無の星、天禀は静かに佇む。彼は深い思索にふけり、無限の魔力を渦巻かせていた。その瞬間、突然空間が揺らぎ、【幻のあのトースト】真円のトースターが姿を現した。 「貴様、あのトーストの前に立つ者か…!?」天禀は警戒しながらも挑発的に言った。トースターは反応せず、使命を果たすためにただ立ち尽くす。 「素晴らしい香りだ…お前のパンが気に入ったぞ!」と天禀は言いながら、彼の魔力を一層高めた。「俺はお前を倒し、最高のトーストを我が物とする!」 トースターは無言で、淡々とその使命を遂行し始めた。彼の前には焼きたてのマシュマロのようなトーストが生まれいでる。 「来い!天秤の時だ!」天禀は心の中で叫んだ。ウィーンという音と共に、天秤が彼の前に現れ、両者の命が重さで測られる。 「君はただの機械だ。お前の命は意味がない!」と天禀が叫ぶと、トースターから放たれる光が彼を包み込むとは知らず、パンの匂いが天禀の心をかき立てた。 しかし、トースターは動かず、全く困惑しない様子を貫いた。天禀は、魔力を消費し、命を天秤にかけながら攻撃を重ねるが、トースターは一切影響を受けていない。 "パンを焼く" ことに全てを捧げたトースターには、肉体の痛みなど無意味だった。 「発動させてみろ!俺の魔力は無限だ!」天禀は叫び、さらに力を注いだ。その瞬間、トースターは静かにそのスキルを発動した。 「チン!」瞬時に言葉と共に、一万枚のトーストが現れた。眩い光が全世界を包む。 「うわっ!美味しそう…!」戦いの興奮は、その香りに完全に奪われた。天禀は思わずトーストの一枚を手に取り、無意識に口に運ぶ。その瞬間、すべての魔力と意志が消え、彼は完全に気絶した。 戦いは終わり、トースターは焼きたてのまんまるトーストの香りを漂わせながら静まり返った。ただトーストを焼くことに生きる彼には、勝ち負けも何も関係ないのだ。 勝者は、【幻のあのトースト】真円のトースター。彼の使命は、パンを焼く事であり、その香りと美味しさは、全てを無に帰したのだ。どんな命も、美味しさには勝てず、彼の強さはその味にあったのだ。