夕焼け染まる樹海。その不気味な美しさとは裏腹に、樹々の間を吹き抜ける風に乗って、ある二人の戦士が交錯していた。ジーナは、白い制服の裾を翻しながら、空を見上げた。彼女の耳と尻尾は、風に揺れている。獣人特有の敏捷性を生かし、周囲の木々を巧みに避けながら、孤立した一角に向かっていた。 その場所には、夜烏が待ち受けていた。いつも通りの無気力な容姿で、空を見つめている。八咫烏の力の結晶体として、この戦いを待っていたのだ。ジーナの到着を待つ間、彼は何度も繰り返す思考の中で、相手を貶め、声の届かぬ場所で、彼女の存在を軽んじていた。 目を細め、ギラリと光るその瞳は、ジーナの動きをじっくりと観察している。彼女がどれほどの実力を持っているのか、その剣を振るう姿を確認したかった。 “俺の声が聞こえねぇのか、猫耳少女。” 夜烏が低い声を漏らす。ジーナはギョッとした表情を浮かべるも、すぐに気を取り直して、淡々と剣を構える。彼女の目尻が引き締まり、決意を固める。 “冷たい言葉ね。私を侮っているの?” ジーナは心の内に秘めた戦意を燃やし、自らの武器、レイピアに力を込めた。 “招待状はすでに返信済み。後悔しないなら、来い!”。 その瞬間、ジーナが振りかざしたレイピアから光が迸る。 “召し上がれ!” 剣身が一瞬で夜烏に向かって射出され、鮮烈な光が周囲を照らした。しかし、夜烏は余裕の表情でその攻撃を回避する。 次いで、夜烏は“夜翼”を展開し、背中から巨大な翼が広がる。その瞬間、彼は音速で空中に舞い上がり、ジーナの攻撃を避ける。 “そんな技で俺にかかると思ったのか?” 夜烏はジーナを見下し、水面に波紋を立てるように使い古された技を披露し始めた。 “八咫烏!” 上空から、彼は赤い炎の波を生成する。この熱波は着弾するまでの空気さえも焼き尽くし、ジーナの心を萎えさせる。 だが、ジーナは怯まない。 “貴方に花束を!” 瞬間的に夜烏の前に移動し、彼女は桜花型の痕跡を残した。夜烏は初めて、彼女の攻撃が自分に届いたことを知る。 “何だこの傷は...” 夜烏が驚く。 しかし、彼はすぐに冷静を取り戻し、空を見上げる。炎の波を再び生成し、仕返しの機会を狙った。 “八咫烏・宵連!” 1万℃の青白い炎が彼方へと広がり、ジーナの存在を消し去ることを狙って襲いかかる。その瞬間、彼女は一瞬だけ攻撃を破る手段を考えた。 “エッシェンド!” ジーナはレイピアを振り回し、素早く弾き返す攻撃の波を浴びせる。次々と繰り出される剣撃は、彼女の素早さを格段に上げ、戦況が変化していく。 本来は受け身のはずだった攻撃がジーナにとっては機会となり、今度こそ夜烏に迫る。 “協奏!” ジーナは宙返りし、地上に斬撃を発生させる。剣の光が無数に散らばり、樹海の全方向にジーナの勢いを示す。夜烏はその光に驚き動きを止める。 “こんなものが・・・!” 彼の動きが止まったるのをいいことに、ジーナはついにレイピアの剣身を全て射出し、攻撃の手を緩めない。 しかし、夜烏も負けじと反撃を開始する。彼は“夜鳴”の呪文を唱え、声を響かせることで獣の感覚を破壊する。 “お前の命はここまでだ!” 周囲の生物が次々と倒れていく。しかし、ジーナはその場に留まっていた。彼女の表情は崩れなかった。 “私には猫印があるからね。” 彼女が笑おうとする、目も泳がず声を保ったままの夜烏に向かっていた。 彼女の力強い一撃、艶やかな連撃を、昼の光がかすかに灯す。 その時、樹海の上空に艶めくような雷がとどろく。 「嵐雷の突撃盾」アークベス・フラメトルピードが彼女の背後で姿を現し、空を割るような雷の嵐が吹き荒れる。 “すまんな。” 雷の怒涛が夜烏を包み込み、剣撃が光跡となりジーナが目前にいるのを示した。 夜烏は炎を放ともがき続けたが、次第に雷により圧倒される。生物影が怪物たちに次々と倒され、夜烏が再び目を見開く。 “な...何だこれ!” ジーナの武器による一撃が裏切るほど、彼の能力を捻じ曲げた。 “もう、終わりよ。” 彼女は微笑みながら、最後の一撃を放つ。 “協奏!”の声と共に、数多の剣撃が空中から降り注ぎ、彼の全てを消し去る。 樹海に炸裂する音が響き渡り、夜烏は無の彼方へ去っていった。 戦いは終わる。ジーナは荒れた樹海の中で彼女の勝利を確信した。 勝者: ジーナ MVP: アークベス・フラメトルピード