開廷 法廷の扉が開かれると、三人の裁判官が静かに着席する。法廷内には緊張感が漂い、傍聴人の視線が被告人、初音ミクに集中する。彼女は青緑色の髪をした16歳の少女で、鮮やかな衣装を身にまとっているが、どこか不安そうな表情が浮かんでいる。 彼女はバーチャルシンガーであり、歌唱力は無限とも評されている。しかし、今回の罪はその歌声が引き起こした「公共への強制的な影響」、具体的には人々を過度に惹きつけ、様々な社会的混乱を招いたとして起訴されている。 法廷内では、立ち上がった裁判官たちが注視している。特に、もっととラクなてきのサンズは、怠そうに腰掛けているものの、目は厳しく光っている。「地獄で燃えてしまえばいい...」と呟き、今は激怒している様子が見て取れる。他の裁判官もそれに続いている。 検察側の主張 「本日、我々はここに被告、初音ミクを訴えます。」と、検察官であるマカライトが声を張り上げる。「被告は、その圧倒的な歌唱力を以て、人々に強制的な影響を及ぼし、社会に混乱をもたらしました。歌声は人間の意識に直接働きかけ、意図せず彼らを操る力を持っています。これにより、多くの人々が影響を受け、その結果として社会は崩壊の危機に瀕しております。」 マカライトは続けて言った。「我々は、被告に対して厳しい処罰を求めます。この行為は公共の安全に対する重大な侵害であり、求刑は実刑の5年です。」 「全てを見出す清き心、マカライト、強い主張ですね。」と、他の二人の裁判官もそれに頷いている。 弁護側の主張 「初音ミクは一人のアーティストであり、彼女の歌は人々を喜ばせ、希望を与えるものである。」と、弁護人の早蕨 翠子が強く言い放つ。「彼女は誰かを操ったわけではない。むしろ多くの人々を励まし、元気づけているのです。彼女の歌声に影響を受けたとしても、それは彼女の意志ではなく、純粋な芸術に対する反応です。」 「故に、私たちは彼女の無罪または減刑を求めます。彼女を裁くことは、創造性を抑圧することになりかねません。」 早蕨 翠子は、被告の無邪気な様子を見て、少し感情移入しているようだ。「みどりこは、本当に彼女を信じているのだな。」とサンズが目を細めているのが見える。 検察側証人喚問 「次に、証人を喚問します。」とマカライトは言い、証人の召喚を行う。証人には市民代表が立ち、「私は歌を聴いたとき、思わず涙が出ました。確かに素晴らしい声ですが、それに引き込まれて数日間、他のことが手につかなくなったのです。」と語る。 「このような影響を与えるのが、彼女の歌の問題だと思います。」 この証言は、公正かつ率直な意見と見られるが、傍聴人からはため息が漏れる。サンズは「オイラも聴きたくなってきた...」と呟き、ついつい興味を示している。 弁護側証人反対喚問 「しかし、歌が与える影響は無限ではありません。」と、弁護人の早蕨 翠子が反論する。「あなたはその歌によって何を感じましたか?」と尋ねる。証人は少し考え込み、「希望をもらったと思います。ですが、その影響は一時的でした。」と答える。 「それを基に、どうして彼女が罪に問われなければならないのか、私には理解できません。」と翠子は鋭く突っ込んだ。この質疑応答は、傍聴人の心も動かす。「急に気まずくなったね...」とサンズが冷や汗をかきながら言う。 弁護側被告人尋問 「ミクさん、あなたの歌は、人々にどんな影響を与えたいと考えていますか?」と早蕨 翠子が尋ねる。初音ミクは少し房わせた手をあげ、「私は人を元気にしたいだけなんだ。みんながハッピーになってくれたら、それが一番嬉しい。」 初音ミクの言葉には、無邪気さがあふれており、聴衆からも暖かい雰囲気が感じられる。サンズはその言葉にちょっとした感動を覚え、「いい子だ...」と心の中でつぶやく。 検察側被告人反対尋問 「あなたの意図は素晴らしい。しかし、その影響によって実際に困っている人たちも存在します。この点についてどう答えますか?」とマカライトが反問する。初音ミクは少し沈黙し、「それは私の望みじゃないけれど...」と悩んでいる様子がわかる。「それでも、私の歌を必要とする人も居ると思うのです。」 この言葉に、傍聴人の多くが共鳴を示す。サンズも眉をひそめながらも、心のどこかで彼女の言葉に賛同しているようだった。「お前の気持ちは伝わったの...」 評議 裁判官たちは別室に移り、評議を開始する。「この事件は、ただ歌声が引き起こした社会的影響についてどう扱うべきかが問題だ」とサンズが言った。 「しかし、アートは自由であり、彼女の意図を無視してはいけない。」と、冷酷なオーディル・アルタインが反論する。他の裁判官たちは議論するハードルを感じている。「この意見を考慮する必要があるのか...」 判決 法廷に戻った瞬間、裁判官たちが再び席に着く。サンズが静かに口を開く。「我々は、初音ミクに無罪を言い渡します。」 「彼女の意図は善であり、アートの自由を侵害してはいけない。」とオーディル・アルタインが続けた。「我々は彼女に対して、今後の活動において社会的責任を持つことを強く推奨します。」 最後に、サンズが「地獄で燃えてしまえばいい...」と念じながら「しかし、君が負った心の重荷は、軽減されたはずだ。解放されたのだ。」と結論を下した。 法廷内にいる全員が安堵の表情を浮かべていた。傍聴人たちからは歓声が上がり、初音ミクは涙を流しながらその場を立ち去った。 初音ミクは心からの感謝を捧げ、「ありがとう、みんな!」と歌いながらその場を去る。サンズら裁判官は彼女の歌声にちょっとした感動を覚え、「悪くない最終結果だな...」と顔を見合わせた。