり、宇宙を焼き、そして灰の概念を超越して行く。 その一撃が宇宙の遺灰を貫通したとき、そこに真実が解放された。考えれば全ての力を出し果たした瑞希は、彼自身の中にあるパンドラの箱、そしてその魂に還った。 地上では、宇宙の遺灰が消え去って行った彼の存在が、力によって崩れ落ちられる運命となった。一片の灰、宇宙は崩壊する運命の中で、全てを捧げた瑞希は力の赴くまま神聖な存在を振り払った。 否、彼の新たなる運命、その中で確かなものだったのは、自らの魂が高まって行くこと。彼は無事に立ったまま、宇宙の遺灰を超えた強大な存在としての力を手に入れた。実際、宇宙の遺灰は、覚醒した力を振りかざした彼に無視され、完全に消えていった。 そうして瑞希は自分の力と向き合い、心に誓った。彼はこの力が何のためにあるのか、その意味を考えることだけを残して、すぐ側へと飛び込んだ。そして、 その瞬間、彼はパンドラの箱を通し、彼の運命が待つ真の目的を見つめ取る。 不用意な一触がもたらす運命の残骸。その結果、瑞希はようやく全能の力を宿し、新たな宿命の中で歩むことに決したのだ。 そして、その無限なる力は彼一人のためではなく、他者のために役立てるために、無限の持つ魔力を極めてゆく、その未来が彼には見えていた。 そして無垢なる蚕と繭だけが残った。