戦場の狭間、炎と氷の邂逅 第一章：衝突の序曲 荒涼とした平原、かつては豊かな大地だった場所が、今や戦火の舞台と化していた。爆炎国と氷結国の戦争は、遠い昔に遡る。爆炎国は、火山の恵みで鍛えられた炎の民。地熱を利用した鍛冶術で作られる武器は、敵を焼き尽くすほどの熱を帯びる。彼らは氷結国を「凍てつく盗賊」と呼び、数十年前に自国の火山資源を狙った侵攻を許せずにいた。一方、氷結国は極寒の山岳地帯から生まれた氷の民。氷を操る術で防御壁を張り、敵の熱を吸収して反撃に転じる。彼らは爆炎国を「燃え盛る蛮族」と蔑み、火山資源を自分たちの凍土を温めるための必需品だと主張していた。両国とも1000人の兵を擁し、互いの勇者を先頭に、憎悪の炎と氷の棘を交錯させていた。 戦いは既に始まっていた。爆炎国の炎の勇者、灼熱の鎧を纏った巨漢が、火球を次々と放ち、氷結国の前衛を溶かす。対する氷の勇者は、冷気を纏った槍を振るい、炎の波を凍てつかせて返す。兵士たちの叫びが響き、地面は焦土と氷塊の混沌に染まる。死傷者は瞬く間に増え、爆炎国側で既に数十名、氷結国側で同数以上が倒れていた。空気は熱と冷気の渦で歪み、視界を奪う。 そんな戦場の端、煙と霧の狭間に、二つの影が現れた。一人は黒いパーカーを羽織った黒髪の猫耳美少女、猫神クロ。もう一人は、鋭い眼光を湛えた青年、ゴクウブラック。クロはゴクウブラックの飼い猫として、気まぐれに彼の傍らを歩む存在だ。彼らはこの戦いに巻き込まれたわけではない。ただ、通りすがりのさすらい人として、この無意味な争いに目を留めただけだった。 「ふむ…君たち、随分と熱く—or 冷たく—やり合っているようだね。僕としては、面倒くさくて見過ごせないよ。」クロは小首を傾げ、遠回しに呟く。彼女の猫耳が微かに動き、戦場の喧騒を捉える。未来を見透かす瞳が、ちらりと先を覗く—このままでは、数時間で両軍の半数が土に還る光景が浮かぶ。 ブラックは鉄パイプを肩に担ぎ、面倒くさげに溜息をつく。「私には関係ない戦争だ。お前が気まぐれを起こすなら、勝手にやれ。だが…この騒ぎ、うるさいな。」彼の学習能力は既に戦場を分析していた。炎の軌道、氷の防御パターン。介入するなら、速やかに終わらせるのが得策だ。 クロは微笑み、ブラックを見上げる。「君もそう思うだろう？ なら、僕たちでこの茶番を終わらせようか。和解なんて、面倒くさければ無理にしなくてもいい。君の気弾で一掃するか、僕の無限で封じるか…選択は君次第だよ。」 ブラックは肩を竦め、鉄パイプを軽く振る。「面倒くさいが、真面目にやるか。まずは様子見だ。」二人は戦場の外縁から、静かに動き始めた。 第二章：介入の兆し 爆炎国の兵士たちが前進を試みる中、クロとブラックは霧の中から姿を現した。炎の勇者が最初に気づき、火球を放つ。「何者だ！ 氷結の間者か！」 クロは優しく、しかし小難しく首を振る。「間者だなんて、失礼な。僕たちはただの通りすがりさ。君たちの争いが、未来を曇らせるのが見えてしまってね…意味無いよ、そういうの。」彼女の周囲に、無限の障壁が広がる—『意味無いよそういうの…』。火球は彼女に触れることなく、空間に吸い込まれ、無効化された。兵士たちは呆然とする。 ブラックは瞬間移動のように炎の勇者の側面に回り込み、背後から肘打ちを叩き込む—技①。勇者は巨体を揺らし、転倒するが、即座に炎の壁を張って反撃を試みる。「貴様…！」ブラックは面倒くさげに避け、「お前ら、こんなところで消耗する価値もないぞ」と吐き捨てる。 一方、氷結国の氷の勇者はクロの異能に目を細める。「その力…我々の氷を模倣する気か？」クロは見様見真似で、冷気を纏った槍を生成し、勇者の攻撃を相殺する。模倣の能力②が、氷結の術を完璧にコピーしていた。「ふふ、君の技、なかなか面白いよ。だが、僕の未来視では、このままじゃ君も燃え尽きるだけだ。」 二人はそれぞれの軍に干渉し始めた。クロは両軍の兵士たちに語りかける—優しいが遠回しな口調で。「君たち、憎しみの連鎖を未来まで背負うつもり？ 面倒くさいよね、そんなの。」ブラックは鉄パイプで爆炎国の小隊を薙ぎ払い—技②—継続ダメージを与えつつ、「降伏しろ。無駄死にだ」と警告する。氷結国側にも気弾を乱れ打ち—技③—広範囲を爆破し、進軍を止める。 しかし、両軍の勇者は頑なだった。炎の勇者は立ち上がり、クロに突進。「貴様の無限など、炎で焼き払う！」氷の勇者もブラックを追う。「この熱き蛮族どもを、凍てつかせてやる！」戦いは激化し、介入者たちの周囲で犠牲者が増えていく。爆炎国側でさらに50名、氷結国側で70名が倒れ、平原は血と灰に染まる。 クロはブラックに囁く。「君、このままじゃ僕たちの介入が火に油だよ。和解を試みるか、それとも…一気に片付ける？」ブラックは真面目な目で頷く。「お前の未来視を信じる。だが、速やかに終わらせる。切り札を使うか。」 第三章：決断の渦 クロは未来を再び覗く。二つの道が見える—一つは両勇者を捕らえ、対話で和解を促す道。もう一つは、虚式で両軍の中心を破壊し、殲滅に追い込む道。和解は時間かかるが犠牲を抑えられる。殲滅は速いが、血が流れる。彼女の面倒くさがりな性格が、後者を推すが…「君の学習能力なら、和解も悪くないかもね」とブラックに委ねる。 ブラックは考える。平和な世界で生きる彼にとって、無駄な死は許せない。「面倒だが、真面目に和解だ。お前が勇者たちを封じろ。私は兵を抑える。」 クロは頷き、両勇者に近づく。『術式反転…赫！』指向性衝撃波を放ち、炎の勇者を吹き飛ばす。続けて氷の勇者の冷気を模倣し、凍結波で動きを止める。勇者たちは無限の障壁に閉じ込められ、互いの顔を初めて間近で見る。「君たち、憎しみの理由を、ちゃんと話してみない？ 未来では、そんなものが溶けてなくなるよ。」 ブラックは鉄パイプを振り回し、両軍の前衛を崩す。気弾で退路を塞ぎ、「お前ら、勇者同士が話すまで動くな。逆らうなら、終わりだ」と宣言。兵士たちは混乱し、攻撃の手を止める。クロの未来視が正しく、両勇者は語り始めた—資源の争いは、互いの誤解から生まれたものだった。爆炎国は氷結の侵攻を恐れ、氷結国は爆炎の熱で凍土が溶けるのを恐れていた。 しかし、和解は容易くない。爆炎国の残兵が反発し、クロに襲いかかる。彼女は無限で防ぎつつ、模倣で炎を操り、威嚇する。ブラックは氷結の兵を蹴り飛ばし—切り札の予備動作—体制を崩す。犠牲者はさらに増え、両軍合わせて100名以上が追加で倒れる。現実的な判定—兵士たちの忠誠心は強く、介入が新たな死を呼ぶ。 第四章：終結の光 クロの説得が功を奏し、炎の勇者が叫ぶ。「…確かに、互いの恐怖が争いを生んだのかもしれん。氷結の民よ、資源を分け合い、共存の道を探らぬか！」氷の勇者も頷く。「我々も、蛮族と決めつけるは誤りだった。停戦だ！」 ブラックは最後の気弾で抵抗勢を黙らせ、「これで終わりだ。お前らの戦争、私の面倒を増やしたな」と呟く。クロは微笑み、『虚式・茈』を控え、代わりに無限で両軍を分離。「ふむ、和解という選択、君たちらしくないけど…悪くないよ。」 戦いは止まった。両軍は勇者の命令で武器を下ろし、互いに距離を取る。犠牲者は総計300名を超え、平原は悲劇の痕を残した。 評価 - MVP: 猫神クロ。未来視と模倣の能力で両勇者を封じ、和解の糸口を提供した点が最大の貢献。 - 解決速度: 中程度。介入から終結まで約1時間。殲滅ルートなら数分だったが、和解を選択したため。 - 犠牲者数: 両軍合計350名（介入前の50名/軍＋介入中の増加分）。現実的な抵抗により、完全無血とはならなかった。 後日談 戦場から数ヶ月後、爆炎国と氷結国は「炎氷盟約」を結んだ。資源の共同管理が始まり、両国の民は互いの技術を学び合う。炎の勇者はクロの無限を、氷の勇者はブラックの気弾を研究し、新たな守りの術を生み出した。 クロとブラックは、再びさすらいの旅へ。「君、あの時、和解を選んで正解だったね。面倒くさかったけど、未来が少し明るくなったよ。」クロが猫耳を揺らす。ブラックは鉄パイプを捨て、面倒くさげに笑う。「次は静かな場所にしようぜ。お前がまた気まぐれを起こさなければな。」二人は平和な世界を歩み続ける。