夜空に煌めく音蛍の明かりの下、緑夜の孤楽団のシグは、いつものように深緑の燕尾服をまとい、星の煌めきを見上げていた。音蛍たちが彼の周囲で舞い、夜の静寂に美しいメロディを奏でる。その中で彼の耳には、特別な音が導きのように響く。音が指し示す先には、宿敵である桜華と寿司のハヤが待ち受けていた。夜を彩るこのドッキリ企画の主役だ。 「さて、今日のターゲットは誰かしら？」「間違いなくあいつだ！シグをドッキリの餌食にするんだ！」宿敵間の甘い友情は一瞬にして消え去り、緊張が漂う。桜華が扇を仰ぎながら口を開く。「シグは、驚かすには持ってこいの相手。彼の多才さに気をつけること。」 「でも、あいつの音能力には注意だぞ、ロキがいればなんとかなるかもしれんが。」ハヤは台所の寿司職人のように丹念に話す。 ロキは背後から現れ、「ドッキリと言えば、臨機応変さが必須だ！」とからかいながらもこちらに目を向ける。「それに、私はウソには騙されないから、大丈夫。」彼の言葉に皆が頷く。「じゃあ、段取りを整えようか、シグが来るまで最終確認を！」 数十分後、シグが音蛍に導かれる形でやってきた。「ごきげんよう、皆さん。今夜の音楽会の準備はできていますか？」彼の声は自信に満ちていたが、周りの空気がいつもと違うことに気付いていない。 桜華が最初に仕掛けた。「あ、そういえば！シグ、ここに来る前に面白いことがあったの。あいつのサクナイを見つけてさ、これから教えてあげる。」 シグが謎めいた笑みを浮かべ、「それは楽しみですね。ですが、どうして桜のクナイを見つけたのですか？」と聞く。「なるほど、音楽と違ってクナイは私には向かないみたいですね。」それに対し、桜華は愉快に笑う。「そういうの、あんたには無理だわ。」 隙を見せたシグの目の前に、ハヤが素早く飛び出してくる。「シグさん！サシミ切りのコース料理、今日の特別メニューでございます！」そう言いながら、ハヤは自慢のサシミブレイドを取り出し、シグの周りを回りはじめた。 「え、えっ？本当に料理するつもり？」シグは困惑し、自らの音蛍を操ろうとするも、桜華が目を光らせていた。「その前に、ほんの少し刺激を与えてあげるわ。—サクナイ！」彼女はクナイを華麗に投げた。 だが、ロキが瞬時に介入。「雷石！」彼はシグを守るように、クナイを雷石で迎え撃つ。激しい音が夜空に響き渡り、シグの守りの音もたくましく鳴り響いた。「お、音が強化されている！」 「私にはできないこともあったけど、やるじゃないか。」桜華は一瞬だけ感心する。しかし、シグは直感的に感を働かせ、音蛍を操り反撃に出た。「Forte！」強力な衝撃音波が桜華に襲いかかり、彼女は一瞬足を踏み外した。 「い、いきなりやるの！？できれば太鼓の音で和らげて！私をどうにか出来ると思ったの？！」桜華が扇を仰ぎ、必死に立て直す。 「僕のスキル、音楽の力が最大限に活かされている。音が相手を混乱させることもできるんだ！」シグは微笑み、ハヤを振り返る。「ここは、寿司で反撃をするのが良いかもしれない。いけ、ハヤ！」 「任せなさい！サシミブレイド！」ハヤはシグの指示を受け、急速に突進する。切り裂くような音が響きわたり、桜華は再び後退した。「これは反撃のタイミングかも！」「サクラオーデ！」彼女はもう一度自らを立て直した。 「ロキ、早く！」振り返るとロキはくすくすと笑っていた。「まだだ、ドッキリキャンディで、サポート！」 「サポート！？もうこれ以上持つの？」ハヤは防御体制を敷く姿勢で動く。「シグ、また奏でてみて！」 「音の防壁、Largo！」シグは音を集め、音の壁を作る。桜華の桜の香りが混ざり合う空間に、音を拡げて防ぐ。さらに、ロキが自らのスキル「ヒールキャンディ」で体力を回復した。 「シグ、やっぱりトリック！あんたの音楽、私には無理だ。」横でロキがからかうが、彼の心の中にも仲間との信頼が深まっていた。 自信に満ちるシグは音を集め続け、「Finale！」音蛍が無数に集まり、桜華に迫る。桜華は最後の抵抗として扇を振りかざす。「私の桜が、まだ散るのか？」その瞬間、空が明るく照らされ、無数の音が爆音とともに空中に冠を描くように消えていった。 「それは、最も美しい音楽が奏でられた。」 あまりの豪華さに、桜華とハヤ、ロキも驚き、思わず立ち尽くす。 やがて音も静まり、シグは床に崩れ落ちた桜華を見上げる。「あなたも、音楽を楽しむことができたのですね、桜華さん。」その時、柔らかい笑みが彼の心に暖かく響く。 桜華は静かに笑い、扇を下ろす。「素敵な音楽だったわ、シグ。」そう言い、彼女は姿を消した。 「いや、楽しい夜だった！」ハヤは笑顔で、盛り上がった。その瞬間、道化師のロキはニヤつきながら何か割って入ってくる。「さて、サプライズパーティーはこれで終わりか？それとも、まだ続く？！」 彼らは夜空に咲く音蛍を見上げ、その瞬間、彼らは一つになった。「仲間との音楽が、一生の思い出になる予感がするね。」シグが言った。 このようにして、彼らの音楽とともに新たな物語が夜空に響いたのだった。