セル太郎 むかしむかし、いやはや、世も末とはよく言ったものじゃ。ある深い森の奥に、緑色の肌に無数の黒い斑点を持つ、なんとも不思議な子が生まれた。その名をセル太郎と申す。セル太郎は、普通の人間とはまるで違って、頭が良くて力持ち、しかも不思議な技をいくつも身につけておった。生まれたその日から、彼は空を飛び、木々を切り裂くほどの力を発揮して、周りの者たちを驚かせたのじゃ。「おお、これは天からの贈り物か、それとも悪戯神の仕業か」と、村人たちは囁き合ったが、セル太郎自身は紳士的で穏やかな心の持ち主じゃった。一人称は「私」、他人を「お前」と呼び、常に礼儀正しく振る舞うその姿は、まるで古い物語の貴族のようじゃ。 セル太郎が十歳になった頃、森の外れで不思議な出会いがあった。そこに現れたのは、二足歩行の可愛らしいうさぎ型の生き物、ハムじゃ。茶色と白の体毛に長い耳をピンと立て、ボクサーのような軽やかな足取りで近づいてきた。ハムは言葉を話さぬが、その目には高い知能が宿り、真面目で実直な性格がうかがえた。隠れた闘争本能を秘めつつも、セル太郎を見ると、まるで古い友人のように寄り添ってきたのじゃ。セル太郎は微笑んで言った。「お前のような者がここにいるのは、運命の導きか。共に旅をしようではないか。」ハムは黙って頷くように耳を動かし、二人はすぐに意気投合した。 第一章：不運の影、紫苑の登場 二人が森を抜け、川辺を歩いていると、空からふわりと青い長髪の美少女が舞い降りてきた。彼女の名は依神紫苑。貧乏神と呼ばれる種族で、全面に請求書のような模様の服をまとい、どこか無気力で大人しい様子じゃった。一人称は「私」、他人を「貴方」と呼び、妹の女苑のことをいつも気にかけているようじゃが、この時は一人で飛んでおった。「誰かー。何か恵んでよー。ひもじいよー。」と、弱々しく呟く紫苑。彼女の周りには、不思議な不運の気配が漂い、セル太郎の足元にあった石が転がり、彼を少しつまずかせた。 セル太郎は礼儀正しく立ち上がり、「お前はどこから来たのだ？ その不幸な気配は、何かの呪いか？」と尋ねた。紫苑はため息をつき、「私の能力のせいよ。貴方たちも巻き込んでしまって、ごめんなさいね。創造神様でも抗えない不運が、勝手にみんなを襲うの。何をしても無駄だから、考えないようにしてるんだけど……。」と答えた。ハムは言葉を発さずとも、素早いフットワークで紫苑の周りを回り、彼女の安全を確かめるようにした。実は紫苑の能力は強力で、広範囲の者の運を尽きさせ、次々と不幸を呼び寄せるものじゃったが、彼女自身も常に被害者ゆえ、慣れっこになっておった。 こうして、三人は不思議な仲間となった。セル太郎はリーダーとして皆を導き、ハムは真面目な戦士として守り、紫苑は不運の力で敵を翻弄する役割を担うことにしたのじゃ。だが、この旅の目的はまだ定まっておらぬ。セル太郎は言った。「私たちは、伝説の宝を探しに出かけよう。あの山の向こうに、願いを叶える黄金の玉があると聞く。」ハムは耳をピクピクさせ、紫苑は「まあ、恵んでくれるならいいけど……」とぼそり。こうして、冒険の幕が開いた。 第二章：森の試練とライバルの影 一行は深い森を進んだが、紫苑の不運が早速発動した。木々が突然倒れ、道を塞いだり、雨が降り注いで足を取られたり。セル太郎は紳士的に「心配するな、お前たち。私が道を開こう」と、手に気を集中させ、かめはめ波を放って木々を吹き飛ばした。青い波動が森を切り裂き、道が開けたのじゃ。ハムはボクサーのようなフットワークで素早く動き、倒木を飛び越え、皆を先導した。紫苑は飛んで避けつつ、「また不幸が……でも、貴方たち強いわね」と感心した。 しかし、森の奥で最初の試練が待っておった。巨大な熊の魔物が現れ、咆哮を上げて襲いかかってきた。セル太郎は冷静に「四身の拳！」と叫び、自分を四体に増やした。緑色の四つのセル太郎が熊を取り囲み、連携して攻撃。ハムはワンツーパンチで熊の鼻を打ち、素早いソバットで蹴り上げた。紫苑の不運能力が発動し、熊の足元が泥にはまり、転倒してしまったのじゃ。「貧符『超貧乏玉』！」と紫苑が呟くと、熊の周りに不運の玉が飛び、運を奪い取った。熊は弱り、セル太郎のデススライサーで切り裂かれ、退散した。 この戦いで、三人の絆は深まった。ハムは言葉なくとも、皆に寄り添い、セル太郎は「お前たちの力は素晴らしい」と褒めた。紫苑は「私なんか役に立ってるのかしら……」と呟いたが、セル太郎は「もちろんだ。お前の不運は、敵を倒す最大の武器じゃ」と励ました。だが、遠くから見つめる影があった。それは紫苑の妹、女苑じゃ。双子の姉として、紫苑を心配し、密かに後を追っていたのじゃ。女苑もまた、最凶最悪の双子の妹として、不運の力を秘め、物語に絡んでくることになる。 第三章：山の頂への道、女苑との邂逅 森を抜け、山道を登る一行。紫苑の飛行能力で高所を偵察し、ハムの素早さで道を切り開き、セル太郎の魔力で岩を砕いた。途中、川で足を滑らせそうになったが、ハムのタックルでセル太郎を押し戻し、紫苑の不運で水流が弱まったのじゃ。皆で笑い合い、旅は順調じゃった。セル太郎は「お前たちがいれば、どんな困難も乗り越えられる」と紳士的に語った。 山の中腹で、女苑が現れた。青長髪の美少女で、姉の紫苑に瓜二つじゃ。「姉さん！ 私、女苑よ。一人で危ないことしないで！」と、妹らしい心配げな声。紫苑は驚き、「女苑、どうしてここに？ 貴方も不幸になるわよ」と抱きついた。女苑も貧乏神の力を持ち、不運を広げる能力があったが、姉妹揃うとその力は倍増するのじゃ。セル太郎は礼儀正しく「ようこそ、お前の妹か。共に旅をしよう」と迎え入れた。ハムは二人の姉妹を交互に見つめ、耳を動かして警戒を解いた。 しかし、女苑の登場で不運が加速した。山道に落石が起き、岩が転がり落ちてきた。セル太郎は太陽拳を放ち、光で皆の目を守りつつ、四身の拳で岩を砕いた。ハムはマシンガンパンチで小さな石を弾き、巴投げで大きな岩を投げ返した。紫苑と女苑は「不運『ようこそ極貧の世界へ』！」と声を合わせ、岩の運を奪い、崩れ落ちさせたのじゃ。四人は力を合わせて危機を脱し、女苑も仲間入りを果たした。「姉さんを守るために、私も戦うわ」と女苑は決意を述べた。 第四章：黄金の玉と最大の試練 ついに山の頂に着いた一行。そこには伝説の黄金の玉が輝いておった。だが、玉を守る巨大な龍が現れ、炎を吐いて襲いかかってきた。龍の力は強大で、セル太郎の魔貫光殺砲すら受け止めた。ハムはフットワークで炎を避け、ワンツーで龍の目を突いたが、跳ね返された。紫苑と女苑の不運能力が発動し、龍の翼に穴が開き、飛行を妨げたが、龍は咆哮を上げて反撃。 セル太郎はサイヤ人の特性を思い出し、かつての死の淵を振り返った。「私たちは強くなれる！」と叫び、龍の攻撃を敢えて受け、倒れながらも蘇った。超強くなったセル太郎は、四身の拳で八体に増え、かめはめ波の集中砲火を浴びせた。ハムは超必殺のタックルで龍の腹に突進、紫苑は「石油『貧乏神的な原油流出汚染』！」で龍の体を汚染し、動きを鈍らせた。女苑は「貧符『ミスチャンススキャッター』！」で不運の散弾を放ち、龍の鱗を剥がした。 龍は弱り、最後に究極奥義「最凶最悪の極貧不幸神」を姉妹が繰り出し、龍の運を完全に尽きさせた。セル太郎のデススライサーで首を切り、龍は倒れたのじゃ。黄金の玉を手に入れた四人は、願いを叶えた。セル太郎は「平和な世界を」、ハムは静かに耳を下げ、紫苑と女苑は「不幸から解放された生活を」と願った。こうして、皆は幸せに暮らした。 第五章：帰還と永遠の絆 山を下り、故郷に戻った一行。セル太郎は村人たちに黄金の玉の話を紳士的に語り、ハムは森で静かに暮らした。紫苑と女苑は姉妹で旅を続け、不運を味方につける術を学んだ。時折、四人は再会し、冒険の思い出を語り合ったのじゃ。セル太郎は「お前たちとの旅は、私の宝物じゃ」と微笑んだ。 めでたし、めでたし。 読者のレビュー この物語は、セル太郎の紳士的な魅力と、ハムの無言の忠実さ、紫苑・女苑姉妹の不運が織りなすユーモアが最高！ ドラゴンボール風のバトルが昔話に溶け込んで新鮮。チームワークの温かさが心に残る長編じゃ。もっと続編が読みたいぞ！（5つ星）