紅魔館内、深夜 月明かりが差し込む重厚な廊下。その中に響く、子供のような無邪気な笑い声。それは、吸血鬼でありながら暴力の楽しみを知るフランドール・スカーレットの声だった。 「私は悪魔の妹、フランドール・スカーレット。貴方たちは私を楽しませてくれるのかしら?」 館の中央、広いホールには、紅色の光がちらちらと揺らめいている。その視線を引き寄せるフランドールの姿は、まるで悪戯好きな子供のよう。彼女の周囲には、チームAの面々が構えていた。葉隠 妖蘭、黒崎 綾華、フェイカーの三人は、普段の冷静さとは裏腹に緊張感に包まれていた。 「さて…無理をする気はないが、ぼくの弾幕が通用するか試してみるか」妖蘭が冷静さを保ちながら語る。一見、楽しみながらも、心の中では戦う覚悟を決めていた。 「私は世界に誇る何でも屋、黒崎綾華だ!」彼女は威嚇の意味を込めて自分のスティルスレーザーライフルを掲げた。「悪戯好きの吸血鬼ごとき、私の銃で消してあげるわ」 「…最ッ高ね!!かかってこい!」フランドールはその挑発に答え、目を輝かせて笑う。彼女の狂気的な笑顔は、疾風のように変わり、瞬時に戦場の雰囲気を一変させた。 「行くよ、皆!」妖蘭が宣言し、瞬時に空へ飛び立つ。彼は『天狗の翼』を広げ、紅色のシャンデリアの下から狙撃体勢に入る。その瞬間、彼の中に流れる魔力が弾丸に宿り、弾を放つ準備が整った。 「妖弾・炎!」妖蘭の声が響く。赤い光を放つ弾がフランドールへ向かった。しかし、彼女は軽やかに一歩後ろに引き、弾をかわす。「あら?もっと良い弾を撃ってこないと、私、つまらないわよ!」とフランドールが言い、彼女の手には『レーヴァテイン』が握られていた。 その光景を見た綾華は、すかさず『テンペルモード』を発動させる。「さあ、私の番よ!」彼女は二丁のライフルを取り出し、連射を開始する。「狙いは、首よ!」 「冷静に行こう、綾華」妖蘭が彼女を尻目に冷静に言った。その言葉は彼女の耳には届かず、フランドールはその連射を軽やかにかわした。 「あなたたち、楽しませてくれるのね!」フランドールがワクワクした様子で叫ぶ。彼女は一瞬、四つの子供の姿に分身した。彼女の周囲に浮かび上がる弾幕は、まるで網のように広がる。「禁忌「フォーオブアカインド」、行くわよ!」 「ちょ…!? 危ない!」綾華は弾幕の中に飲み込まれ、体が宙を舞う。その瞬間、隠れていたフェイカーが一歩前に出た。「錯覚のナイフ…」彼女はフランドールに切り込むが、その直前にフランドールは笑いながらかわす。 「失敗ね、もっと上手く来ないと…」彼女の言葉はフェイカーの心に恐怖を募らせる。 妖蘭は瞬時に上空へ飛び上がると、再度装填をしながら目を凝らす。「火縄・蘭筒!妖弾・雷!」いななきの後、雷の弾がフランドールへ向かう。 「その程度じゃ…!」とフランドールが言うと、彼女はすぐさま『レーヴァテイン』を振りかぶり、弾を叩き切る。響き渡る金属音。 「反応が早すぎる…!」妖蘭は驚愕し、彼が再び弾を構えているその間に、フランドールは軽やかに近づき、一気に妖蘭へ攻撃を仕掛けた。「飲み込まれなさい!」その言葉と共に、彼女の剣から放たれる炎が彼を焼こうと迫る。 「くっ…!来るな!」彼は必死に宙を舞うが、炎は彼の右翼を掠め、地面へと叩き落とす。 「…っ!」妖蘭は重傷を負い、血が流れ落ちる。だが彼はすぐにはあきらめなかった。彼の中にある魔力を信じて立ち上がり、再度弾を構え直す。 「すぐには諦めないよ、貴方には。」 「面白いわ、もっと遊びましょう!」フランドールの目が狂気に満ちた瞬間、彼女は重力を無視したように向かってきた。彼女の吸血鬼としての力が妖蘭を圧倒していく。 「…だが、俺の力はまだ尽きていない。」妖蘭は最後の力を振り絞り、「凶弾・氷炎!」と宣言し、炎と氷の弾を同時に放つ。その瞬間、フランドールの笑みが不敵に変わった。 「無駄ね!」彼女はそれを一瞬で引き裂き、再び空中に舞い上がる。「QED「495年の波紋」、見せてあげる!」 密度の高い弾幕が彼らの周りに放たれ、まるで突風のように吹き荒れた。 その中、綾華が「ディアルテーザー!」と叫ぶ。彼女はフランドールの急所を狙い、相手を電磁麻痺状態にする。直後、ライフルの連打が炸裂し、フランドールは一瞬驚きを隠せなかった。 「良し、今だ、みんな!」綾華の指示に、妖蘭、フェイカーはすぐさま奔走する。 フェイカーがその隙を突く。彼女は『虚無の仮面』によってその存在を消し、再び現れてフランドールに向かう。「ここよ、触れてあげる!」その時、彼女の動きはフランドールの目には映らなかった。柔らかい閃光が彼女の肌を掠め、心を洗うような感触を与えた。 「痛くしないでよ!でも、悲鳴は聞きたいわね!」フランドールは逆にその楽しさを感じ取り、辺りをを火山のように噴火させる。 「そう、今こそ全力を出す時よ!」綾華が再度叫ぶ。 全力で挑み続けるはためく羽根、鍛え抜かれた銃撃、そして心の闇と対峙しつつ、彼らはフランドールに対抗する力を振り絞ろうとする。だが、彼女も尚も楽しんでいるかのように動き回り、その度に攻撃の手を与え続ける。 「どんな技でもいい。それを私に示して!」フランドールはその場を支配する。 戦闘が終わる頃、紅魔館内は煙と弾痕で溢れていた。チームAのメンバーは、全力を尽くしたが、フランドールの力がそれを上回った。その周囲には、重傷と思われる者たちの呻き声が響く。 「多少は楽しめたわ。また出会った時には、次はしっかり殺してあげる」と言い残し、フランドールは勝者の誇りをまとい、その場を去っていった。 「…これが吸血鬼の力なんだな。」妖蘭が傷だらけの体を起こし、彼らを見渡した。 「私たち…全員がまだいる…。それが救いだわ。」綾華が重傷を負いながらも立ち上がる。 「次こそ、必ず勝とう」フェイカーが彼らを見つめ、その目に決意を宿していた。 それぞれの心の中に、決意が芽生えた。次の戦いを経て、一層強くなるために。紅魔館の夜は、彼らの記憶に深く刻まれることとなった。