次元の狭間 天空にも届かんばかりの黒い雲が、迫力を持って渦巻く。その中心には、時の王が立っていた。黒曜の杖が今、その動きを静止させ、彼が視る過去と未来の無限の選択肢を精査している。 彼の視線の先には、漆黒の堕天使が不敵な笑みを浮かべていた。ボサボサの黒髪が風になびき、暗黒龍の眼球が嵌め込まれた右目が閃光のように光る。彼の左手には黒い龍鱗と鋭い爪が存在し、その異質さを際立たせていた。堕天使は、無限の威圧感をまとった敵を前にしてもなお、自身のナルシズムを隠さなかった。 「ふっ、時の王。お前に勝てる可能性は無い」と声をかける堕天使。 「可能性の存在そのものが鬼を呑みこむ」と時の王は淡々と応じた。「時間を超えた私の視界には、すでにお前の敗北が刻まれている。」 一瞬、沈黙が訪れた。両者はそれぞれの戦法を考えていた。次元の狭間に広がる静寂の中、堕天使はその余裕の姿を崩さなかったが、時の王はすでに彼の全てを見透かしているかのようだった。 「さて、始めようか」と堕天使が呟くと、彼の動きが始まる。同時に、左手をかざし、黒炎を生みだした。「眼前を滅ぼす黒炎!」黒炎は堕天使の意思のもと、時の王に向かって突進していく。 時の王は微動だにせず、ただ杖を持つ手を前にかざした。「因果を操る……」 そう呟いて、黒炎は彼の前で消滅した。無限の知識を駆使し、彼はその攻撃を無効化したのだ。 「見たまえ、何も得られなかった」と時の王は言った。「お前のフレームは崩れ、無に帰す。」 堕天使は何も怯まず、その言葉に反発する。「まだまだ終わらない。本気を見せてやろう。」 包帯を外し始め、右目の暗黒龍の眼球が真の力を解放する。その瞬間、彼は全身を黒炎で包み込み始め、自らを実体無き巨大な暗黒龍へと変貌させた。「『鎮魂歌を、終止符を』」と叫んだ。 その巨大な暗黒龍は圧倒的な存在感を放ち、時の王も背筋が引き締まる。時の王の無限の時間に生きるという強みを持っていても、この異質な力には一時の恐れを抱く。 「さあ、抵抗してみろ!」堕天使が雄叫びを上げると、黒炎が周囲を焼き尽くすほどの圧力で時の王に迫った。 だが、時の王は微笑を浮かべながら、そうした状況を受け止めた。 「攻撃は無意味だ。運命はすでに決まっているからだ。私の存在が示すもの、それは……あなたの終焉だ」と言い、杖を振った。 杖が青白い光を放った瞬間、暗黒龍の存在が揺らぎ、力を失っていく。時の王が発動したのは、因果律を書き換え、事の理を破壊する魔法だった。 「何が起きている!」堕天使の声は裏返り、彼自身の力により自己を痛めつけていることに気付く。 「見ていなさい、堕天使。これが時の王の力だ。すべてが破れ去る様を。自らの魔力をも削るあなたには、時間が無駄だ」と時の王は穏やかに告げた。 だが堕天使も負けじと真の力を引き継ぎ、黒炎の拒絶を発動させる。「未練はない!」と叫び、力を振り絞る。青白い光が安定し再びその力に変わる。 衝突が続く中、次元の狭間は激しさを増し、恐怖の嵐が巻き起こる。二者の力が混じり合い、空間は悲鳴を上げる。 そしてついに、一瞬の静寂が訪れる。両者の力の渦が収束し、全ての因果が揺らぐ瞬間が訪れた。 降り立つ青い閃光と、黒の熱情、二つの力がただ重なり、そして時が過去から未来へと移行する瞬間、勝者が決まる。 圧倒的に時の王の力が堕天使を飲み込み、黒炎は消失する。堕天使の力が制御不能となり、崩壊へ向かう世界が見えた。 「さよなら、堕天使。無に帰る運命を受け入れよ。」 堕天使は瞬き、そして微笑む。「悪くはない……」黒い影となり、彼は消失した。 次元の狭間は一瞬の静寂を迎えたが、時の王が至上の勝利を収め、その掌が新たな運命を紡ぐべく光を放ち続ける。 「新しい時間が始まる」と時の王は呟き、廃墟の中で彼の意思で新たな次元の創造が始まる。