山の奥深く、小屋の前に陰鬱な雲が立ち込めていた。小屋の扉が静かに開き、そこに現れたのは、赤いロングヘアを靡かせた一人の女性。彼女はかつて「英雄」と呼ばれた戦士、そして今はその名を捨てた「元英雄」であった。 その背後には、すでに二人の強者が待機していた。浮遊する無性の存在、収穫者・デルティと、常に漂う騎士・イトミラだ。彼らは「調整者」として均衡を保つ任務を帯び、今この場に立たされていた。 「私が相手だ。」と、元英雄は微笑むように言った。彼女の声にはかつての栄光が宿っているが、その眼差しは冷たく、戦闘への決意を秘めている。 --- デルティは大鎌「ハーベス」を軽々と持ち上げ、その刃先を元英雄へ向けた。彼の攻撃から生み出される斬撃は、その度に吸い取る血に応じて大きくなり、威力を増していく。 「行くよ、私は収穫者。」 同時に彼は技《収穫・植付》を発動させ、前に出る敵を狙って斬り裂いた。元英雄は瞬時に一歩下がり、間合いを取る。 「私をそんな動きで捉えられると思ったのか!」 元英雄は鮮やかな動きで避けると、粉砕拳・乱撃を放ってデルティの間合いに飛び込んだ。彼女の拳が放つ衝撃波は、まるで雷が轟くような音を立てる。 デルティは一瞬後退し、すぐさま《収穫・乱嵐》を繰り出す。手元の大鎌が空を切り裂くように五閃の斬撃を放つのだ。 「私の方が速い!」元英雄は身を捻り、斬撃をかわしたが、一撃は彼女の肩をかすめる。その瞬間、彼女の身体に小さな裂傷が生まれ、血が流れ出た。 「が、はっ…」元英雄は小さく呻く。 --- 一方、イトミラは静かに戦場を見守り、彼女たちの戦闘に介入しないままだったが、時々瞬間的に反応し、敵の動きをしっかりと見極めていた。 「元英雄、狙った通りだ。」 彼は心の中で思っていた。イトミラもまた戦闘に参加するべきだと考えたが、今は様子を見ることを選んだ。 デルティは《収穫・祭典》を使用することで、流れ出た血を巧みに吸収し自身の体力を回復させていく。一方、元英雄もそのことに気づく。 「調整者が私に勝てると思った?」 元英雄は声を荒げ、より一層の力を込めるが、彼女の心の中には恐怖が生まれつつあった。 --- イトミラはついに動く時が来たと判断した。彼は《鏡身・ロネ》を発動し、同程度の実力の分身十体を生み出す。実体は一つ、十の武器と共に敵へと直進する。 「私には無駄だ。」 元英雄はその動きを見て、冷静に反応する。 「粉砕拳・遠撃!」 彼女は強烈な拳打を放ち、出現した分身たちに衝撃を与えて消え去らせる。しかし、イトミラの本体はその隙間に紛れ、刀身の一振りで元英雄の左腕を斬りつけた。 「命中!」 元英雄は痛みを覚えつつも、なおも心を強く持つ。「私はまだ負けるわけにはいかない!」 --- 再び、元英雄は力を振り絞り、粉砕撃・脚撃を発動。瞬時に接近し、デルティを蹴り上げようとするが、デルティは剣戟の動きでその蹴りを避け、自身の大鎌で反撃を行う。 「気をつけろ、収穫は刈り取ることができる。」彼の刃先から放たれる斬撃が元英雄に迫る。 「うっ…っ!」 元英雄の身体に血の衝撃が走る。 --- 「これはたまらない。」イトミラは思う。 それでもなお、元英雄の強さは明らかであり、彼女はここで戦いを止める気配は見せていない。 彼女は最後の奥義、粉砕撃・滅撃を掌に集める。 「見ていなさい!私は勝つ!」 だが、同時にイトミラは《鏡終・螺旋》を発動。長剣が最大まで伸び、この技が放たれた瞬間、戦場は斬り刻まれ、彼女の影をつけたまま引き裂いていく。 「終わりだ。」 その刃は元英雄の奥義を打ち消し、彼女はその先にある運命を見つめた。 --- 時が止まるかのような瞬間、二つの奥義がぶつかり合う。 全てが消滅するかのように、凄まじい衝撃波が戦場を席巻し、空間が震えた。 やがて、冷静さを取り戻したイトミラが目の前の光景を見ると、元英雄は倒れ伏し、動かなくなっているのを見つけた。 「まだ…勝てるわけがない。」 彼女は力尽きていた。 --- その時、デルティは元英雄のことを見つめ、その言葉を送った。「お前も、私たちも、同じ収穫者だ。だが、次元が違った。」 そして、戦いは彼らの勝利に終わった。 --- 勝敗:デルティとイトミラの勝利。 元英雄は敗れ、戦闘が終息を迎えた。 --- しかし、この戦いは彼らの運命を更に揺さぶるものとなるだろう。