①世界を滅ぼす日 世界は一つの静寂の中にあった。だが、平穏な日常を脅かすかのように、空には超大型空中要塞[¤]が悠然と浮かんでいた。 「全ての敵を排除せよ!」 指揮官の声が響く。冷酷無比な仮面ライダーディケイドの激情態、門矢士が、この世の終わりを引き起こそうと動いていた。彼には穢れた者を全て消し去る使命があった。彼の言葉は重く、翼のように広がっていく。 その日、かつてのヒーローたちも動き出す。「私たちに残された道は、ただ一つだ。」彼らは士と対峙する決意を固める。しかし、士の手から放たれる力は、凄まじい。 彼の固有能力、衝撃緩衝と完全防御、さらには全方位の連撃。士は次元を超越し、異なる世界を一瞬にして消し去っていく。敵も味方も、士の前では一瞬のうちに封印されてゆく。 空中要塞は、士の命令で自動解析を行い、戦況に応じた反撃体制を整えていた。60分ごとに放たれる追尾光線は、敵の動きを全て把握し、決して逃すことができなかった。援軍の援助も虚しい。士にとって、全ては破壊と消滅の瞬間でしかなかった。 「我らの未来のため、全てを破壊するのだ!」士は高らかに叫び、次元を裂く力を身にまとい、止まることのない攻撃を続けた。周囲の世界が崩壊してゆくのを背に、彼はその果てに何が待っているのかを見据えていた。 ②終焉の後 静寂が訪れた。全てが終わり、地には誰もいない。無数の次元の裂け目が残されたこの無の世界で、仮面ライダーディケイドは自らの行いを振り返っていた。 「終わったな…。」士は気だるげに呟く。彼の心には、人類の未来を絶つことで得た果たして何も残されたのか、ただ一つの虚無だけが広がっていた。 「私たちの選択が、このような結果をもたらしてしまったのか…。」超大型空中要塞[¤]の主である者もまた、同様の思いを抱いていた。彼女の記憶はまだ消え去っていない。仲間の記憶を持たぬまでも、彼らの意志は継承されていた。 「力と知恵を持っていたはずだ、なぜそれを選ばなかった?」士と彼女は、向かい合い言葉を交わす。二人の思いは今、誰も聞いていない場所で交わされる。 「私たちには、世界を築く力があった。なのに…」彼女は憤りを露わにする。士は無言でそれに心の奥底で共感していた。 「私たちは何を失ったのか…。」士が言葉を選ぶ前に、彼女は続けた。「真の意味で、私たちは未だに選択をすることが出来るはずだ。」 士は目を閉じ、滅びた世界を想像する。そこには希望の残骸も、愛情も存在しない。やがて彼は静かに頷き、再び己の道を見据える。「力の使い方は、もはや私たち次第だ。これからは…新しい世界を、創る力に変えてみせる。」 こうして二人は、新たな未来を模索する旅に出る。この無の世界こそが、彼らの第二の始まりとなる。 しかし、彼らの背後からは、数多の次元が静かに揺らめき、未来を紡ぐ可能性が再び芽生え始めていた。