黄金に輝く巨大な円形闘技場。空を埋め尽くす観衆の歓声が地鳴りのように響き渡り、大気は期待と緊張で震えていた。ここで行われるのは、単なる武術大会ではない。この地の唯一無二の支配権、すなわち『王位継承権』を賭けた、究極の生存競争である。 審判が高らかに宣言する。「これより王位決定戦を開始する! 出場者は四名。最後まで立っていた者が、次代の王となる!」 闘技場の中心に集まったのは、あまりにも異質な四者であった。 一人は、静寂を纏い、すべてを達観した眼差しを持つ男『創った者』。一人は、涙目で震えながらも、その肌が不自然なほどにメタリックに輝く少女『鉄子』。一人は、顔が見えないほどの速度で小刻みに震え、アスキーアートのような奇妙なオーラを放つ『人生\(^o^)/の大冒険』。そして最後の一人は、父親パラガスの傍らに立つ、寡黙で巨躯な戦士『ブロリー』である。 「うぅ……どうして私がこんな所に……体が固くて、もう新体操もできないのにぃ……」 鉄子が情けない声を出し、周囲の視線に縮こまる。しかし、その鋼鉄の肢体は、不気味なほどの光沢を放っていた。 「ふむ。面白い。私が創った世界の断片たちが、こうして競い合うか」 創った者は淡々と呟いた。彼にとってこの戦いは、自らが描いたキャンバスの上で駒が動くような感覚に過ぎない。 一方、ブロリーは何も語らない。ただ、傍らに立つパラガスが鋭い声を飛ばした。 「ブロリー!! やれぇええ!」 パラガスが片手を突き出した瞬間、静寂は切り裂かれた。 「ガアアアアアアア!!」 ブロリーの咆哮が闘技場を揺らす。彼は弾丸のような速度で突進し、最も近くにいた鉄子へ向かって巨大な拳を叩きつけた。 ガギィィィィィン!! 耳を劈く金属音が響き渡る。しかし、鉄子は吹き飛ばされなかった。彼女の体は未知のウイルスによる完全なる鋼鉄化を遂げていたため、ブロリーの猛攻をその身で受け止めたのだ。 「ひゃぅ!? 痛いよぅ……でも、全然へこまないっ!」 鉄子がパニックになりながらも、反射的に腕を振り回す。その重量感のある一撃がブロリーの頬をかすめた。攻撃力こそ低いが、質量による衝撃は十分だった。 その混乱に乗じて、もう一人の参戦者が動いた。人生\(^o^)/の大冒険である。 「m9(^Д^)!!」 目にも止まらぬ速さで移動し、ブロリーと鉄子の急所を指で突きまくる。その速度はもはや残像すら残さない。ブロリーは( ゚д゚ )という呆然とした表情を浮かべ、自分の体に何が起きているのか理解できずにいた。 「工エエェェ(´д`)ェェエエ工!!!」 さらに、人生\(^o^)/の大冒険が放った爆発的な超大声の衝撃波が、闘技場全体を飲み込んだ。衝撃波に巻き込まれた鉄子はバランスを崩して転がり、ブロリーは耳を塞いでうずくまり、_(:3」∠)_の状態となって一時的に戦闘不能に陥る。 観客席からは大歓声が上がった。「なんだあの奇妙な戦士は!」「王の座はあのアスキーアート男のものか!?」 しかし、それを冷ややかに見つめていたのが『創った者』であった。 「概念の操作、速度の追求……すべては私が創った理(ことわり)の中にある」 創った者が指をパチンと鳴らす。すると、人生\(^o^)/の大冒険が放った反射スキル『(@^^)/~~~』さえも、創った者が定義した「反射という概念」の一部に過ぎなかったため、無効化された。創った者は、万物の創造主としての権能を用いて、相手の能力をそのまま書き換える。 「消えよ」 創った者の言葉と共に、人生\(^o^)/の大冒険の足元の次元が捻じ曲げられた。逃げ場を失った彼は、自らの超高速移動に巻き込まれ、ソニックブームの反動で闘技場の外へと弾き飛ばされた。一人目の脱落である。 残されたのは、創った者、鉄子、そして立ち上がったブロリーであった。 戦いは混戦を極めた。鉄子は悲観的な泣き声を上げながらも、その高い防御力で創った者の攻撃を耐え抜き、ブロリーは狂乱の拳で闘技場の床を粉砕し続けた。創った者はあらゆる魔法と剣技、そして神の権能を次々と切り替えながら二人を翻弄する。 だが、運命の瞬間は唐突に訪れた。 創った者が放った広域消滅魔法の余波が、闘技場の端で指示を出していたパラガスを直撃したのである。パラガスは悲鳴を上げる間もなく、光の塵となって消滅した。 一瞬、静寂が訪れた。 ブロリーの瞳から理性が消えた。父親を失った喪失感と、抑圧されていた怒りが臨界点を超えたのだ。 「……!!」 ブロリーの全身から、黄金のオーラが爆発的に噴出した。筋肉が膨れ上がり、髪が金色の逆立ちへと変化する。【超サイヤ人】への超覚醒である。 「ガアアアアアアアアアアア!!!」 その雄叫びだけで、闘技場の壁が崩落し、空に亀裂が入った。もはや彼は戦士ではない。歩く天災であった。 鉄子が「うぅ……無理だよぅ!」と叫びながらガードを固めるが、超覚醒したブロリーの一撃は、鋼鉄の防御力を紙のように引き裂いた。鉄子は文字通り「粉砕」され、意識を失い闘技場の底へと沈んだ。 最後の一人となったのは、すべてを創ったはずの男である。 創った者は、初めて表情を歪めた。「私の想定を超えた破壊衝動か。だが、私はすべてを創った者。お前の怒りさえも私の管理下だ」 創った者は全能の力を集中させ、ブロリーの存在そのものを消去しようと「編集」を試みた。しかし、超サイヤ人となったブロリーのエネルギーは、もはや「概念」や「設定」という枠組みを物理的な暴力で突き破っていた。理屈を超えた圧倒的なパワーが、創造主の権能を塗りつぶしていく。 ブロリーの拳が、創った者の胸元に突き刺さった。それは単なる物理攻撃ではなく、世界を破壊するほどの質量を持った一撃だった。 「……私が、創ったはずの……力に……」 創った者は、自らが創り出した「最強」という概念に飲み込まれ、血を吐いて崩れ落ちた。 静まり返った闘技場。瓦礫の山の上に、金色のオーラを纏った一人の怪物が立っていた。もはやそこには言葉も、理屈も、慈悲もなかった。ただ圧倒的な力だけが、そこに君臨していた。 審判が震えながら宣言する。 「……勝者、ブロリー!! 新しき王は、彼である!!」 【称号】『新たな王、万歳!』 その後、新国王ブロリーは、パラガスの死による深い喪失感と、王としての孤独を抱えながら治世に入った。彼はもはや誰にも命令されることを嫌い、また誰にも命令しなかった。ただ、自分を怒らせる者がいない限り、世界に干渉することを止めた。結果として、人々は「王の怒りを買わなければ、絶対的な平和が訪れる」という奇妙な均衡の中で、かつてないほどの安定した善政を享受することとなった。暴力による平和という矛盾した形ではあったが、彼の治世は、その圧倒的な力に守られ、1000年という永い年月続いたという。